020:兄弟子たちの戦い
だんだんコメディーっぽくなってきてしまいました。基本はシリアスで行くつもりなのですが・・・。
互いの意思を確認し合った4人はシエルが成人を迎えたこれからも、行動を共にすることとなった。
《闇王》と言う想像することすら難しい存在に、自分がなれるとは思わなかったが、それでも自分を愛してくれる家族と呼べる人達が側にいてくれる幸せを守るために生きようと決めた。
自分を守り、戦うことが彼らの運命だと言うのなら、自分はその彼らを守る。その為に強くなることが今の目標にもなった。
「シエル、ヴェール・ランプの工房にいくぞ、」
遅い朝食を済ませると、カロルがシエルを誘い出した。レイは街でする事があると早々に出かけている。
「カロル、また抜け駆けですか、」
まさに出かけようとしていたカロルの背に、冷たい声が襲い掛かる。
「あぁ、見つかっちまった!だってシエルと昨日約束して・・・」
「問答無用!」
「・・わかったッ!・・わ・・る・・かっ・・たッ!シエルッ!た、す、け、」
「カロル?!フラム?!何っ?!」
少し遅れて部屋から出てきたシエルは、カロルの屈強な身体が目に見えぬ何かに縛り上げられ、美しい芸術のような筋肉が膨れ上がっているのを目にし、驚きの声を上げる。目に見えぬ拘束は明らかにカロルの喉を締め上げていた。どうやらそれがフラムの仕業だと分かる。
「やっ、やめて、フラムッ!」
シエルがフラムの腕を掴むと、カロルを締め上げていた拘束が消え、カロルは咳き込みながら倒れこんだ。
「カロル!!」
シエルが駆け寄ると、カロルは大丈夫だ、と咳き込みながら唇の端で笑って見せる。
「何度も抜け駆けしようとするとは、いい度胸ですね?カロル。シエルが止めなければ息の根を止めて差し上げるところでした。」
「フラムが怖いよ~シエル~。」
カロルは大げさに怖がってシエルの背中に隠れ、フラムに向かって舌を出す。
「知ってますか?カロル、人の後ろに隠れようが、遠く離れようが、私の力は貴方の気を察知して発動するんですよ?試してみますか?」
今にも再び力を発動させようとしたフラムをシエルは慌てて遮る。
「フラム、何を怒ってるの?カロルがまた何か悪い事した?!」
シエルの的外れな問いかけに、フラムは思わず笑い出した。何を笑われているのか分からず、きょとんとするシエルに、フラムは微笑みかける。
「貴方の世話焼きをしたくて、貴方の取り合いをしてるんです。昨日からカロルばっかりいいとこ取りをしているから、私が焼きもちを焼いているだけですよ。」
「フラムが優しいのはシエルにだけで、俺はなんでこんなに虐げられるのかね?これでもフラムよりも年長なんですけどね?」
「カロルは優しくされたかったんですか?それは知りませんでした。」
「シエルも、『また何か悪いことした?』ってあんまりだ・・。また、って・・・」
まるで俺が悪いことばっかりしているみたいだ、としょげるカロルにシエルの一言がとどめを刺した。
「だって、カロルいつもフラムに怒られているから、」
フラムのせいでシエルに悪いやつだと思われた!とカロルはいじけながらも結局3人仲良く連れ立って街見物へと出かけていった。
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