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One way Love  作者: 遙香
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004:運命の扉・1

やっとキーマンの一人が出てきました☆

まだ名前が出てきませんが・・・(汗)



 小屋の中には、木でつくられたテーブルと椅子、粗末な寝台が一つ。

これといった装飾品はなく、質素なつくりだ。


 男は奥の椅子に腰かけると、戸口のところで立ち尽くしている少年に中に入るよう促す。

少年の目には、男の『力』が見えていた。白に近い黄色、黄金色と呼ぶにふさわしい

まばゆいまでの『力』。これほどまでに激しく、強い『力』を少年は見たことがなかった。

少年は唾をのみ込み、それでも男に従って部屋に入り、男に向かい合って腰をおろした。


 じっ、と見極めるように少年を見る。揺るぎない銀色の瞳に、男はふっと口元を緩めた。


「お主、名前は、」

「・・・・・・ない。」


 少年には名がなかった。殺すことすらできなかった子につける名前など、あるはずがない。

この世界では、名前はその子の『力』を強め、守るために授けられるもの。そんなものが、

少年に与えられるはずがなかった。


「どこから来た、」

「最果ての村、シーラ。」


 なるほど、と男はつぶやく。

その答えは、男に少年が独りピコラの森を歩いていた理由を理解させるに足る答えだった。


「お主には、運命を受け入れる強さがあるか、」


 男はまっすぐに少年の瞳を見て問う。男の葡萄色の瞳はすべてを射抜くほど強く、

少年は己の全てを見透かされているような気になった。


 だが、それは今まで向けられてきた憎しみのこもったものではなく、

少年は無言でうなずいた。


 自分には戻る場所はない。何が起ころうとも、どのような運命であろうとも、

前に進むよりほかに、路はないのだ。





 「この世界は、大きな4つの大陸と、名も無き小さな島々で成っている。」

今我々が立っているこの地は、ここ、コーパラ国の一部だ、と言って男はバサリ、とテーブルの上に地図を広げた。


 一枚の紙に描き出される世界。初めて見る『世界』に少年は思わず身を乗り出した。

自分はなんと小さな世界に閉じこもっていたのだろう。世界は広い。まだ見ぬ世界は果てしなく広がっている。少年は今まで何も知らず、村で過ごした時間を悔いた。

なぜもっと早く、旅立たなかったのだろう。


 男は続ける。


世界の4つの大陸は、広大な(マーレ)で分かたれ、それぞれの大陸に国家がある。

言葉も、文化も全く異なる4つの王国。

世界の東側に位置する最も大きな大陸に栄える国家プラティーノ、

西側の大陸には産業盛んなジルヴァラ公国、

南の大陸には武勇に優れた国家アウルム、

そして北の大陸には魔道に通じるコーパラ国。


 この世界には様々な(フォルス)を持った者がいる。

大きく分けると、魔道(マガ)の力、細工(アルス)の力、(テール)の力、風水(ヒュール)の力、(エフィラ)の力、そして、(オプキュリス)の力と(ルーチェ)の力。


 「(オプキュリス)・・・」

少年がつぶやく。


「そして、何の(フォルス)も持たぬ者。何の(フォルス)も持たぬ者たちは

それぞれの大陸の果て『最果ての地』と呼ばれる場所に世の中とのかかわりを絶って暮らしている。」

(フォルス)を持たぬ者は(フォルス)を恐れる。お主が(オプキュリス)(フォルス)を宿していることに皆怯えていたのだろう、と男は続け、軽く息をついた。


 「・・・僕・・僕何の力も持ってないのにっ」


 黙って男の話を聞いていた少年がつぶやいた。少年は両手を膝の上で握りしめ、小さく震えている。


 (オプキュリス)の力って何なのだろう。自分は何も出来ない。

みんなと違うのは、髪の色と瞳の色だけ。


 そうか、この少年は何も知らず(・・・・・)何も持っていない(・・・・・・・・)のか、と男は気付く。最果ての村から来た名もなき少年が何か(・・)を知っているはずもない。

読んでくださっている方が一人でもいてくれたらうれしいなーと思いながら頑張って書いています。あー早くじゃんじゃん登場人物が出てきてガシガシ戦って~の書いてて楽しいゾーンにたどりつきたいです(笑)

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