捏造の王国 その85 これは訓練ではないはず…、誤報しまくりアラートに、危険物をヒトに投げる警備 そんなさなかに公私不明の首相夫人は外遊、内憂ありすぎニホン国
なんちゃって民主主義国家であるニホンの統一地方選挙。遊説に出たキジダダ総理が襲われそうになるが、幸運にも未遂で終わった。しかし、警備やらなにやらの不備をチクチクと指摘され…
桜が散ったらもう藤やツツジが咲きほこるという季節感ハチャメチャなニホン国。もう夏かと思える気温から一転、ヒョウが降るという気候にあわせたかのように、選挙戦も上下左右、東西南北、前半戦衝撃の結果となっていた。野党第一党ミンミン党に失望した面々がなぜか口だけ金大好き衛星与党維新の党に投票して本家与党ジコウ票をも食い荒らし、アベノ元総理の血縁である世襲4代目ノブンチヨ氏があまりに〇鹿若殿すぎて落選しそうという、わけのわからない展開になってきた。
もちろん、ジコウ党トップであるキジダダ総理も選挙応援に余念がない。
「ふう、今日の演説も無事終わった。ああ、しかしあの時は、ヒヤッとしたなあ」
と、先日の爆破物騒ぎを思い出すキジダダ総理。
遊説の際に爆破物をなげこんだ青年がいたが、一般市民に取り押さえられ、しかも不発だったという、幸運というか、まあ、ニホン国ですからというかという展開で、おそらく標的だったはずの自分が被害に遭わなかったことに安堵していたが
“あのう、一般の人たちも危なかったんですけどお、支持者のことはどうでもいいですかあ”
と、チクリと嫌味をいうのは久方ぶりの登場である地獄の書記官。前前首相のころより、ニホン国からの亡者、とくに生前の罪がてんこ盛り過ぎる政府与党ジコウ党のトップらに、少しは罪を減らせ、償ってから地獄に来てください、さらに亡者の数減らしてください、アナタ方のせいで地獄がさらに地獄化しますから、と忠告というか改心のために説教にたびたびきている。しかし、日光〇ル軍団でもできる反省ができない面々には暖簾に腕押し、糠に釘。とはいえ、閻魔大王ほかの命ということもあり、賽の河原の石積みよりもむなしい仕事、ジコウ党のトップらに忠告にきているのである。
「な、何をいうんだ、きちんと一般人のことも考えているんだ、私は首相…」
“そのう、警備の人が危険物を聴衆のほうに蹴飛ばした映像が流れてますよお。それに防御の板で防ぐのは爆発物のほうで、首相ではないですよねえ、爆発物を覆わないと首相ごと吹っ飛んでいたかもしれませんねえ、あの青年がちゃんとしたの作ってたら”
「し、素人がそんなの作れるわけ…」
“あのお、ナントカバンとかいう組織はネットで爆弾の作り方、とかやっちゃってましたよねえ。それをみて作っちゃって成功したのが欧州でちらほらありましたけど。ああ、それで奪衣婆さんが、欧州の側のHELLの門番というか、まあ同業者にテロ関係でHELLにきた死者たちからの話をいろいろ聞いたんですけど”
地獄の入り口で亡者を迎えるようなお仕事で見聞きした話など、きっとロクデモナイと思いつつ、つい好奇心で耳を傾けてしまうキジダダ総理。
“例えばあ、化学物質でのテロ担当の方によりますとお、○○と××を化合、簡単にいうと混ぜて、△△を作り出して、周りの人に被害を与えられるとか、まあ屋内のほうがいいそうですけど、屋外でも、正直、この間キジダダさんが危ない目にあったときのあのぐらいの人数だったら結構効き目有ったとか。後ろが海で逃げにくいから、やはりここらへんで噴出させ、とか”
○○も××も普通に手に入る、一見化学薬品とは思えず、下手すると家庭でも使われるようなモノ、キジダダ総理ですらホームセンターとかで手に入りそうと思ってしまうほど身近なものである。
「そ、そんな簡単に有毒なものが作れるわけが」
“あの、わざとじゃなくて事故で結構死人で出ますけど、ニホン国でも。混ぜるな危険とかいっても、よく読まないでやっちゃうんですよね。まあ、ニホンって被爆国なのに放射線とかの危険性ちゃんと教えてないから、放射性廃棄物のバケツリレーやって、トンカイ村で事故おこしちゃったりするんですけど。ちなみに、アノ被害者は本人の無知やら不注意もありましたけど相当苦しんで死んだんで一応極楽のほうにいってますけど。まあ原因作った人はその逆ですけどね”
「ま、まあ、我が国の国民にはいまいち科学的知識が欠けている面があるのは認めるが…」
“パンデミックのときも相当無知さらけ出してましたよね、今もですけど。それはともかく、他にもあの爆発物はフェイクでわざと軽いものにして、本当は自爆テロで爆発物を体に巻き付け、聴衆を大勢巻き込み、標的に恐怖を与えてダメージを食らわせるとか、さらに■■イチより汚染物質を◇◇して★★とか、ドローンで…”
と、気軽にできる小規模テロ攻撃講座をおこなう地獄の書記官。その内容に
「そ、そんなに楽にできるわけない…しかし、取り押さえられたのは割とフツーの青年でしかもわが党の支持者だったとか」
“まあ、わかりますよ、最近のアナタ方みれば失望どころか絶望しますよねえ。威勢のいい言葉につられて、熱心に支持したものの、やることなすこと国民の害ばかり。その政策が益になるのは利権のある企業だの、一部マスコミ、お取り巻き連中だけ。そりゃ、ガッカリしますわ、ウン億円かけたアラートが時間も場所も何もかも不正確。探知できないのは相手が本気になったからーというのは大臣の言い訳としては酷すぎますしねえ”
「そ、そのアラートは、防衛の一環として、でも、まだ精度が、その」
“まあ、もともとその仕組み自体かなり無理有るらしいですけどね、ミサイル探知には。それでもお仲間のナンタラ重工とか、システム屋とか儲けさせるのにはいいんでしょうねえ。ジエータイとかで本当に必要な備品が買えないのは、バカ高い質もよくない品を中央で業者の言い値で買って地方にまわすという無駄があるからでしょう?地元のスーパーで買うとか、トイレットペーパーとか文具とかなら秘密云々とかもないと思うんですけどねえ。それともボールペンにナントカが仕込んであるとかいうライトノベル作家も呆れるような妄想話を信じているんですかあ”
「いや、さすがにそんな、第一、普通の隊員にはそんなことする必要もないし」
“まあ、装備はきちんとすべきでしょうけどねえ、役にも立たないアラートに金をかけるなら。まあ、残念ながら警備の教育なってないようですしい、『あんなんなら、俺らが本気出さなくても、簡単にキジダダぐらいやってやれるぜ』といってた某暗殺部隊がいたそうですし。あ、ご安心ください、死者ですから。でも、誰かを依り代にして彼らを呼び出そうとかいう動きもあるようで、油断できないかもしれませんねえ。ぜひとり憑いてもらいたいとかいう若者とか熟年男性とか…”
「そ、そんなにダメなのか、うちらの警備」
“本当は優秀なのかもしれませんけどお、あらゆる事態を想定した訓練はしてないんでしょうねえ。テロリストはこういうもん、というマニュアルが古すぎてきちんとアップデートしてないんじゃないんですかあ。ほら、ニホン国って前例踏襲主義だしい、よそで学んだ人とか、新しい知識を取り入れる人を敬遠しますからねえ、まさにジコウ党がそういう感じですしい。夫婦別姓とかいろいろ新しい考え嫌いますからねえ、キジダダさんも”
「そ、そういうわけでは、その、新しいものも取り入れる努力を」
“するフリはお上手ですねえ。新しいといえば、総理夫人は公人という新しい考えになったんですかあ、元総理のアベノさんの奥さんアキエコさんは私人でしたよねえ、いつの間に変更したんですかあ”
「え、えーと、その」
“旦那さんの襲撃事件があっても、公務が有るから帰れない―ってこれ、公人ですよねえ。閣議決定すらやらずにまた定義変えたんですかあ。民主主義とか議会政治へのテロ行為又やったんですかあ。ほんと、こういう襲撃はやっちゃうんですよねえ。ある意味、悪質なテロですよねえ、誰も気づかずにじわじわと何千何万の国民に大被害及ぼしちゃうんだから”
「わ、私は被害者なのに、加害者みたいな言い方しないでくれえ」
“標的という自覚があるなら、呑気に床屋に通ったり、外に食べにいくのをやめて、官邸で大人しくしていたらどうですかあ。まあ、官邸だってアベノさんときにドローンが飛んできましたからねえ、アレがテロでなくてよかったですねえ。それぐらい甘い警備なんですよねえ。金をかけても、その程度というなら、予算云々以前に、教育体制見直し、体制刷新やらないと本当に危ないですねえ”
確かに大幅に刷新、改革やらないと本当にわが身がアブナイ。しかし、絡み合った利権だの、持ちつ持たれつのコネ、世襲だのにメスをいれたら別の意味でいろいろ危うい。ジコウ党らのせいで社会に絶望した人々を増やしているのだから、テロの標的になるのは半分自業自得かもしれないが、青年らが生存権、幸福権を享受するような社会にしたら自分らの特権がなくなるし…と悩むキジダダ総理であった。
本文に肝心の部分がぼかしてあるのは、マネする方を出さないための筆者の配慮です。まあ、身近にヤバい化学薬品だのなんだのがあるのは本当なので、絶対に危ないことはやめましょう。世の中を変えるには、非暴力のほうが成功しやすいそうですし。