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明るい世界

児童相談所に来てから2日が経った。


特に友達はいない。


ここには色んな人がいる。


タクヤおじさんは僕と同じ経験をしたことがある人って言ってたけど。


そんな経験したことないくらい、みんな明るかった


僕はまだその空気についていけてない


人間観察をしたり、絵を描いたり、本を読んだり。


そんなことをしてばっか。


「ねぇねぇ、君」

「え…」

「あ、ごめん。驚かせちゃった?」

「私の名前はミサト!竹内ミサトって言うんだ」

「ミサト……?」

「うん!君の名前は?」

「えっと…僕の名前は三浦健太」

「健太くん?」

「友達になろう!!」

「え…友達?」


急に話しかけられてびっくりした。


ミサトちゃん。僕よりも歳上そう。


すごく大人っぽかった。


「私の友達も紹介していい?」

「うん…」

「この子の名前は小池ショウタくん」

「よろしく!」

「あ…えっと、よろしく」

「そして、伊藤リョウくんとマイちゃん

この2人は兄妹なんだよ!」

「よろしくね!健太くん」

「よろしく…」


ミサトちゃんに、ショウタくんに、リョウくんに、マイちゃん。


友達……。僕にとってタクヤおじさん以来の友達。


仲良くなりたいなぁ。


「そういえば、健太くんは何歳なの?」

「え…僕は8歳。」

「8歳かぁ。じゃあ、私の2個下だね!」

「私10歳なの!」

「歳上……」

「そうだよ!でも、2個上なんて気にしなくていいからね!」

「リョウくんも2個上だね!マイちゃんは1個下で、ショウタくんとは同い年だね!」

「俺と同い年か!仲良くしよーな」

「うん」


正直、付き合い方が分からなかったけど。

なんとなく仲良くできるような気がした。


マイちゃんは恥ずかしがり屋みたい。

ずっとリョウくんの後ろに隠れている


自分よりも歳上が2人もいる。


ミサトちゃんもリョウくんも歳上だってこと気にしなくていいって言ってたけど…


やっぱり少し気にしてしまう。


午後からはいつも勉強会がある。


ここにいる子は小学校に行けないので、施設で勉強して、中学校に行くかどうか決める。


この時間は嫌いだった。


ずっと静かに黙々と机に向かって字を書く。


長々と話を聞く。


眠くなる。でも寝たら当然怒られる。


苦しい時間だ。


「なぁ、健太」

「どうしたの?ショウタくん」

「この問題分かる?分からなくてさ」

「えっと…多分こうだと思う」

「まじか!ありがとう。教えてくれて」

「うん。」


ショウタくんは同い年だからか、よく話してくれる。


「この授業つまんなくね?」

「そ、そうかな?」

「つまんなくないの?」

「うーん。普通かな」

「すごいな!健太」


勉強のあとはご飯の時間


「ねぇねぇ、健太くん」

「どうしたの?ミサトちゃん」

「ゼリー好き?」

「あんまりかな」

「じゃあさ、貰ってもいい?」

「どうぞ」

「やったー」


ミサトさんは話しかけてくる時「ねえねえ」と話しかけてくることが多い。


いわゆる天然おっとり系


ご飯の時に僕があんまり好きではないやつを貰ってもいいとよく聞いてくる。


ご飯のあとは遊びの時間


「健太!鬼ごっこしよーぜ」

「鬼ごっこ?」

「ルールわかるか?」

「なんとなく」

「じゃあ、やろー」

「うん!」


リョウくんは遊ぶ時に率先して何して遊ぶか考えてくれる


鬼ごっこしたり、かくれんぼしたり

とにかく遊びが大好きだ。


マイちゃんはまともに話したことは無い。


いつも恥ずかしがってモジモジしてる。




最初に会った時から3日ほど経った。


あの4人とはさらに仲良くなった。


どこに行くにしても一緒に行動するようになった。


僕にとってかけがえのない友達になった。


一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、寝たり。


常に一緒だった


この施設に来てから毎日が本当に楽しかった。


みんなで遊んで、みんなで喋って、とにかく楽しかった


今までの地獄なんて忘れてしまうくらい楽しかった。


ここに来てよかったって思える。


家の窓からひとりで寂しく居た僕とは違うんだ


今の僕の人生は最高に楽しくて、幸せだ。


タクヤおじさんの言う通り、仲のいい友達が出来たし、みんないい人だ。


でも、その反面タクヤおじさんにものすごく会いたくなった。


タクヤおじさんに自慢話をしたい。


友達のこといっぱい話したい。


僕を本当に救ってくれてありがとうってもう一度心から言いたい。


早くタクヤおじさん来ないかな。


最初に様子を見に行くからって言ってたから。


それを楽しみに待ってよう!

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