不穏な気配(画像あり)
画像は自動生成AIによるものなので、イメージや雰囲気で楽しんで下さい
キャラクターの容姿や髪型等は違ったりもします。
俺たちは、京都駅前――
大階段前の広場に集合していた。
整然と並べられた生徒たちの前で、まずは学園の挨拶と、今後の予定が告げられた。
京都の一条家をはじめとする華族からの正式招待。
三日後に行われる百鬼夜行祭への参加。
そして、京都滞在中の注意事項――。
一通りの説明が終わると、今度は御剣 刹那様が壇上へと上がった。
その瞬間、空気が変わる。
「――傾注‼」
凛とした一声が、広場に響き渡った。
「気をつけ‼」
バッ、と。
学園の生徒たちが一斉に姿勢を正す。
「休め。」
再び、バッ、と揃った動き。
……相変わらず、すげぇな。
俺たち男性陣は、先生たちの後ろからその様子を眺めていた。
刹那様は、生徒たちを正面から見据え、淡々と告げる。
「学園側からの護衛依頼の総指揮を執り行う、御剣 刹那だ。」
静まり返る広場。
「此度、京都の一条家をはじめ、各華族からの要請を受け、我々は京都の百鬼夜行祭に参加することとなった。」
そこで、わずかに間を置き――
刹那様は、はっきりと言い切った。
「しかし、学園側には悪いが。修学旅行という学園行事は、今回中止とする。」
その瞬間、学園の先生たちから一斉に声が上がった。
「お待ちください!」
「それでは本来の目的が――」
だが、刹那様は一歩も引かない。
「先生方の言い分は理解している。だが、これは決定事項だ。
そして――命令でもある。」
きっぱりとした断言。
「この件に関する補填は、皇家および御三家が責任を持って行うと通達を受けている。」
そこまで言われ、先生たちは苦虫を噛み潰したような表情で口を閉ざした。
当然――
納得していないのは、先生たちだけではない。
生徒たちの間に、ざわざわとした空気が広がる。
そのとき。
「――静粛に。」
壇上の横に控えていた薫が、パン、パンと手を叩いて声を張った。
一瞬で、場が静まる。
刹那様は、その様子を見届けてから――
深く、深く頭を下げた。
「……こちらの勝手な裁量で、一番の被害者は君たちだ。」
その姿に、生徒たちのざわめきが完全に消える。
「本当に、申し訳ない。」
刹那様はしばらく頭を下げ続け、やがて顔を上げ、全体を見回した。
「これより皆には、男性を守る団体護衛演習へと行動を変更してもらう。」
ざわり、と空気が動く。
「見ての通り、今の京都には、全国から多数の人が集まっている。ゆえに――」
刹那様の声が、はっきりと響く。
「各クラスごとに割り当てられた男性を、クラス一丸となって護衛に当たってほしい。」
「最小限のグループ行動、および単独行動は原則禁止とする。」
「クラス単位での団体行動を徹底せよ。」
再び、刹那様は頭を下げた。
「――協力を、頼む。」
「返事は!!」
横に控えていた薫が叫ぶ。
「「「ハイ!!」」」
生徒たちの声が、広場に響き渡った。
「出来る限り、お前たちの意図を汲めるよう努力はする……」
刹那様は、少しだけ表情を緩めた。
「……すまないな……話は以上だ。詳細は、追って通達する。」
――こうして。
俺たちの修学旅行は、
正式に“演習”へと姿を変えた。
各クラスごとに輪ができ、ざわざわと話し合いが始まった、その最中だった。
「――済まないが。」
不意に、よく通る声が広場に響いた。
「獅子堂グループ。少し、こちらへ来てくれないか?」
声の主は――
御剣 刹那様だった。
一瞬、周囲の視線がこちらに集まる。
「……え?」
思わず間の抜けた声が出る。
俺は反射的に風見先生の方を見ると、先生も同じように首を傾げていた。
「……心当たり、ある?」
小声で聞いてみるが、
「……全くありません。」
風見先生も、困惑した表情で首を横に振る。
嫌な予感しかしない。
「と、とりあえず行くか……」
俺はそう言って、クラスの面々に目配せしながら、そのまま全員を引き連れて歩き出した。
ざわめきの中を抜け、刹那様の待つ場所へ向かた。
刹那様のもとへ辿り着いた俺たちだったが、刹那様は相変わらず忙しそうに指揮を執っていた。
「少し待っていてくれ。」
そう言われ、俺たちはその場で暫し待機することになった。
的確に指示を飛ばし、周囲の護衛や関係者が散っていく。
やがて一段落ついたのか、刹那様は小さく息を吐き、こちらへと歩み寄ってきた。
「……すまなかったな。」
そう言ってから、改めて俺たちの人数を見渡し――
「しかし……また、えらく大人数で来たものだな……」
思わず、といった様子で呟いた。
「団体行動で、というご指示でしたので。」
即座に返したのは、風見先生だった。
少し棘のある言い方だ。
「あ……いや……そうだったな。」
刹那様は一瞬言葉に詰まり、「今さら例外を作るわけにもいかないか……」
と、苦笑を浮かべた。
「お邪魔でしたら、席を外しますが?」
風見先生は、相変わらず機嫌が悪そうだ。
――まあ、それも無理はない。
楽しみにしていた修学旅行を中止され、護衛演習に切り替えられたのだから。
「いや、大丈夫だ。」
刹那様は軽く手を振った。
「少し、聞きたいことがあっただけだからな。」
そう言って、刹那様は俺たち一人一人を見回し――
やがて、ある人物で視線を止めた。
「……確か、君だったかな。ヴィヴィアン・パルドナーラ。」
名を呼ばれ、ヴィヴィアンは「はい」と短く返事をし、一歩前へ出た。
「君は、ブデザム教国のシャーマン。――シヴァ様の巫女だったな?」
「はい。ご存じでしたか。」
「一応な。」
刹那様は軽く頷く。
「重要人物には、目を光らせている。」
そう言って、わずかに頬を緩めた。
「……それで、私に何か御用でしょうか?」
ヴィヴィアンは、表情を引き締めて問い返した。
「別に、とって食おうという話じゃない。」
刹那様はすぐに首を振った。
「君の力を、少し借りたいだけだ。」
そう言って、どこか申し訳なさそうに苦笑した。
「君たちシャーマンや巫女は、霊的地場や力の流れ、歪みが“視える”と聞いている。」
刹那様の声が、低く落ち着いたものになる。
「そこで聞かせてほしい。
――今の京都の街が、君の眼にどう視えているのかを。」
一瞬、周囲の空気が張り詰めた。
「一条家からは、霊的地場が淀み、浄化が追いついていないとは報告を受けている。だが、それが――」
刹那様は、静かに言葉を区切った。
「街全体で、どの程度の規模なのか。どこまで影響が広がっているのか。
私は、それを正確に把握しておきたい。」
刹那様の視線が、真っ直ぐにヴィヴィアンを捉えていた。
「補足します。」
刹那様の横から、一歩前に出てきたのは薫だった。
先ほどまでの柔らかな雰囲気は消え、今は完全に副指揮官の顔をしている。
「現在、京都市内では大小さまざまなトラブルが多発しています。」
薫は手元の端末に視線を落としながら、淡々と続けた。
「幸い、現時点で死者や重傷者は確認されていません。ですが――」
そこで一度、言葉を区切った。
「ボヤ騒ぎ、器物損壊、盗難事件が、通常時と比べて明らかに増加しています。」
周囲の空気が、じわりと重くなる。
「中には人為的な事件と思われるものもありますが……
それとは別に、説明のつかない事例も多数報告されています。」
薫は画面を操作し、簡潔に列挙した。
「突然、物が消えた。理由もなく火が着いた。触れていないのに物が壊れた。」
どれも決定打には欠ける。
だが――
「一件一件は小さくても、発生頻度と分布を考えると、偶然とは考えにくい状況です。」
そう締めくくり、薫は顔を上げた。
「……以上が、現時点で把握している京都の状況です。」
沈黙が落ちる。
大きな事件は起きていない。
だが、何かが確実に“滲み出してきている”。
そんな感覚が、全員の胸に共有されていた。
刹那様は腕を組み、低く唸る。
「やはり……表に出る前段階、というわけか。」
その視線が、再びヴィヴィアンへと向けられた。
「だからこそ、君の“眼”が必要なんだ。」
ヴィヴィアンは、こくりと小さく頷いた。
そして、真剣な表情のまま、ゆっくりと顔を上げる。
その瞬間――
彼女の瞳が、ほんのわずかに淡く光った。
「…………」
ヴィヴィアンは、京都駅周辺を静かに見回す。
「……凄いですね……」
思わず、吐息のような声が零れた。
「霊力が……溢れかえっています……大小の精霊も、こんなに……」
彼女の視線が、空を、建物を、人の流れをなぞっていく。
「凄い……綺麗……」
その言葉とは裏腹に、次の瞬間――
彼女の表情が、はっきりと歪んだ。
「……っ」
視線が、駅の外――
街の方へ向いた瞬間だった。
「……外は……瘴気……?」
声が、わずかに震える。
「……淀んだような……濁った霊力で……溢れています……いえ……これは……流れている……?」
ヴィヴィアンは、困惑したように首を傾げる。
「精霊も……沢山います……でも……苦しそう……」
さらに、言葉を選ぶように続けた。
「それに……見たことのない精霊が……沢山……」
そう言って、ヴィヴィアンは静かに目を閉じた。
しばしの沈黙。
「……ありがとう。パルドナーラ嬢。」
刹那様は目を閉じ、腕を組んだまま、思案するように低く唸った。
「夢……幻界……あるいは、それに類する領域が、現世に干渉してきている……?」
数秒後…
「……ああ、駄目だ。」
と小さく首を振った。
「済まない。私はこの分野は専門外だ。」
刹那様は、改めてヴィヴィアンを見据えた。
「よければ、パラドナーラ嬢の見解を聞かせてほしい。
この京都という街が、今、どういう状態にあると感じた?」
ヴィヴィアンは少し考え、言葉を選びながら答えた。
「……京都の街が、本来どういう“在り方”なのかは、正直、分かりません。」
そう前置きしてから、彼女は手元に広げられた地図を指差した。
「ただ……北側から……こう……」
地図の北、市内方面から、指を真っ直ぐ下へ滑らせる。
「……淀んだ魔力が、流れ込んできているように感じます。
流動的に……常に、動いている……そんな感覚です。」
「それは……異常なのか?」
刹那様の問いに、ヴィヴィアンは小さく首を振った。
「……断定は、出来ません。」
だが、すぐに補足する。
「本来、淀んだ魔力や霊力は、その場に留まり、濁り、蓄積されます。
それが、霊的現象を引き起こし、ダンジョンが生まれる要因だとも言われています。」
一同が息を詰める。
「ですが……」
ヴィヴィアンは、わずかに眉を寄せた。
「それが“流れる”“動いている”となると……考えられるのは二つです。
誰かが――
意図的に動かしているか。
もしくは――
どこかから、溢れ出している。」
重い沈黙。
「……まさか……スタンピードか!?」
誰かが、思わず声を上げた。
ヴィヴィアンは、ゆっくりと首を振る。
「……分かりません。」
その一言が、かえって場の空気を重くした。
確かなのは一つだけ。
京都は、既に“何かに触れられている”。
しかもそれは、まだ表に出ていないだけで、確実に“動いている”。
ヴィヴィアン・パルドナーラ
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。
物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、
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