第2の人生
タクヤおじさんと仮保護施設に来てから、1週間ほど経った。
本当に楽しかった。
タクヤおじさんとずっと一緒で。
今まで知らなかったことをいっぱい教えて貰えて。
食べたことない美味しいものを食べに行ったり
今までの人生とは比べ物にならない。面白さ、楽しさだった。
出来れば、このままタクヤおじさんとワイワイ楽しく暮らしたい。
でも、そんなことできないのはわかってる。
タクヤおじさんの立場上僕と暮らせないこともわかってる。
わかってるけども、寂しい。悲しい。
タクヤおじさんと別れたくない。
そして、2日ほど前から今日仮保護施設を出て、児童保護施設に行くことを知らされていた。
「健太ーもう行くぞー」
「はーい…」
「どうした?元気ないのか」
「タクヤおじさんと別れたくない…」
「大丈夫だよ。健太」
「俺と別れても、絶対友達はできる。健太はいい子だから。みんな健太と仲良くなってくれる」
「俺もたまに様子見に行くからさ。」
「うん。」
「そんなこと言われても不安だよな」
「不安…」
「何も怖いことはないからさ。」
「うん。」
不安がすごく大きかった。
タクヤおじさんは絶対友達できるとか、怖くないよとか言ってくれるけど、不安だった
児童保護施設は僕と同じ経験をした人達が多いからって
僕と同じ年齢の人も居るから大丈夫って
僕はタクヤおじさんしか信頼できないから。
タクヤおじさんと別れるのはすごく怖かった
「よし、着いたぞ」
「ここ?」
「うん。ここがこれから健太の家になるからな」
「僕の家…」
「そうだ。健太の家だ」
「ほんとにお別れ?」
「あぁ」
「寂しいか?」
「うん」
「大丈夫。また会えるよ」
また会えるよ。この言葉はタクヤおじさんが言ってくれる中でいちばん安心できた。
僕のことを最初助けに来てくれた時も別れた時すぐ会えるよって言ってた。
そしたら、ほんとにすぐ助けに来てくれた。
僕の中でいちばん安心できる言葉
「よし、行こうか」
「うん」
タクヤおじさんと手続きをして。
施設の優しい大人と顔を合わせた。
「じゃあな。健太」
「頑張れよ」
「うん…」
涙がこぼれた。涙を抑えきれなかった
「なんだよ。泣くなよ。健太」
「俺も泣きそうになるだろ」
「タクヤおじさん…」
「どうした?」
「本当に僕を助けてくれてありがとう。
僕と友達になってくれてありがとう」
「あぁ。俺も友達になってくれてありがとう。
健太のおかげで良い話し相手ができた。」
気づいたら、タクヤおじさんも泣いていた。
僕も泣いていた。
2人で泣いた。
「また様子見に来るからな」
「うん!」
「元気にしてろよ〜」
「タクヤおじさんも!」
「おう!また会おう」
「うん!」
ここから僕の新生活が始まる。
僕の第2の人生が始まる