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花が咲く~ハタチから始める恋愛生活~  作者: オウカ
二、花が咲いた後に
12/13

日常~お弁当~

500PV記念です。

不定期で日常を描いた作品を制作する予定です。

カレンは朝が弱い私の代わりに昼食を作ってくれる。

会社にはパンやインスタント製品が置いてあるタイプの自販機があり私はそれで良かったのだが、栄養がどうとか昼食代がどうとかで認めてもらえず。

前はお互いの実家から通っていたので断る日もあったが今は一緒に暮らしているので作ってくれたものを残すわけにもいかず毎日のように昼食を持参するようになった。

味はもちろんの事、見た目にも気を使ってくれてとても感謝していたのだが、最近になり"見た目"の方に問題が出てきた。

告白された後は普通、告白を了承した後はキャラ弁みたいにユニークな物になり開けるのが楽しみになるぐらいであったのだが、同棲するようになってからはハートマークが多かったり海苔で文字を作って愛の言葉、例えば【愛してる】とか【蕾じゃなきゃダメ】、しまいには言葉に出来ない内容まであり、正直他の人に見られるのが心配になるぐらいだ。

いつも彼女と一緒に食べるのが多くその時はいいのだが、彼女とシフトが別れる時が問題で、交際してることを知っているカナタちゃんはまだいいが、他の部署の人や課長や越谷さんに知られるのは凄く恥ずかしい。


その問題の昼が来た。

今日はカレンとシフトが違く、三階の昼食をとる場所に人が多くいる。

向かいの席には越谷さん、隣にはカナタちゃんがおり今回はどんな内容なのか内心ドキドキしながら端の方からゆっくり中身を確認する事にした。

まず見えたのはカレンの顔を模した、いわゆるキャラ弁、ここまではいい。

…後から考えたら自分が持ってきた弁当に他人の顔のキャラ弁なんて持ってきてたら変に決まっているのだが…

もう少し捲ってみる、何か海苔で台詞が書いてある。

【好き!愛してる!好きピ!蕾しか勝たん!蕾…】

ぐらいまで見て弁当の蓋を思い切り閉めた。

小さい弁当箱によくこんな沢山の文字を入れられたな、てかよく海苔をそんな器用に切れる。

思うことがたくさんあったが、これは他の人に見せられない!この気持ちが第一に優先された。

その焦っている様子に気がついたのか、カナタちゃんが私の弁当を見つめている、神様おねがいします!スルーしてくれますように…

「蕾さんどうしたんですか?お弁当食べないんですか?」

神頼みなんて気休めなのだが、この時ばかりは神を恨んだ。

「い、いや、今日の弁当ちょっと失敗しちゃって恥ずかしいと言うか…」

「どうせ食べちゃう訳ですし関係ないですよー、どんな感じか見せてください!」

"パンドラの箱"に手が伸びてきた。

その手に開けられないよう必死に蓋を死守する…いや、カナタちゃんには事情を説明すればいいか、私達の仲も知ってるし。

そう開き直り軽く事情を説明にし他人に見られないよう彼女にだけ中を見せた…これが失敗だった。

中を見たカナタちゃんは一瞬キョトンとしていたが、どうやらツボに入ったらしく大爆笑している。

涙も流すぐらい笑っている彼女を見て私は焦ってしまい蓋を地面に落としてしまう、笑い声と蓋を落とした音に反応し皆の視線がこちらに集まる。

終わった…まさか20前半で私の人生がこんな形で幕を閉じるとは…

そう思った瞬間、圧倒的閃き!

カナタちゃんの先程の発言を思い出す、『どうせ食べちゃう訳ですし、食べちゃう訳ですし…』

そうか!この閃きは見られる前に食べきれと言う天からの啓示か!

その時ばかりは神に感謝した。

急いで箸を持ち一心不乱に飯を喰らう、これを見られるならこの際食事のマナーとか品性とか関係ない!

早く、速く!

全て食べ切り空の弁当箱をドンッとテーブルの上に置く。

大丈夫、見られてないはず…!

皆が呆気にとられ沈黙する中、私の隣でカナタちゃんはまだ笑い続けていた…


「ちょっとあれどういう事!!」

自宅で会社に出掛ける前のカレンにクレームを付けた。

見られそうになって恥ずかしかった事、急いで食べて具合が少し悪くなった事、誰かさんに大爆笑された事…

全て言い終わると「文句があるなら自分で作ればいい」と少し頬を膨らませて反論してきた。

なので明日から早起きしカレンの分も作ると約束すると彼女は「楽しみにしてるね、起きれれば、だけど」と少しはにかむと会社へ向かった。

やってやる、早起きして美味しいお弁当を作るんだ!

そう決心し早めに就寝した。


後日の昼、カレンが作ってくれた弁当を持参する。

あの後朝が弱い私は起きれなく、三日で彼女から"解雇宣言"が。

またいつも通りになった、今日は人も少ないけどもし見られたら…

そんな事を思い弁当箱の蓋を開けた。

【ごめんね】

中身は海苔で作られた文字と土下座しているカレンがいた。

ふっ…と少し笑みがこぼれてしまう、直接言えばいいのに素直じゃないなあ…

そういえば毎日のように作ってくれてるんだから感謝しなきゃいけないのに私は責めるようなこと言っちゃったな、とふと感じ弁当をスマホで撮る。

彼女へのメッセージに画像を添付しメッセージを付け加えた。

『この前はこっちこそごめん、いつもありがとう。

カレンの作るお弁当おいしいよ、これからも無理しないでよろしくね』と…

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