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報告書その3

ツカツカと軍靴を鳴らしながら歩く、今日は今朝からついていない

やっと謹慎処分が解けたと思ったら、上官室に呼ばれた

まだ二日酔いの頭を掻きながらドアの前に立つ

「黄昏一等兵失礼します」そう言いながらドアを開ける

そこには信じられない光景が広がっていた、いつもなら威張り散らかしている上官たちが

列をなしてあるお爺さんに敬礼をしている

悲しいことに体に染み付いている癖ですぐさま敬礼をしてしまった

「彼が黄昏勇儀君かね?」

上官の一人が返答をする、未だに状況を掴めていないのはどうやら俺だけらしい

「まずは謹慎処分が終わりおめでとう、私は金剛剛士こんごうたけし階級は大将だ、まぁ固く

ならんでくれ」そう言いながら高らかに笑うが俺は笑えない、なぜなら

俺の階級が一等兵だからだ、ちなみに俺を教育している上官でさえ階級は軍曹が限界だ

大将は上から二番目の階級だが実質、軍隊の中で最も高い階級だ

「ところで、勇儀君、君は入隊してから通算20回目の謹慎処分らしいね、少し調べさせてもらったよ

一回目がいじめをやっていた一等兵をボコボコにして、ほかにも格闘訓練の教官を引退に追いやったり

まぁ正義感と実力が凄まじいね」

ニヤニヤしながら書類に目を通す、そして此方を向いて一言

「君は今日でクビだ、お疲れ様」

今まで何度謹慎処分を受けても、言われなかった言葉が突きつけられる

逆に聞きたいがどうして今まで処分を受けなかったの聞きたかった

「そしておめでとう、今日から君は私のもとで働いてもらう階級は私と同じ大将だ」

あたりがざわめく、言葉にできないと言う現象が自分で体感できるとは

「早速、仕事の内容を言う、私の所持する部隊の隊長と教育係をやってもらう

分かったらすぐ支度をしてくれたまえ」そう言い切ると杖を付きながら、ニカッと笑う

返事もまともにしないまま自分の部屋に戻り荷物をまとめる、生憎皆に嫌われていたので

別れを告げる相手もおらず、すぐにも戻れた

「金剛大将、黄昏一等兵ただいま戻りました」

そう敬礼しながら言う

「少し違うな、さっきの段階で君はもう大将だ敬礼と呼び方が違う、堂々としてくれたまえ

そうだなワシのことは金剛さんで構わんそれと、さっき言い忘れたがもうひとり君と同じものがおるからな、向こうについたら

仲良くしてくれたまえ、それでは迎えが来たようじゃな」

そう言い終わると同時に戦闘機がやってきた、金剛さんは乗れよとニカッとしながら言う

言われたとおり戦闘機に乗る生憎訓練で乗っていたためにあまり抵抗なく乗る

しばらくして戦闘機は飛び立つ、少しの間Gに体を蝕まれたが数分でなれる

面と向かい合って金剛さんと座っている、しばしの沈黙が流れる

先に口を開いたのは金剛さんであった

「君には教育係をやってもらうといったね、君は男性部隊の隊長を務めてもらう」

そう言い名前の書かれたリストを俺に渡す、上から読んでいく

榊学さかきまなぶ戦闘兵、柳田慶助やなぎだけいすけ狙撃兵、不知火竜也しらぬいりゅうや参謀長、坂田龍馬さかたりょうま衛生兵、如月幽きさらぎゆう戦車兵、そして俺黄昏勇儀、計6人状況的に少数精鋭の、軍隊を作ったのであろう

「誰も彼も、ワシが認めた問題児ばかりじゃ、勇儀君君は統率力、戦闘、重戦車、どれも秀でている

だから選ばせてもらった、まぁ常識なんてものは捨ててくれたまえ」

そう言い笑う、褒められて悪い気はしないが一つ引っかかるワードがあった

「常識を捨ててくれとは、どうゆう意味で?」

「ワシの部隊には上下関係なんてものはもとより存在しとらん、だからそろそろ勇儀君も呼びやすい呼び方で、構わないよそれに、天才しかいないから常識はずれのものもおる、そ奴らをまとめてもらう、

いわば君は統率の天才というわけだ」

「そうですか金剛さん…」

一体どのような奴らなのだろうか、どいつもこいつも資料を見るとその道のプロばかり

問題があるとしたらプライドなのだろうか、まぁ腕の見せどころってわけだな

そう、一人で考えていると金剛さんが口を開く

「ついたようじゃな」そう言い杖をつく、扉が開き目の前に広がった光景は広大な訓練所の真上だった

それに何か後ろで背負わされる

「では、必要なものがあれば連絡をしてくれ、では後のことは君の同僚が話してくれるよそれでは

健闘を祈る」そう言ったと同時に体がふわりと浮く嫌、落ちている、

状況は、支給品用の俺の荷物にはパラシュートがついて真上にある、体を調べる右胸部に、

パラシュートらしき紐発見すぐさま引っ張ると、パラシュートが開く

「あの爺さんから、教育しないといけねえ、まず常識がねえ」

総独り言を言いながら建物の屋上へ降りる後ろでドスリと音がして俺の荷物が降りる、

「holdup、」

そう聞こえるより、早く体が動く、相手の姿ははっきりと見えないが中々の動き、

「いきなりご挨拶だな」そう言いなんとか組み伏せた相手を見る

俺も身長は高いほうだが中々背の高い女性が此方を睨みつける

「いやぁ、あんたつよいねぇ、アタイは近衛、近衛優鬼このえゆうきってんだ、じいさんから話は聞いてるよ、今、佳苗呼んでくるね」そう言いながら組み伏せている俺との姿勢を変えて逃げ出す

一応体術には自信があったんだが、見事に返された、一体どんな肉体をしているんだ

そう一人で考え込んでいると「貴方が、新しい隊長さんね」、後ろから声をかけられた

振り返るとそこには、自分の胸くらいの高さのやや背の低い女性が立っていた

「ようこそ、此処は金剛のお爺さんが作ってくれた訓練所、の中にある寮よ、」

そう言い右手を差し出す、すぐにズボンで手を払い右手を差し出す

「私は田城佳苗たしろかなえ、一応女性チームの隊長を任されてここに連れてこられたわ」

そう言いはにかむ、少し胸が高まる

「俺は黄昏勇儀、勇儀と読んでくれて構わない、えっとなんて呼べばいい」

「佳苗で構わないわ、金剛のお爺さんから聞いてると思うけどここには常識はずれの者が多くいるから

覚悟を決めて欲しいわ、さて、着いて来て皆に貴方の事を紹介するわ」

そう言いくるりと向きを変えて、歩き出す、その後ろをついていく

「なぁ、荷物はあとで運べばいいか?」そう歩きながら話しかける

「あとで皆の部屋割りを見せるから自分で運んでね」

なんてことを話しているうちに一つの扉の前で止まる

「ここが集会所よ、少し待ってて頂戴」そう言い残し部屋に入る

何やら賑やかな声が聞こえるがまぁ聞こえないことにしておこう

「いいわ、入ってきて」

ドアノブを捻る、そこには数名ほどの男女がケーキを囲んで何か持っている、そこには

「これから宜しく、黄昏勇儀さん」と書かれていた、あっけにとられる

一人立ち尽くしているとさっき近衛と名乗った女性がこちらに来る

「早くこちらに来てくれよ、ケーキ食べたいからさ」そう言い袖を引っ張る

強制的に椅子に座らせると佳苗が説明を始めた

「皆自己紹介をしてちょうだい、何が何だかわかってない顔をしてるから」

そう言うとやたら背の高いやつが一人立ち上がる

「俺は榊学さかきまなぶってんだ宜しくな、所属は戦闘兵だ」そう言い手を差し伸べてくる

右手で握手を求めてるので手を差し伸べる、次の瞬間

「痛たたたた!!」まるで万力に挟まれたがごとくの痛みを感じる

慌てた風に手を放す「済まない、手加減は苦手なんだ」そう言い申し訳なさそうに頭を下げる

悪意がないのが逆に怒りづらい、自分の右手をさすっていると

「アハハハ、アンタは女子供には手加減できんのにね」そう言い近衛が笑う

「改めての自己紹介だアタイは近衛だよろしくね」そう言いまたゲラゲラと笑い出す

どうやら落ち込んでいる榊がツボに入ったらしい

「えーっと勇儀さんやったね、よろしゅう」細めの男が近づいてきた

「ワイは柳田慶介やなぎだけいすけやよろしゅうな」そう言いまた席に着く

次に帽子をかぶった子が近づいてくる「私は十六夜涼花いざよいすずかといいますよろしく」

そっけなく言うと帽子で顔を隠す、照れているのだろうか、パタンと本を閉じる音がする

そちらに目をやるとメガネをかけている奴と目が合う

「私は不知火竜也しらぬいりゅうやです、戦闘は得意ではないんでよろしくです」

そう言い再び本に目を戻す、その横で眼帯を付けている女性がケーキを頬張っていた

「わたひぃはひひどうあずふぁだよ」そう言いかけ飲み込んだところでもう一度言う

「私は獅子堂梓ししどうあずさですよろしくです」またケーキを頬張る、幸せそうな顔で

「今、すぐ集まれたのはこれだけなの、明日の訓練の時には全員揃うわ、まあ今は楽しんで」

そう言いウインクをする、しばし交流したあと部屋割りをもらう、

「荷物運ぶの手伝うよ」そう言い榊がこちらに来た

「じゃあたのもうかな、重たいけど大丈夫か?」そう言いとなりを見ると既に姿はなく

「もう行ったのか」ダッシュで屋上まで追いかけるが

見た目どうりに早い、屋上についた頃には俺は息切れをしていた

「コレを運べばいいのか、」そう言い荷物に手をかける

「いま手伝う」そう言い荷物え駆け寄ろうとすると

「一人で大丈夫さね」そう言い荷物を持ち上げる

俺の記憶が正しければ、50キロ近くあったはずだが片手で持ち上げる

「すごいな…」独り言をつぶやき部屋まで案内をする

部屋まで一緒に歩いたが息切れすらせず部屋にたどり着く

「じゃあまた明日の訓練で」そう言い走っていってしまった

「型破りな、奴だな」部屋に置いてもらった荷物の紐を解く

部屋の中にはベットと机、冷蔵庫などがあり、最低限のものは揃っていた

荷物を整理し終わりベットで横になる

「ここでは常識を捨てろか…」そう一人でつぶやく

いつの間にか二日酔いの頭痛はなくなっていた

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