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転生した世界の現実は甘くなかった  作者: 蓮華
第三章 国立探索者学園

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動き出した世界

画像は自動生成AIによるものなので、イメージや雰囲気で楽しんで下さい


キャラクターの容姿や髪型等は多少違ったりもします。

俺の名前は獅子堂 健二、15歳。

何を隠そう、この世界「ダンジョンズドミニオン」の世界に転生した転生者だ。

前世でやり込んだゲームの世界そのもので、初めて気づいた時は興奮で体が震えたぜ。


「ダンジョンズドミニオン」は、人類とダンジョンの戦いをテーマにした領地拡大バトルゲームだ。

ダンジョンによる世界侵食で衰退した人類を復興させるか、逆にダンジョン側となり人類の領土を侵略し、モンスターを配置して領域を拡大するかを選べる。


違いは簡単だ。

人間側は人を育て、街を作り、技術を発展させる。

一方、ダンジョン側はモンスターを生み出し、人間の領域を侵食していく。

この単純な構図ながら、膨大な戦略性と自由度で多くのプレイヤーを虜にしたゲームだった。


俺はどちらの側もプレイして、隠し要素まで徹底的にやり尽くしていた。

だから、この世界でなら俺は無双できる。

そう確信していたんだ――最初は。


だが、現実はゲームのように甘くなかった。

転生してすぐ、俺はこの世界の「現実」を知った。


ゲームの世界では、ダンジョンの侵食が人類を追い詰めていたが、ここではそれだけじゃない。

男という存在そのものがほとんどいなかったんだ。


最初にその事実を知ったとき、正直言えば歓喜した。

「男がいない=ハーレム」という公式が頭に浮かび、ひゃっほい!と胸を躍らせた。

だが、それは単なる妄想に過ぎなかった。


そんな軽い妄想を抱いていたのも束の間、現実は俺を叩きのめした。


人類の衰退――それは、男がほとんどいなくなった世界だった。

原因は魔力。

魔力は生き物の「生命の残滓ざんし」であり、生物に作用する力だ。

だが、魔力が人体に与える影響は男女で異なった。

女性は魔力に適応し、その恩恵を得た一方、男性は魔力に脆弱だった。

主に金〇。

致命的だぜ!


男性は「希少」として保護される存在になった。

だが、保護という名の「管理」の厳しさを俺は身をもって知ることになる。


俺が「家」だと思っていた場所は、実は隔離施設だった。

10歳になるまで外に出ることすら許されず、施設内で生活をしていた。

面倒を見てくれる「母親」だと思っていた女性は、実は俺の護衛だったという事実を知ったときの衝撃と言ったらなかった。

さらに驚いたことに、本物の母親は俺を産んだ際に支払われた補償金で、どこかでのんびり暮らしているらしい。

理由は「襲ってしまう危険があるから」

冗談のように聞こえるが、これが男性の置かれた現実だ。笑えるかよ‼


そして10歳になったとき、俺はさらなる現実を突きつけられた。

国家の方針で、男性は「自己防衛能力を身に付けるため」っという名目で、Lv20までレベルを上げることが義務付けられているというのだ。

要は精子を守る為に強制的にLvを上げなさいっという馬鹿げた国の方針だ。

そんなので守れたら人類は衰退していない。


これを達成するために、俺は護衛たちとともにダンジョンへ向かうこととなった。

この時だぜ、俺の母親と思ってた人が護衛のリーダーだと知ったのは。

「え?どういうこと?」と、俺は愕然とした。

信じていたものが全て覆された瞬間だった。


そして、ダンジョン攻略と言う名の"接待"が待っていた――。


俺にとって初めてのダンジョン攻略。

どんな未知の冒険が待ち構えているのかと胸を躍らせていたのだが、現実はまるで違った。

護衛たちの"無双"をただ見せつけられる時間だったのだ。


「ダンジョン攻略がどんなものか体験してみましょう」と言われ、初心者向けの小規模なダンジョンに入った俺。


しかし、目の前に広がったのは完全に護衛たちによる無双劇だった。

彼女たちは現れるモンスターを次々と片付けていく。

例えばスライム。

あれは初心者の定番モンスターだが、護衛の一人が素手で殴ると、スライムは爆発したように散らばっり、霧の様に消えていった。

蹴り一発で壁に叩きつけられ、そのまま霧散するスライムもいた。

その様子を見た俺は、引きつった笑顔しか浮かべられなかった。


俺の頭に浮かんだのは「過剰戦力」という言葉だけだった。


そして、戦闘体験の時間がやってきた。

「では、戦闘を経験してみましょう」と護衛の一人が言い、スライムを捕まえて持ち上げた。

そして短剣を俺に渡しながら、「ここがスライムのコアです。これを刺してください」と言いながら俺の手を取った。

気付けば、俺の手の動きに合わせて短剣がスライムのコアに向かって刺さっていた。

妙に息が荒い護衛の様子が気になったが、俺は何も言わない紳士である。

だから、あえて触れないでおく。


次に現れたゴブリンは、さらに可哀想だった。

「ゴブリン討伐です!」と意気込む護衛たちは、まず素手でゴブリンを殴り飛ばす。

追撃の蹴りでゴブリンが転倒し、数人がかりで押さえつけられると、護衛たちはその剣を抜くこともなく、ただひたすらに素手で殴り続けた。

結果、ゴブリンはその場で死散――これ以上、俺にどうリアクションしろというんだ。


そんな光景に呆然としている俺に、護衛の一人が言った。


「では、ゴブリンを倒してみましょう!」


気付けばゴブリンは手足を切られ、完全に戦闘不能の状態。

護衛は俺に剣を渡し、「胸を狙ってください!」と言いながら、俺の手を持って剣を振り下ろさせた。


……いや、いろんな意味でドン引きだった。


どうして普通に戦闘させてくれないのかと尋ねたところ、護衛たちは全力で拒否した。


「危険すぎます!」「ダメです!」「絶対に!」


どんな初歩的なモンスター相手でも、俺の護衛たちは過保護すぎるくらい守ろうとする。

彼女たちの気持ちはわからなくもないが、俺の心情は複雑だった。


俺はこの世界で、どうやって「まともな冒険者」になればいいんだろう――。

そんなことを考えながら、護衛たちの"過剰な献身"に、ため息をつくしかなかった。


だが、13歳――精通を迎えたその日、俺の世界は一変した。


あの日の朝、俺はいつも通り目を覚ました。

しかし、起き抜けの違和感で下半身を見ると、どうやら俺は“夢精”していたらしい。

そして、寝室にいた護衛の一人がその事実に気づいた瞬間、事態は大きく動き出した。


「パンツを回収します!」


護衛は慌ただしく叫びながら俺のパンツをひっぺがし、戦利品のように奪っていきやがった。

そして、そのまま俺は強制的に病院へ連行されることになった。


そこで告げられたのは、精液検査を行うという事実だった。


「ついに俺も女を抱ける時が来たか!」


密かに歓喜していたのも束の間、渡されたのはテン○のような“お助けグッズ”だった。

そして、医者から渡された一言がこれだ。


「これを使って、適切な量の精液を採取してください。一人にしておきますので。」


俺は渡されたそれを持ちながら、言葉を失った。

期待していたものと全く違う展開に、仕方なく一人寂しく処理を終えることになった。

なんとも情けない体験だと思うだろう?

だが、それがこの世界の男の常識らしい。


その後、結果が出ると担当医が興奮気味にこう告げてきた。


「獅子堂さんの結果ですが、精液ランクはSランクです!」


当然だろ、と内心でドヤ顔した俺だったが、それを境に俺の生活は一変した。


精通を迎え、Sランクと認定されたその日、俺は隔離施設を出て「街中のマンション」に引っ越すことになった。

だが、そのマンションはマンションと呼ぶにはあまりにも馬鹿げた場所だった。


まず、一階には護衛たちの詰所があり、受付や待合室のようなスペースが広がっていた。

二階と三階は従業員用の部屋で、施設を支えるスタッフが生活している。

四階は備蓄倉庫だ。

ここまででも十分大きな施設だが、五階から八階にかけては商業施設が入っているのだ。

飲食店、娯楽施設、ジム、さらには装飾品や服を扱うショップまで揃っている。

しかも驚くべきことに、「店のラインナップは俺の希望次第で変えられる」という話だった。


九階は護衛たちの居住スペース。

そして十階から十五階に至るのが、俺の“新しい生活の場”だ。

十階全てが俺の部屋。

十一階から十五階は、俺がこれから“囲う”ことになるであろう女性たちの部屋として用意されている。


最初に案内されたとき、俺は唖然とした。


「馬鹿げてる……いや、これ、ホテルじゃないか?」


外から見ても明らかに豪華な建物で、中に入るとさらにその異常さが際立つ。

俺のためだけにここまでの施設を用意する必要が本当にあるのか?


だが、この世界では男が希少である以上、こうした過剰な待遇が“当たり前”なのだろう。

この世界の税金の無駄使いを見た気がする。

俺は呆れながらも、心のどこかで“これが俺の新しい現実”であることを理解していくしかなかった。


新しい生活が始まってから、俺の人生は急激に変わっていった。

最初は戸惑いもあったが、気づけば俺は“女性を抱きまくる”日々を送っていた。


国が用意してくれる女性リストには、眩しいほどの美女ばかりが並んでいた。

前世では、テレビや雑誌でしか見ることができなかったような、まさに“理想”そのものの女性たちが次々と俺の元にやってくる。

こんな状況、歓喜するしかないだろう?


「なんでこんなに美女ばかりなんだ?」


その疑問を担当の管理官にぶつけてみた。

彼女は淡々とした口調で説明してくれた。


「女性は魔力適応によって身体が変化します。簡単に言えば、男性を魅了する方向に成長するのです。また、高いレベルになるほど老化が抑制されるため、美しさが保たれます。」


要するに、魔力によって女性たちは“男性の理想”そのものに進化しているらしい。

それを聞いた瞬間、俺は思った。


「これなら男たちは喜ぶはずだろう。」


だが、現実はそう単純じゃなかった。


「男性には、“致命的な欠陥”があります。」


そう管理官は続けた。


「魔力が男性の〇巣に悪影響を与えるため、性欲がほとんどなくなってしまうのです。そのため、女性たちは魅力を高め、男性に少しでも関心を持ってもらおうと日々努力しているのです。」


俺にはその“欠陥”がないらしい。

だから、どこにでもあるハーレムものの主人公みたいな生活が許されているのだと知った。


こうして俺の“爛れた生活”が始まった。


日中は女性を抱き、夜は豪華なマンションの中で飲んだり遊んだり。ジュースだけど…

そして、たまに護衛を引き連れてダンジョンに足を運び、レベル上げをする。

それが俺の日常になった。


この世界では、レベルを上げると身体能力が向上する。

それだけじゃない。

俺は性欲まで高まり、いわゆる“絶倫”になるのだ。

レベルを上げれば上げるほど体力が増し、俺の“営み”はさらに激しさを増していった。


さらに、身体強化や回復魔法を使えば、魔力が尽きるまではどれだけでも“続けられる”

この点では、俺にかなう男性はいないらしい。

普通の男は少し腰を動かしただけで“フィニッシュ”してしまうらしく、女性に快楽を与えるどころか、ただの“子種提供”の作業で終わるという。


「だから俺は異常なんだと?」


管理官にそう尋ねると、彼女はあっさりとうなずいた。


「そうですね。他の男性とは一線を画しています。あなたが喜ばれるのは当然です。」


むしろ女性たちは、俺に“激しく扱われる”ことを望むほどだ。

乱暴に抱かれることが喜びだというのだから、この世界は本当にどうかしている。


他の男性が持ち得ない“異常さ”を俺は手にしていた。やったぜ!

俺は心の中でそう叫びながら、この世界での立場を存分に楽しんでいた。


ダンジョンでレベルを上げ、身体能力と性欲を高めて、美女たちに囲まれる生活。

確かに俺は“異常”だ。

でも、この異常さこそが俺に許された特権であり、この世界での生き方だ。


「こんな世界、最高じゃないか。」


そう思わずにはいられなかった。


だが、俺の生活がまたもや一変したのは、探索者協会本部を何気なく訪れたときだった。

その日、俺は何気なくロビーを歩いていると、目を奪われる光景に出くわした。


黒く艶やかな髪、紫の豪華な着物を大胆に着崩し、豊満な胸元を惜しげもなく晒す妖艶な女性。


黄泉だった。


俺の知る黄泉。

ダンジョンズドミニオンの黄泉国(よもつくに)の主だ。

ゲーム内では圧倒的な存在感を放つキャラクターだ。

だが、目の前に現れた黄泉は、虚構の存在などではなく現実に存在していた。

そしてその隣には二人の男と白髪の巫女服を着た女性。


誰も知らない連中だったが、俺が目を奪われたのは黄泉とともにいる男たちだ。

一体どういうことだ?

黄泉は唯一無二の存在であり、ゲームではプレイヤーの伴侶になるキャラクターだ。

その黄泉が、この二人の男のどちらか――もしくは両方と行動を共にしている。


目が離せなかった。

気づけば俺は拳を握りしめ、無意識に睨みつけていたらしい。

だが、黄泉を連れた彼らは、俺をちらっと見るだけで気にも留めず、そのまま去って行った。

その態度が無性に腹立たしかった。


後から調べた話によれば、一年前に「黒野 時夜」という名前の男がふらりと現れ、探索者協会に登録したらしい。

俺と同じ13歳の少年だ。

彼は仲間とともに次々とダンジョンを攻略し、その成果を挙げているという。

今や彼らのグループは期待の新星として注目されているとか。


だが、それだけではなかった。

俺は忘れていたんだ。

この世界がダンジョンズドミニオンに酷似していることを。


三年前、突如として世界中にワールドアナウンスが響いた。

ワールドアナウンスは、荘厳な鐘の音と共に以下の内容を告げた。


「幽世 琉刑場ダンジョン、消失確認。」


「新たなダンジョンマスターの誕生を宣言。」


「システム全開放を実行。」


「ドミニオンバトルの開始を告知。」


正直、その時の俺は、その衝撃的な知らせを軽く受け流していた。


「ゲームかよ!」


俺はそうツッコミを入れて笑い飛ばし、適当に流していたのだ。

まさか今、その意味が俺に重くのしかかることになるとは、夢にも思わなかった。


黄泉を連れている――つまり、あいつがダンジョンマスターだ。

そして何より、あいつも転生者に違いない。

そう確信した瞬間、俺の中で何かが燃え上がった。


「邪魔だ……あいつは、俺の世界の邪魔になる。」


そう思ったら止まらなかった。

それから俺は、病的なまでにダンジョン攻略に打ち込むようになった。


負けていられるわけがない。

俺の世界の邪魔になる。

絶対に邪魔させない。

ここは俺の理想郷だ。


もともとダンジョン攻略は嫌いじゃなかったが、この時期の俺はまさに執念そのものだった。

片っ端からダンジョンを攻略し、成長を続けた結果、15歳を迎える頃にはレベル90に到達していた。

探索者ランクはSSランクに上り詰め、御三家に匹敵する実力を持つまでになっていた。


正直なところ、今では俺の護衛たちのほうが足手まといだ。

彼女たちは、俺の種付け相手としての役割が主になり、実戦では付き添いのような存在に変わっていった。

日替わりで護衛を交代しているのも、俺と“そういう関係”だからだ。


だが、それでも俺は満足していなかった。

黄泉とあの男たちの影が、心のどこかに引っかかっていたからだ。


そして迎えたこの春、国の馬鹿げたきまりで、俺は国立探索者学園へ強制入学する事となった。



画像は自動生成AIによるものなので、イメージや雰囲気で楽しんで下さい。


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