014:第二章 15歳の決意
お待たせしましたー(誰も待ってないか・・・)。
第二章に入りましたっ☆
これからもがんばりまーす。
このところ雨の日が続いている。
雨が降ると剣や弓の稽古ができなくなる。代わりにレイに与えられた膨大な書物を読んだり、フラムから魔道の力の使い方を学んだりして時を過ごす。
レイに出会い、名を与えられてから早3年が経とうとしていた。
線の細かったシエルの身体は日々たくましく成長し、闇人であるという事実を差し引いても十分人目を集める美しさを湛えている。切れ長の銀色の瞳は穏やかでもあり、鋭くもあり、見る者を困惑させる。褐色の肌はすべらかでクセのない銀色の長い髪を後ろで一つにまとめていた。
雨。
雨が降ると、不思議な感覚にとらわれることがある。
誰もいないはずの部屋に誰かがいる気がしたり、窓のすぐ外に誰かが立っているように感じる。
フラムに言わせると、雨と言う水を伝って、水の魔道を使う者が広範囲の気配を探っているのだと言う。強い力の持ち主になると、遠く離れた街に住む知り合いのところに己の幻影を映し出して話をすることも出来るらしい。
フラムも出来るの、と言うシエルの問いかけに、フラムは優雅に笑って見せた。
「可能性はありますが、試したことがないので分かりかねますね。」
遠く離れた想い人でもいれば試すのでしょうが、とフラムは続ける。
「コイツ、こんなこと言って実は女のフロ覗いたりしてんだぜ、騙されるなよ、シエル。」
「カロル、そんなことしようとするのは無類の女好きのあなただけです。一緒にしないで下さい。」
「俺は覗きなんかしないで正々堂々正面から一緒入るからそんな事をする必要なんかないんだ、おあいにく様、」
「正面から入るって、それが自慢できたことですか、」
まったく、とあきれるフラム。この二人の兄弟子は仲がいいのか悪いのか、いつも口論ばかりしている。
真面目で、冷静なフラムに対し、お調子者で熱い男、カロル。対称的な二人だけに衝突することも多いのだろう。
シエルはそんな二人が大好きだ。いつもいつも、自分の事を見ていてくれる。そしていつも、手を差し伸べてくれる。レイに引き合わされた時、これからは《家族》だ、と言われた。《家族》がこんなにも心地好いものだとは思わなかった。絶対に失いたくない、命に代えても守りたいと思える存在。《家族》を守るためならどんなことでも出来る、と思えた。
「フロを覗くのはいい趣味じゃないな、」
「レイ!」
不意に扉が開き、レイが姿を現した。レイがここに顔を出すのは幾月かに一度。普段どこで何をしているのか、彼の口から語られることは少ない。
「今日はシエルの誕生日だ。みなで祝おう。」
レイはシエルの肩を抱き寄せて穏やかに微笑みかけると、二人の兄弟子に声をかける。
「シエルももう15歳だ。成人を祝わねば。」
レイの言葉に二人の兄弟子はハッと顔を見合わせる。
15歳。この時代、15歳で成人となり、行動に制約がなくなる。酒を飲むことも許され、結婚もできる。
海を越えて、異国の地を踏むこともできるようになる。そして、力のある者ならば、国王になる事さえもできる歳。
小さな子どもと思っていたシエルがもう成人するとは。
「もうガキ扱いできねーな、シエル」
「これからも共に励みましょう。」
差し出される兄弟子の温かい手に己の手を重ねる。
シエルは体の奥が熱くなるのを感じた。
もしも、自分に特別な力があるというのなら、それは彼らを守るために使おう。
父と呼べる師と二人の兄。自分に居場所と家族を与えてくれた人たちを、守るために。
もっと、もっと強くなってみせる。彼らを助け、守ることができるほどに強く。
そろそろ人物紹介的な事もしようかなと思いつつ、まとめきれておりません。すみません。
私は無類のイケメン好きなので、いちお、全員イケメンでございまする(笑)。