思考回路
前回は健太くん視点でしたが、今回は、タクヤ視点に戻ります!
健太くんの両親と話したタクヤがどうやって健太くんを安全に救う方法を考えてる話です。
俺は今、健太くんのお父さんと話した。
なかなか難しい。健太くんに痣があることを話せば、正直保護できる段階まで来ると思ってた。
今回は追い出される形で終わってしまった。
また更に考えなければいけない。より安全に。より確実に。健太くんを救う方法を
それにしても、さっきの健太くんの家。
家にはお父さんしか居ないように最初見えたが、健太くんは居た。
俺と別れたあと、公園から家に帰っていたから、家に居てお父さんと一緒に話すのかと思ったが。
最初入った時。お父さんを落ち着かせるので大変だったが、内心焦ってた。
健太くんがいなかったから。
でも、お父さんと話していくうちに段々と押し入れの襖が空いてる気がした。
話しながらよーく見ると。健太くんがいた。
そこから考えた。
お父さんに閉じ込められてるパターンと自ら入って様子を見ているパターン。
俺はお父さんと話しててわかった。
多分前者だ。お父さんが帰ってきた時押し入れに入ってろ!って閉じ込められてるに違いない。
そう確信した。
今まで何度も同じような子供たちを見て、助けようと頑張ったが。高確率で閉じ込められ、監禁されてる可能性が高い。
自分の考えでは監禁されてる。そう思ってる。
すぐに健太くんを助けに行きたい。
でも、考え無しに行動するのはさらに危険だってわかってた。
昔、児童相談所の職員になりたての頃。虐待されてる女の子がいた。
俺は考え無しに行動した。早く助けてやりたい。あの地獄から抜け出させてあげたい。
そうゆう考えをしたことを今でも悔いている。
その子は俺が助け出そうとその子の家の中に入って、両親と話した。
その2日後、女の子はこの世から去った。
自宅から飛び降りた。いや、飛び降ろされたの方が正しいかもしれない。
俺が考え無しに行動したせいで、両親の虐待はさらに酷くなり、彼女の地獄をさらに早めてしまった。
そのことを聞いた時。後悔した。
なんであんなことを考え、行動したのだろう。
俺がこんなことをしなければ、彼女の人生を終わらなかった。
地獄から救い出せなかった。
そのことを今でも鮮明に思い出す。それ以降慎重になった。
「なんでも落ち着いて、よく考えて行動すること。」
それが俺の座右の銘になった。
だから、今回の健太くんも慎重に行こうと思った
きっとあのお父さんだ。無理に行ったら何をしでかすか分からない。
まずは仕事場に向かった
「総務部長少しいいですか」
「どうした。タクヤ」
「私が担当している三浦健太なんですが」
「あぁ」
「自宅調査の結果。緊急受理会議を実施して、一時保護してあげたいと思いました」
「なるほどな。なぜそう思った」
「三浦健太は監禁されています。」
「監禁?」
「はい。自宅調査を行ってる際。押し入れの中に健太くんはいました。すなわち親に無理やり入れられたと考えました」
「なるほどな、わかった。緊急受理会議を実施する」
「ありがとうございます」
まずは第一段階クリアだ。
総務部長に話して、緊急受理会議ができるようになった。
ここからが勝負だ。
「タクヤ!今から緊急受理会議するぞ」
「今からですか!」
「そうだ。早く来い!」
「今行きます!」
これは好都合だ。予定よりも早く始まった。
ここから3日ほど緊急受理会議までかかるなと思っていたのに。
「では、これから緊急受理会議を始める」
「まずは担当のタクヤから」
「はい!今回の対象は三浦健太8歳。学校には通っておらず、背中に痣があったことから日々殴られたり、虐待されてる模様」
「了解した」
「自宅調査の結果は」
「自宅調査の結果。親に監禁されてると判断しました。」
「なるほどな。」
「管理職。私はすぐにでも助け出さないといけないと思うのですが」
「そうだな。だが、まだ監禁されてると決まった訳では無い。」
「ですが!」
「落ち着け、タクヤ」
「総務部長…」
「まずは目視で必ず安全確認をしてからだ」
「また目視して安全確認してから通告書を請求する」
「はい、分かりました」
まずは団地の公園でいつもと同じ時間に来るかどうか。健太の家をよく観察する。それを1週間ほど続けなければいけない。
まずはよく観察だ。健太の家からの出入り。親以外に怪しい人物は出入りしてないか。
いつもと決まった時間に公園に来るかどうか。
1週間続けた。
家には親の出入りのみ。団地の公園には来てない。
そして、第2回緊急受理会議が行われた。
「まずは調査の結果を」
「三浦健太の家を観察したところ。家には親の出入りのみ。毎日同じ時間に公園に来ているのですが、1週間公園にも来ていません」
「そのことから三浦健太はどうなってると考えられる?」
「そのことから三浦健太は家に監禁されていると思って大丈夫だと思います」
「了解した。通告書を請求しよう」
「ありがとうございます!総務部長!管理職」
「頑張って。助けてやれよ」
「はい!」
よし!ここから頑張るぞ。
絶対に健太を救ってやるんだ。健太を地獄から救い出してやる。
健太は俺の大事な友達だから。