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鍛冶3

 翌日、ミリアにスライムと金属蛇の魔力源を鍛冶につぎ込んでもらった。


「これでミリアも鍛冶が出来るよ。しかもレベル2」

「レベルの違いって何だ?」

「もっと難しい物でも作れるの」


 レベル2ではあまり強い武器は作れないだろう。あくまで武器としては。


「扱える素材にレベルは関係無いな」

「あんまり無いみたいだね」


 この島のモンスター共が強いおかげか、素材もかなり強力な物がそろっているらしい。 

 その中でも特に強いのが、ピピピーン(ミリア命名)だ。

 見た目はただの鉄だし、刻める魔力刻印も攻撃+3% 防御+5%。

 20%オーバーの金属もある中であまり優れた部分は無い。


 ただ一点を除いては。


 ピピピーン最大の長所、それは肉確定ドロップ。

 ピピピーンで作った武器でとどめを刺すと、そのモンスターの肉を落とす。


 スライムだろうが、骸骨だろうが、肉を採取することが可能になる。


 通常の冒険ならそこまで便利では無いが、サバイバル生活においては重要な食料調達方法になる。

 ミリアのガイドブックにも、冒険者達には役立たないスキルとして紹介されていた。


「それでピピピーンをどうするの?」

「とりあえずコレで短剣を作ろうと思う。それならミリアも俺も使える」


 どれぐらい強い武器になるか解らないので、とりあえずどちらでも使える形にしておくべきだ。

 戦闘は俺の役割だが、ミリアが戦わないとも限らない。ならば、装備は出来るだけ共用の物にしておくべきだろう。

 地面にピピピーンを置く。火は俺が魔法で超高温の物を作りあげるので問題無い。


「でも、ハンマーが無いよ」

「俺が叩くのはダメなのか?」

「ミリアが叩かないとダメみたい。形を整えるのもあるけど、魔力の流れや火の神の祝福を入れるのもあるから」


 その部分で鍛冶スキルを使うと言うことだろう。


「ツルハシみたいに特殊な機能は無いよな?」


 採掘ポイントでの失敗は、ツルハシに魔力を結晶化させる機能があったからだ。


「ハンマーにもあるけど、ミリアのスキルで補うからハンマーの形をしてれば作れるよ。もちろんちゃんとしたハンマーの方が良いけど」


「なら作るぞ。ミャフーム君で良いか」


 俺は手近にあった金属のミャフーム(ミリア命名)を一つ手に取る。

 特徴と言えるほどの特徴も無い金属だ。ただしこの金属は他のよりもかなり大きく、家庭用ゲーム機ぐらいのサイズがある。


 完全無欠のバリツでも鍛冶は出来ない。


 ただ、削り出して形を作るぐらいはできる。

 バリツの特訓によって鍛え上げられた指に、精密な魔力の動きに、強力な魔力の出力。

 指は工業用のマニピュレータの用な正確な動作をしながらも、風と水の魔法を組み合わせ大胆に削っていく。

 おおよそハンマーの形になったところで、俺は魔法を使うのを止める。


「完成?」

「これからだ」


 自分の魔力を指先に込める。爪はナイフのような鋭利さと、牙のような力強さが混じり合う凶器に変貌する。

 頭の中でハンマーの正確な完成図を想像する。

 そうして最後の削り出しを行った。

 刹那のタイミングだ。ミリアには何時作業したか解らないかも知れない。


「これで完成だ」

「どこちがうの?」


 ミリアは完成したハンマーを色々な角度に変えながら眺めている。


「よく見ろ」


 俺はグリップの部分を指さした。


「よくみるとさっきよりもギザギザしてる」


 力がきちんと伝わらないと困るからな。グリップにより細かく模様を刻み込んだ。


「そしてここが最大のポイントだ」

「この模様は何?」

「俺の名前」


 魔法で話しているから気にしていなかったが、俺とミリアは全く別の言語を喋っているんだよな。それじゃ書く言葉も違うよな。


「ご主人様は字が書けるんだね! すっごい偉い人なんだね!」

「ミリアも字は書けるだろ?」


 スキルツリーやガイドブックを読んでいると言うことは、必然的に字の読み書きができるはずだ。


「ミリアが出来るのは魔法依存言語だよ。高等神官言語なんて使えないよ?」


 魔法による文字の読み書きが庶民には広まっているが、魔法を使わないような文字を貴族や王族達が使っていると言うことだろう。

 そう考えればミリアが俺を偉い人と呼んだのも理解できる。


「俺の国ではみんなこの文字を書けていたんだ」

「ご主人様は嘘が好きなんだから」


 ミリアは俺に顔を向けずに、俺がハンマーに刻んだ文字を地面に書いている。

 奴隷が当然と思っている少女に、自由や公平な社会は夢物語なのだろう。


「これがご主人様の名前?」

「あぁ」

「ミリアはこんな字見たこと無いよ」

「ついでにミリアの名前はこう書く」


 地面に"ミリア ハートフィールド"と書いた。ミリアは"おぉ~"感心しているのか、間が抜けているのかよく解らない声をだした。


「覚えた所、ミリアの国で読める人間はいないけどな」

「でも覚えるね。ミリアは自分の名前書きたの」


 ミリアはたどたどしい指つきで、ミリアハートフィールドと書いた。


「さて、鍛冶を始めるぞ」





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