退屈な日常 ① (画像あり)
画像は自動生成AIによるものなので、イメージや雰囲気で楽しんで下さい。
キャラクターの容姿や髪型等は多少違ったりもします。
*画像に合わせて髪色と鎧の色に修正をかけました。
あれから、何の変哲もない日々が続いた。
日常はのほほんとしていて、刺激もない。朝起きて、訓練に向かい、昼食をとり、また授業を受ける。
ただそれだけの繰り返しだった。
新しい冒険もなく、危険に晒されることもなく、まるでどこにでもある高校生の学校生活のようだった。
「こんなの、何の意味があるんだか……」
俺は訓練場の隅で、木剣を片手にぼやく。
初心者向けの基礎訓練。
すでに何度も繰り返してきた動きばかりで、特に新しい学びもなかった。
俺のような実戦経験者にとっては、まるで子供の遊びのように感じる。
「もっと実践的な訓練をさせろよ……」
独り言をつぶやきながら、適当に木剣を振る。
その動きはもう体に染みついている。
考えなくても体が勝手に動く。
俺の中で、戦いに対する感覚はすでに完成していた。
そんな退屈な日々の中、ただ一つだけ、俺の平穏を乱す存在がいた。
「獅子堂健二‼ 私はあなたを認めません‼」
鋭い声が響き渡る。
俺がため息をつく間もなく、その人物は俺の目の前に立ちはだかった。
ノヴァリア神聖王国のアリア・ベルモント
ノヴァリア神聖王国は、かつてフランスやイギリス、スペインなどがあった西ヨーロッパに位置する宗教国家だ。
ノヴェリアという女神を信仰し、厳格な戒律と騎士道精神を重んじる。
アリアはその王国の名門、ベルモント家の令嬢であり、聖騎士だという。
正直、どうでもいい。
俺は深いため息をつきながら、目の前の彼女を眺めた。
青色の豪華な騎士鎧。
ドレスアーマで無駄にゴテゴテと装飾されており、実用性と言うよりは見栄えを重視した儀礼用鎧だ。
銀髪の長い髪をなびかせ、美しい顔立ちを持つその姿は、まさに西洋の貴族令嬢といった感じだ。
だが——
コイツは何かと俺に突っかかってくる……
性格が気に入らないとか、態度がなっていないとか、騎士道に反しているとか……
理由は様々だが、とにかく絡んでくる。
「今度はなんだ? 顔でも気に入らなかったか?」
俺は呆れたようにアリアに問いかけた。
「違います‼ いえ……それもありますわね……って違います‼」
「あるのかよ……」
俺は頭を抱えた。
「それでなんだよ?」
俺が尋ねると、アリアは「そうだった」と言わんばかりの表情で答えた。
「やる気が無いなら帰りなさい! 他の方達に迷惑です。目障りです。」
俺はそう言われ、はぁ〜っと大きなため息を吐いた。
そして、片手を振って立ち去る。
「分かったよ……じゃあな。」
そう言いながら背を向けた瞬間、アリアがすかさず立ちふさがった。
「待ちなさい‼」
「なんだよ?」
俺は呆れたようにアリアを見た。
「逃げるのですか? あなたに騎士道精神は無いのですか⁉」
言いがかりも甚だしい。
帰れって言ったのはお前だろに……
「俺は騎士様でもなければ、ご立派な騎士道精神とやらは持ち合わせておりませぬ。」
俺は、一礼しながら皮肉たっぷりにそう言い返す。
「なっ‼ またそうやって私を馬鹿にして‼」
アリアは顔を真っ赤にし、怒りを露わにすると、「私と勝負なさい‼」と喧嘩を吹っ掛けてきた。
俺はいつものことだと思い、大きなため息をわざとらしく吐きながらアリアの方へ向き直る。
アリアは「いきますわよ!」と言いながら剣を構え、正面から真っ直ぐに俺に向かって突き進み、馬鹿正直に真っすぐ剣を振り下ろしてくる。
俺は体をひねって剣を避けると、アリアの手首を掴み、前に引っ張る。
さらに足をかけて彼女を前に転ばせた。
突っ込んで来た勢いのまま、アリアは「ズサァァァ」と音を立てながら前方に滑るように転がる。
俺はそのまま無言でアリアの首筋に剣を添えた。
首筋に剣を感じたアリアは、くやしそうに小さく声を漏らしながら、地面の土を強く握りしめ、悔しげに震えていた。
「閣下は相変わらずアリアには手厳しいですね。」
その声と共に、黒い軍服を着た女性がこちらに近づいてくる。
彼女の名前はイザベリア・フォン・インペラトル。
ドイツとロシアが合併して生まれた様な超巨大軍事国家、インペラトル帝国の第三皇女である。
インペラトル帝国は軍事国家であり、「強さこそが全て」という信念のもとに成り立っている。
すべては強さで決まり、弱き者は容赦なく排除される。
力こそが絶対なる正義とされる国だ。
豪華な装飾が施された軍服をまとった彼女は、長い銀髪をなびかせ、鋭いつり目をしている。
その目には、自分よりも弱い者を見下す傾向がはっきりと表れている。
事実、彼女——イザベリア・フォン・インペラトルは、アリア・ベルモントを見下していた。
イザベリアは優雅な足取りでアリアに近づくと、軽くしゃがみ込み、慈悲すら感じさせるような口調で話しかけた。
「みじめなものですわね。ノヴァリアの騎士様は。」
そう言いながら、彼女はクスクスと笑い、その冷笑はまるで勝者が敗者を嘲るかのような余裕に満ちていた。
アリアはその言葉に、瞬時に怒りの炎を燃やした。
その美しい顔立ちは怒りによって歪み、鋭い目つきでイザベリアを睨みつける。
「黙りなさい‼ この野蛮な異端者め‼」
怒声と共に、彼女の銀色の髪が揺れた。
しかし、イザベリアは怯むことなく、むしろ楽しげに肩をすくめて言った。
「おぉ……怖い怖い。」
彼女は余裕の笑みを浮かべながら優雅に立ち上がり、未だ地べたに膝をついているアリアを見下ろした。
その目には、軽蔑と嘲笑が入り混じっている。
「その異端者に無様に敗北し、地面に這いつくばっているのはどちら様でしょうか?」
ノヴァリア神聖王国——それはノヴェリアという女神を信仰する宗教国家。
彼らは自らの信仰こそが唯一絶対の正義と信じ、ノヴァリア教以外を異端と見なしている。
俺たちのような異教徒を「異端者」と呼び、忌み嫌っている。
アリアは、イザベリアの挑発的な言葉に対し、唇を噛みしめながら耐えていた。
悔しさを滲ませつつも、拳を握りしめ、何かを押し殺すようにして立ち上がる。
その姿は怒りに満ち、彼女の肩は小刻みに震えていた。
彼女は悔しさを噛みしめながらも、何も言わず、ただ鋭い視線をイザベリアに向けると、そのまま踵を返し、静かに立ち去った。
イザベリアは、その様子を満足そうに眺めながら、クスリと笑う。
「これだからノヴァリアの騎士様は面白いのですわ。」
イザベリア・フォン・インペラトルは、どこか楽しげに口元を歪めながら、涼しい顔で軍服の襟を直した。
その仕草は貴族の優雅さと、彼女特有の気品を感じさせる。
彼女はゆっくりと俺の方へ視線を向け、愉快そうに微笑む。
その表情には、何か企みでもあるかのような含み笑いが浮かんでいる。
俺はそんな彼女の様子を見て、深くため息をついた。
「……あまりアリアをからかってやるな。」
俺がそう言うと、イザベリアは微笑を崩さずに、クスクスと笑いながら答える。
「閣下はお優しいのですね。」
その言葉にはどこか挑発的な響きがあった。
俺は眉をひそめ、呆れたように肩をすくめる。
「閣下はやめろ。」
俺がそう言うと、イザベリアは目を細め、まるで待っていたかのように楽しげな笑みを浮かべた。
「では、次期皇帝陛下とお呼びすれば宜しいですか?」
彼女はクスクスと笑いながら言う。
その目には、からかいの色が浮かんでいた。
イザベリアは、自分よりも強い俺を敬い、「閣下」と呼んでいる。
そして、ことあるごとに俺を皇帝の座へ押し上げようと画策している。
彼女にとって、俺がインペラトル帝国の皇帝になることが望ましいのだろう。
だが、俺にその気はまったくない。
「冗談はよせ。」
俺は冷めた口調で言い放つ。
イザベリアはそれでも楽しげな表情を崩さず、俺の反応を楽しんでいるかのようだった。
「冗談ではありませんわよ、閣下。」
彼女はあくまでも本気でそう言ってのける。
俺は再び深いため息をつくと、訓練所を後にすることにした。
こんな一癖も二癖もある存在ばかりに囲まれて、正直、この先が思いやられる。
俺はゆっくりと歩きながら、今後のことを考えずにはいられなかった。
画像は自動生成AIによるものなので、イメージや雰囲気で楽しんで下さい。
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