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花が咲く~ハタチから始める恋愛生活~  作者: オウカ
一、蕾が花をつけるまで
4/10

4.プレイボール!~りんどう~

「ストラーイクッ!」


私、鴻巣蕾は野球観戦が好きだ。

特にプロ野球をよく見るし、いざと言う場面でも心の中で試合が始まる。

その試合は恋愛関係でプレイボールすることが多い。


例えば気になる相手がいるとしよう。

私軍と相手軍、選手は私と彼だけ。

監督兼コーチ兼選手、全て同一人物と言う心の中だけでしか出来ないラインナップ。


今まで生きてきた中で、試合は何試合か行われていたが、高校生の時出来た彼との試合は凄かった。

相手が勝てば付き合い、私が勝てばそのままの関係。

話していくうちに、相手のいい所があればストライクや回がチェンジになる。

逆に相手の嫌な所があればこちらの得点と言うように、他の人とは考え方が違うのだろうが、私はこうして付き合うかどうかを判断している。


肝心の彼との試合は緊迫した投手戦。

彼のいい所が見えるのだが、失点には繋がらないエラーやボール球がやや目立つ。


しかし、最終回の9回表、彼の攻撃

私が落ち込んでいる際、励まされ、男女の行為に至ってしまったのだ。

反則スレスレのホームラン。

経験が浅い私には、これ以上の失点を防ぐ手立てはなく、守護神も出せず逆転も出来ず…

なお、付き合ってからは楽しかった。

心配してた事が馬鹿らしくなるくらいだったのだが…



浮気だった。

私とは遊びだったのだ。

もうこんな辛い思いするのであれば恋愛なんてしない。

その日から試合開始のプレイボールはかからなくなった。



しかし、20歳になって青天の霹靂!

ここに試合の申し込みがあった。

しかも相手はよく知っている親友、しかも告白されたので私の心の中スタジアム、ホーム開催となった。

負ける気がしない…!

若干乗り気ではなかったが試合を承諾、私軍VSカレン軍との試合が始まった。



試合が始まった前半は良かったと思う。

告白されたので私には初回に3点が入ることになっている。

このリードを守り追加点をあげよう…

しかし、3回に入り異変が起こる。

普段だらけている彼女の頑張りを見てしまい、いざと言うとき頼りになるギャップ攻撃。

これには私軍のエラー絡みの初失点、まだまだリードを保ち4回へ。


攻撃に関してだが、カレン投手はストレートのキレが良すぎる。好きとか綺麗とか可愛いとか…

しかもいいのはストレートだけではなく、意地悪とからかいの変化球まで持っているのだ。


野手はだめだ…

このまま初回のリードを守れば勝てる!

攻めの気持ちを無くした私軍、まさか5回に主力を外し守備固めの選手と交代。

私監督の目は怯えており、いないはずの観客からブーイングが聞こえた気がした。



5回に入ると先発が下がる。

よし!行けると思ったが次に継投するのはもちろん同じカレン投手、目の錯覚か、ボールのキレが数段違う。


6回以降はもうめちゃくちゃだ。

職場でも前より意識したり、バスツアーと言うデートで失点がかさみ、もう逆転された。

そして守備固めの選手もひどい。

相手を自分へ向けて寝させたり、オマケに手まで繋いだのだ!

私軍のエラーの数とカレン軍の得点の数が2桁になった所までがここまでの試合のハイライト。



「…み…つ…ぼ…み…蕾!起きて、朝だよ!」

「あ、カレン選手だ…」

気づくともう8月、気温が上がり飲料会社の最盛期が訪れており、普段閑古鳥が鳴いてそうな私達

の部署も忙しくなるため、土曜日出勤が隔週あるのだ。


夢で見ていた試合とダブってよく知っている親友を寝ぼけて変な名前で呼んでいた。

土曜日は休みだと思って夜更かし、寝ていた私を迎えに来たカレンが起こしに来たのだ。

「何寝ぼけてんの…ほら、仕事だよ、し!ご!と!」

一瞬何言ってるのかわからなかったが、慌てて今日仕事だと思い出した。

まずっ!

カレンを押し倒すぐらい勢い良く起きてしまい、私は仰向けで痛がっているカレンの上に倒れこんでしまった。


そして、こんな事があるのだろうか

互いの唇が重なっているのだ、俗に言うこれは…


痛がっていたカレンがびっくりして目を見開いているのがわかる。

ごめん!と言い慌てて起き上がって、着替えるから外で待ってるようにお願いしカレンを私の部屋から出て行かせた。



私軍の勝ちは、ここで完全に消えたーーー

りんどうの花言葉~「勝利」

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