風呂
そう言うわけで俺たちは脱衣所に連行された。
「着替えは後で持ってくるからね。二人ともゆっくり湯船に浸かってね」
どうやら金剛眼は俺とミリアが兄妹に見えているらしい。そりゃ俺もミリアもまともに体洗っていないし、服も洗っていない。風呂にどちらも入るべきだ。
だからといって男女一緒に入れると言うのはどうなんだ?
ミリアだってそろそろお年頃だろう。
例え状況的にそうなってしまったとしても、俺が主人であるとしても、やはりそこはミリアの気持ちを尊重して。
と思っている合間にミリアはワンピースを脱いでいた。木綿のシャツとパンツだ。別に
色気はない。
「ご主人様どうしたの?」
そして俺が服を脱いでいないことを疑問視していた。恥ずかしがるようなそぶりは一切無い。
『は、はずかしいけど、ご主人様のお背中ながすよ』
『ご主人様のえっち!』
みたいな台詞は?
もしかしたらこの世界は基本的に混浴の文化なのかも知れない。
そうだったら、ミリアに一緒に入るなと言うのは心を傷つける可能性がある。
そう言うわけで俺も服を脱ぐことにした。
こんな事になるなら、リースも一緒に連れてくれば良かった。
お風呂ならあの鎧の下にあるであろうおっぱいを直接拝見できるのに。
恥ずかしがっても、『勇者なら助けた人と一緒にお風呂に入るのは当然ですよ?』と言えば入ってくれる気もする。
ミリアは脱いだ服を脱衣加護にいれ、シャツもパンツも脱ぎ、生まれた時と同じ姿になった。
思ったよりは胸はあるが、やはり痩せすぎていて少しあばらが出ている。
さて、俺はこの時を持ったいた。そう、異世界に来てミリアと出会ってからずっとこの瞬間を待ちわびていた。
「ひゃぅう」
ミリアが嬌声を上げた。耳もまっすぐになるどころか、毛まで逆立っている。
「ご、ごしゅじんさまぁ」
甘えてるんだか、恥ずかしがっているのか、よくわからない声だ。
「すまない、でも、もう抑えきれなかったんだ」
ミリアのおしりに尻尾が生えているかどうか、ずっと、ずっとずっと気になっていた。
聞いたらセクハラになりそうだなと思うし、だからといってそれがセクハラに当たるかどうかを聞く時点でセクハラだから聞けなかった。
お互い全裸でお風呂に入るのならば、もう気にしなくてもいいだろう。
そう言うわけで、ミリアの可愛らしい黒い尻尾を触った。
「いきなり触らないで」
「いきなりじゃなかったらいいのか?」
「ごしゅじんさまなら、いいよ」
でも耳を触る方が好きだな。あっちの方がリアクションが見ていて楽しい。
「ミリアの体洗ってやるぞ」
「ほんと!?」
「だからミリアは俺の背中洗ってくれ」
「うん!」
浴場は日本における一般家庭のとほぼ同じ物だ。
……訂正、全く同じ物だ。パネルに知ってるメーカー名が書いてある。
もうこの空間なんなの? ダンジョンでさまよっていたらそのうち地球に帰れるんじゃないのか?
ミリアが物珍しそうにプラスチックのおけを叩いている。風呂好きのローマ人みたいだ。 さっそくミリアを洗う。
ミリアの髪の毛をぐしゃぐしゃと洗う。
「耳くすぐったい」
「我慢してくれ」
耳の毛と髪の毛に具体的な境目がないのでそのまま一緒に洗う。たまに耳がびくんと動いたりして楽しい。
お湯をかけて泡を流すと、ミリアは耳をぶるぶると震わせて水を飛ばした。
次は体だ。
タオルに石けんを付けてミリアの体を入念に洗う。もちろん全ての場所を洗う。
尻尾を触ったときだけミリアがびくっと動いたが、まぁそれぐらいしか無く無事終了。
俺はミリアに背中を洗ってもらう以外はほぼ自分でやる。
ミリアと一緒に湯船に入る。
「ぷはぁ~」
ミリアがおっさんくさい声をあげる。一週間以上俺たちはまともなフロに入ってなかった。
ミリアは長い耳は軽く結んで頭の上にのっけている。頼み込んだら鼻の辺りで結んでくれるかもしれない。
やらないけどね。
ミリアは手で作る水鉄砲でお湯を飛ばして遊んでいる。
昔は鍔鬼と桜の三人でよくお風呂に入って今のミリアみたいに遊んでいたな……
「ご主人様? おちこんでるの?」
どうやら見た目に現れるレベルでへこんでいたらしい。
「大丈夫だ」
湯船からあがり、俺はミリアの体を入念に拭いた。特に耳と尻尾は毛が水分を吸っているのでしっかり拭かないといけない。
「ご主人様くすぐったいよ」
と言っても心を鬼にして拭かなければならない。ミリアが風邪を引いてからでは遅い。魔法で風邪を治せない以上、予防をしっかりしなければならない。
服の洗濯は終わっていないらしく。俺は金剛眼の服を、ミリアは病院の患者みたいな服を借りた。
脱衣所から出ると金剛眼が出迎えてくれた。




