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#1.駄女神、くしゃみをする。

「うんうん、今日もいい感じに世界は回ってるのじゃ!」


 小さな球体、そこには白い雲が風に流され、木々を揺らし、海が波打ち、川が流れる。そして、よーく見てみれば、様々な生物がせかせかと動いていた。


 その球体の前で手をかざしている幼女、マリン。跳ねっ毛のあるロングヘアに神秘的な衣を身につけた彼女は、この地球儀のような球体の世界の創造主にして創造神、紛うことなきのじゃロリ神である。そんな彼女が創造神としてつくりあげた世界、アストラ。神への信仰によって魔法が発展した魔法世界。この世界の住民は、神への信仰無しに魔法は使えない、そして、その信仰心が、創造神たる彼女、マリンの神としての力をさらに高める。


「むむ、信者たちがまた我の声を求めておるな。どれどれ?」


 彼女はこの世界の創造神、このミニチュアの世界の住民にとっては文字通りの神、信仰対象。稀にこうして、信者たちの声を聞くことも出来る。


「……ふむふむ、干ばつが続いておるのか、ならば……。」


 片手を上に掲げ、ポンッ、とノズルの着いたボトルのようなものを取り出す。


「神聖霧吹き〜」


 シュッシュッ、と2、3度、神の声を求めるその地に目掛けて小さな霧吹きで水を吹きかける。この霧吹きには神聖な水が入っている。それが雨となり枯れた大地に降りかかれば、たちまち緑を生やすほどのものだ。

 ミニチュア世界のこの球体には十分すぎる降水量の雨が降り注いでいることだろう。

 ちなみに、これも信仰心から生まれる神の力によって生み出されたもの。彼らが神を信仰することにより、それに報いる力が得られる。


「主らの声、しかと受けとったのじゃ。その信仰心ある限り、我は主らを見捨てはしないのじゃ」


 おお!神よ!神の恵みだ!そう喜びの声が上がるのが聞こえてくる。マリンは満足そうに笑みを浮かべた。


「マリン、そっちの世界はどうだわね」


「むっ、ノア姉!」


 マリンと同じく小さな球体をそばに浮かせながら近寄ってきたのはマリンの姉貴分、ノアだった。

 ここ、神界には様々な創造神がそれぞれの世界を受け持ち、自分の世界を管理している。そのうちの一人、ノアは深海世界を作っている創造神だ。そして、マリンに世界の作り方を教えたのもまた、彼女だった。


「いい感じだわね、人間もみな信仰心を持ってる。信仰心がないと魔法が使えないっていう発想が出来たのは、マリンが初めてだったわね、すごいだわね」


 よしよしと頭を撫でてくる黒髪ロングのノアは、その独特な喋り方でマリンを褒める。頭をくしゃくしゃと撫で回せば、じぃっとマリンの魔法世界を見つめる。先程の干ばつした地域にさっそく緑が生い茂り人々がその緑に、神であるマリンに感謝する。


「今のところこれといった大きな争いもない、いい事だわね、これからも続けるだわよ」


「分かったのじゃ!」


 ノアと一緒にアストラを眺めていたマリン、彼女の言葉の元気よく返事をすれば、踵を返す彼女に了解の合図を出した。



────その時だった。


 振り返る彼女の後ろ髪が、マリンの鼻に微かにあたる。清潔に保たれたその髪は彼女の花をくすぐるには十分すぎるほどにサラサラで……。


「ふぁ、……ふぁ、ふぁっくしょぉい!!!」


 そのくしゃみは目の前の球体、


────アストラに向け放たれた。


「風邪だわね?」

「ズズっ……、ノア姉の髪が鼻をくすぐったのじゃ、ノア姉の髪はいつもいい匂いなのじゃ!」

「ふふ、そうだわね、ありがとう、それじゃ」


 そう言って立ち去るノア。それを見送ったあと、再び自分の世界を見つめるマリン。


「……のじゃっ、台風が起きているのじゃ!?……でもこれは自然の摂理……、止める訳にもいかんのじゃ……。」


 ミニチュアの地球儀のような球体の上で、雲が渦巻いていた。それも大量に。


 この時マリンは気づかなかった。これが後に、自分の起こしたものだと言うことを。そして、このくしゃみがきっかけで、この世界アストラに、とんでもない厄災が訪れるということを────

皆様はじめまして、そうでないかたはごきげんよう。

またもや新タイトルです。飽き性なので続くか分かりませんが、個人的に気に入ったストーリーが頭の中にあるため、せめてやり切れるだけやってたいなと思います。

生暖かい目で見ていただけると幸いです。

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