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退屈な日常

作者: アビスケ

暗い内容が続きます。基本的に何も起こらないです。

六月の中旬―

僕が高校生になってから大体二か月たった。その間の日常は恐ろしく何もなく退屈だった。



今日の空も昨日と大して変わらなく見えた。本当は昨日は雨が降っていて今日は晴れ空であるのだが、どうでもよかった。上を見上げて空があればどっちでも一緒だ。空は空だ。自分に何もしてくれない。空に巨大な飛行物体でも現れてくれれば空に感謝するだろう。そこまで考えると空はきっと自分から感謝をもらうことを望んでいないだろうことに気づいた。また嫌な気持ちになった。



高校生といえば青春だ。青い春。息が詰まりそうな字面だ。この言葉に当てられた意味を考えるといよいよ呼吸困難になってしまいそうだ。自分からしたら敵対概念でしかなかった。



高一の時もそうだったが、僕にはクラスに友達と呼べる人は一人もいなかった。入学して早々クラスにはグループが存在していた。前に同じだった学校の人たちのグループや部活のグループなどだった。水面下で作られていたグループもあった。僕にはそんな人たちがひとりもいなかった。時間が解決してくれるだろうと思ったが何も変わらなかった。自分から動き出さないやつに誰も相手をしなかった。



そんな感じで高一の時に友達作りに失敗して今がある。毎日が入学式当日のようなものだった。休み時間は机に額を当て続け強固なATフィールドを作る。多分暴走した初号機でも破れないはずだ。周囲はこんな自分を見て何を思っているのだろうか。気になるけど確かめられなかった。



こういう風にしているとクラスの他の人たちの声が耳に入る。その会話を聞いていると自分もその会話に入って一緒に話せる気がした。自分も一緒に笑いあえる自信があった。ノー勉でテストに臨むときと全く同じ自信だった。



特にいじめを受けているわけではなかった。クラスの人たちが楽しそうにしている中でたった一人でいるのは苦痛でしかなかったが、その苦痛は相手に伝わりづらい。特に先生と親には。こんなことを親に言っても話しかけないあなたが悪いと言われるだけだ。話しかけないから友達ができないのだと。親の言うことが正しかった。



学校が苦痛でしかない責任は誰にあるのか。答えは自分だ。そう考えると死にたくなった。いじめられるのはクラスの人たちから嫌われることで始まる。一人になるのはクラスの人たちから相手にされないことから始まる。好きの反対が無関心ならこの二つってあまり大差なくないかと思った。死にたくなった。



勉強も嫌いだった。学校に行くと勉強をさせられる。学校は自分に対して苦痛しか与えなかった。



こんな自分を周りの人たちはどう思っているのか。相対的評価を気にすると心が痛むので自分の世界に入ることに専念した。問題の解決からどんどん遠ざかっていくがそんなことを気にしてる余裕はなかった。



体育の二人一組、班行動の班決め、毎日の昼休みをどう過ごすか、色々あった。どれも嫌だった。僕の学校はスマホが禁止だった。いじっているところを見つかると色々と面倒なことがあった。一人は暇でいる時間が多いからスマホを使わずに時間をやり過ごすのも大変だった。



高三になれば受験もある。この糞みたいな学校生活を送りつつ大嫌いな勉強にも力を入れなければならない。



最悪だ。退屈な日常もこれからのことも。



時計を見ると午後三時になっていた。六時間目もあと三十分くらいだ。朝の八時に校門をくぐってからずっと願っていたことがようやく叶う。



その時 僕は自分が学校についてから一言も言葉を発していないことに気づいた。

読んでくださって本当にありがとうございます。

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