二日目の朝(画像あり)
※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。
イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは
作中の描写と多少異なる場合があります。
あらかじめご了承ください。
カーテンの隙間から差し込む朝日の光が、やけに眩しくて――
俺はゆっくりと目を覚ました。
「……もう、朝か……」
夜は異変が気になって、結局ゆっくり休むことはできなかった。
何かを引きずる音。
誰かが走り回る足音。
金属を叩きつけるような乾いた響き。
水が、ぽたぽたと滴り落ちる音。
一晩中、廊下の向こうから断続的に聞こえてきていた。
俺たちは、それらを聞こえないふりをしながら、
小声で今後のことを話したり、
どうでもいい雑談を交えたりして、夜をやり過ごした。
――そして。
「……寝ちまってた、のか……」
周囲を見回すと、
黒とヴィヴィアンの姿が見当たらない。
どうやら俺は、リビングのソファに座ったまま、
いつの間にか眠りに落ちていたらしい。
起き上がろうと、身体を動かした瞬間――
「……ん……」
小さな声が、足元から聞こえた。
視線を落とす。
そこには、
俺の膝に頭を預けたまま眠るヴィヴィアンの姿があった。
その光景を見た瞬間、
俺は思わず、深く息を吐いた。
「はぁ……」
起こさないように、そっと動きを止め、
俺は再びソファにもたれかかった。
天井を見上げながら、
朝の静けさを、ぼーっとしながら受け止めていた。
部屋でぼんやりしていると、
やがてイザベリアや鈴凛が起きてきて、リビングに姿を現した。
イザベリアは俺が起きていることに気づき、
「閣下、お早う――……」
そこまで言いかけて、言葉を失った。
一方、鈴凛は状況を一目で理解したのか、
俺の方を見て、意味ありげにニヤニヤと笑っている。
……いや、誤解だぞ。
俺はゆっくりとヴィヴィアンの肩を揺すった。
「ほら、みんな起きてきたぞ。起きろ」
「ん……んん……」
ヴィヴィアンは小さく声を漏らし、
目をこすりながらゆっくりと起き上がった。
寝ぼけたままの顔で俺を見上げ、
「……おはようございます……」
と、のんびり挨拶した。
その光景を目にした瞬間――
「なぁぁぁぁぁぁ!!」
イザベリアの絶叫が、部屋に響き渡った。
「ちょ、耳が……!」
鈴凛は耳を塞ぎながらも、
相変わらず楽しそうにニヤニヤと笑っていた。
イザベリアは一瞬の硬直の後、
すかさずヴィヴィアンに詰め寄った。
「ど、どういうことですの!?説明して下さいまし!」
必死な形相で問い詰められたヴィヴィアンは、
なぜか――ニマッと笑った。
「……役得、です」
そう言って、どこか勝ち誇ったような顔をした。
「なっ……!」
イザベリアは言葉を失い、
次の瞬間、勢いよく俺の方を振り向いた。
そして――
「ちょ、ちょっと待――」
言い終わる前に、ガシッと両手で胸倉を掴まれ。
「どういうことですの!
どういうことですの!
どういうことですのぉぉぉぉ!!」
同じ言葉を三回、
全力で叫びながら俺を前後に揺さぶった。
「ちょ、落ち着け!誤解だ! 完全に誤解だって!!」
俺の抗議など聞く耳持たず、
イザベリアの怒号が部屋に響き渡った。
横では鈴凛が、「いやぁ〜朝から平和だねぇ〜」
などと言いながら、完全に他人事の顔で眺めていた。
その後、テンパったイザベリアを落ち着かせるのに、思いのほか時間を取られた。
気がつけば朝食の時間になっており、
俺たちは、今もブツブツと何かを言い続けているイザベリアを引き連れて、部屋を出た。
廊下に出た瞬間、
俺はふと立ち止まり、昨夜のことを思い出した。
壁。
床。
天井。
視線を巡らせて、ゆっくりと確認する。
「……何もないな……」
俺の小さな呟きを聞いて、ヴィヴィアンが隣に並んだ。
「向こうが、こちらに来たわけではありませんから」
そう言って、彼女は廊下の壁にそっと指先を触れ、かべをなぞった。
「こちらが、向こうに取り込まれたんです」
「……取り込まれた?」
「だから、こちら側は何も変わらないし、
何も起きていないように見えるんです」
ヴィヴィアンは、静かに言葉を続けた。
「全ては、まやかし。夢と現の境目――」
昨夜聞いた音も、気配も、異変も。
すべてが、確かにあったはずなのに、
こうして朝の光の中では、跡形もなく消えている。
「……嫌な話だな」
俺がそう呟くと、ヴィヴィアンは小さく頷いた。
「はい。でも、それが一番危険なんです」
何も残らない。
何も証拠がない。
だからこそ、“なかったこと”にされてしまう。
俺はもう一度、何もない廊下を見渡しながら、
胸の奥に残る違和感を噛み締めていた。
割り振られたレストランに入ると、朝食はバイキング形式だった。
洋食、和食、中華と一通り揃っており、どれも美味しそうだ。
俺はスクランブルエッグとウインナー等を、
「朝なんだから軽めにしよう」などと考える間もなく、
盛れるだけ盛って席に着いた。
皆もそれぞれ好みの料理を持ってくる。
ヴィヴィアンとイザベリアは洋食、鈴凛は中華。
……予想どおりだな。
席に着き、朝食を食べ始めたところで、
イザベリアがついに痺れを切らした。
「閣下。結局、昨晩は何がありましたの?」
そう聞かれ、俺とヴィヴィアンは顔を見合わせ、
昨夜の出来事を順を追って説明した。
話を聞き終えたイザベリアと鈴凛は、揃って首を傾げる。
「私たちは、特に何も……」
「うん。何も感じなかったし、変な音も聞いてない」
二人とも、夜中に目を覚ましてトイレに行こうと
リビングを通ったことはあったらしいが、
そこに俺たちの姿は見えなかったという。
「……誰も、いなかった?」
その言葉に、ヴィヴィアンが静かに補足した。
「私たちは、“次元の狭間”のような場所にいました。
ですから、お二人には認識できなかったのだと思います」
それを聞いて、イザベリアと鈴凛はようやく納得したように頷いた。
結果として、
昨夜の変な誤解は無事に解けたわけだが――
「……」
俺は、ちらりとヴィヴィアンを見る。
なぜか彼女だけが、
ずっと勝ち誇ったような顔をしているのが、
どうにも気になって仕方なかった。
朝食を食べ終える頃、
風見先生が手を叩いて皆の注意を集めた。
「はいはい、みなさ~ん。
御剣刹那様より、大事なお話がありますので、静かに聞いて下さい」
その言葉に、レストランのざわめきが少しずつ収まり、
入口の方から刹那様が姿を現した。
「食事の最中に失礼する」
そう一言断ってから、刹那様は集まった全員の顔を見渡し、話し始めた。
「昨日一日かけて調べ上げた内容を、簡潔に報告する」
刹那様の声は、いつもより低く、硬い。
「現在の京都は――
幻界と幽界が混ざり合い、現世へ溶け込み始めている状態にある」
会場が静まり返る。
「これは、過去に起きた百鬼夜行の前兆と酷似している。
このまま推移すれば、近いうちに具現化する可能性が高い」
原因については専門的な話になるとして、詳しい説明は省かれた。
だが要点は、はっきりしていた。
溜まり過ぎた魔力。
怨念。
不浄な力。
それらが限界を超え、
百鬼夜行に近いスタンピード現象が起きる恐れがあるということ。
刹那様の説明が終わると、
風見先生が一歩前に出た。
「生徒の安全を最優先に考え、
東京へ戻らせていただけないでしょうか?」
だが――
その申し出は、却下された。
刹那様は歯噛みするように続ける。
「この件には、国の政治家も絡んでいる。
“華族や政治団体の資金で来ている以上、簡単に引き返すわけにはいかない”
……そう言われた」
レストラン内に、ざわりと不穏な空気が広がる。
「さらに、関東および近隣地域からも探索者を護衛として集めている。
だから問題ないだろう、とな」
刹那様は、拳を握りしめた。
「――無責任極まりない」
その言葉に、怒りが滲んでいた。
それでも、刹那様は一度深く息を吐き、
学生たちに向かって頭を下げた。
「……すまない。
本来なら、君たちを巻き込むべきではなかった」
そして、話を続ける。
「せめてもの措置として、配置換えを行った。
一組から三組は、自主防衛が可能と判断し、前線寄りに配置する」
「残る三組は、後方――
このホテル周辺を中心とした防衛配置とする」
ざわめきが起きるが、刹那様は手で制した。
「本日の夕刻までは自由行動を許可する。
ただし、夜までには必ず戻ること」
そして、最後に。
「明日に備え、全力戦闘が可能な準備を整えておけ」
それは、もはや修学旅行ではなく――
実戦前日の指示だった。
獅子堂 制服バージョン
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。
物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、
あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。
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