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月曜日の巫女  作者: 桜居かのん
第一章 月曜日の憂鬱
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暗闇の中に佇んでいた。


何故こんな所に私はいるのだろうか。


何か明かりは無いだろうかと目を凝らしていたら、遠くにぼんやりと明かりが見える。

私はそこに向かいゆっくりと歩く。

何も聞こえない。

足音すらも。

そしてその明かりの下に、ぽつんと正座をしている子供の後ろ姿が見えた。

後ろ姿なので顔はわからないが、男の子だろういうとはなんとなくわかった。

真っ暗闇に光を携えた小さな男の子。

寄せ付けない凛とした姿に、私は少し見とれてしまった。

でも。こんな暗闇に独りだけ。


この子は、寂しくはないのだろうか。







ジリリリリリ。

布団から手を伸ばし、ぱしりと叩いて目覚まし時計を止めた。


『なんか、不思議な夢だったな・・・・・・』


さっきまで覚えていたようで、いざ思い出そうとしたら夢の内容が思い出せない。

ただわかるのは、心の中に残ったよくわからない感情だけ。

私はまだ気だるさを残したまま、学校へ行く準備を始めた。







ーー私立 晴陽学園。


都内から少し離れた場所にある、中高大一貫教育を行う割と規模の大きな学校だ。

中高は原則寮生活で私は高校からの編入組。

この学校に入るには学園側からの試験招待通知が届いた生徒、

ようは学校側が声をかけた生徒では無い限り、

試験そのものを受けることが出来ない。

それは自宅と学校両方に通知されるのだが、

これがうちの中学に来た時は校長室に呼び出され、

校長先生はじめ先生方にそれはそれは大喜びされた。


その理由はこの学校の卒業生が芸術家から政治家まで幅広く優秀な人材を世に送り出しているという実績があるからで、

そんな学校からうちの学生にお声がかかったという事が大人達のプライドをくすぐったらしい。

きっとこんな公立の中学に通知が来ることは無いのだろう。


でも私だけそんな通知が来ることに理解が出来なかった。

文武両道でも無い。

一芸に秀でている訳でもない。

ましてや美人な訳でもない。

でも先生方曰く、学校側が膨大なデータを持っていて、

伸びしろのある生徒も声をかけているなんて言うが、

通知の基準を公開しないため、先生方も選抜理由がわからないようだった。


私は最初あまりに胡散臭い気がして尻込みしていたが、

通知者だけに開かれる学校説明会に先生方の強烈な後押しもあり参加したところ、

一気に気持ちがかわった。

沢山の部活、自由な校風。

先生と生徒の垣根が低く、仲が良いのが伝わってきた。

小学校、中学校といじめの経験がある私にとっては、

ここなら大丈夫かも知れないという期待もあった。

元々費用を抑えるため高校も公立に行く予定だったが、

寮に入る割に授業料含めてもかなり安いこともあり、

両親も大喜びでここを第一希望に試験を受け見事合格、

今私はこの寮で一人暮らしをしながら学校に通っている。


楽しい学校生活なのだが、やはりかったるいときだってある。


特に月曜日の授業は何故こうも長くて、かったるく感じるのだろうか。



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