第九十八話 デート本番
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、デート本番がやって参りましたっ!
さぁっ、二人でイチャイチャタイム突入ですっ!
それでは、どうぞ!
デート当日、俺は、寝不足な目を擦りながら、ノーラと一緒に服を選んで、それを着る。黒を基調とした、所々赤いアクセントのあるワンピースに、黒のサッシュベルト。その上には臙脂色のトレンチコートに、モコモコの黒いマフラー、赤い手袋。赤い宝石のついた髪飾りと、イヤリングもまた赤いもので、ネックレスは赤い宝石と緑の宝石の半々でハートを形作っているものだ。宝石の名前は、ルビーだとか翡翠だとか聞こえたような気もするが……気にしたら負けだ。
(これ、ライナードの色、なんだよなぁ……)
翡翠は、ライナードの髪と角の色。ルビーは、ライナードの瞳の色。ここで用意される服やら宝飾品は、やたらと赤や緑が多いと思っていたが、何のことはない。これらは全て、ライナードの色なのだ。
(……何か、ライナードの独占欲が強いみたいに見えるよな)
そう考えながらも、それが嬉しいと思ってしまう時点で、かなりの重症だろう。
(俺はノーマル……)
もはや呪文じみてきたそれを心の中で唱えると、俺は少し緊張しながら部屋でライナードを待つ。
「カイト? もう準備はできたか?」
「あ、うん」
障子の外からライナードに声をかけられ、答えれば、スッと障子戸が開き、ライナードが姿を現す。
「カイ、ト……」
俺を見た瞬間、ライナードが固まってしまったが、それは俺も同じだった。
(か、格好良い……)
ライナードは、普段の騎士服も十分格好良かったが、今日の黒をベースにした装いもまた、とても良かった。黒のトラウザーズに、ストライプ模様のカッターシャツ。その上に黒のベストを着て、肩には後から着るのであろう黒いコートを提げているその姿は、何だかドキッとするものがある。
「カイト、可愛い……」
ぼんやりとライナードに見とれていると、ライナードはいつの間にか目の前に居て、ほんのり赤い顔でそう告げる。
「とても、似合ってる」
「あ、ありがとう」
どうにかこうにか返事をしながら、それでもお互い、顔を赤くして動けない。すると……。
「そこまでですっ。開演の時間もありますし、そろそろ出られてはいかがですか?」
「そ、そうだな」
「う、うん」
見かねたノーラの一言で、俺達はようやくギクシャクしながら動き出す。
「それでは、いってらっしゃいませ」
「「「いってらっしゃいませ」」」
ドム爺を筆頭とした、多くの使用人達に見送られて、俺はライナードと馬車に乗り込む。その間、お互い無言の状態が続く。
向かい合わせに席に座り、何となく、ライナードを直視できないでいると、ライナードがようやく口を開く。
「カイト、俺のために、着飾ってくれて、嬉しい」
「っ……そ、そう」
赤い顔で、それでも真剣に言うライナードを前に、俺は視線を逸らさざるをえない。
(何? この空気っ!? 相手は男だぞっ!?)
心臓がやたらバクバク鳴るのは、きっと気のせいだと暗示をかけながらじっと座っていれば、ようやく、街に辿り着いたようで、馬車が止まる。
「カイト、手を」
「う、うん」
エスコートされるのは慣れないものの、俺は、ライナードの手を取ってそっと馬車から降りる。
「って……うわぁっ、すっごいなっ!」
ライナードから目を逸らし続け、かといって外の景色を見ることなくここまで来ていた俺は、その街の景色に息を呑む。
街は、魔法でライトアップされ、道の端には雪で作られた雪像がいくつも並んでいる。
「あぁ、恐らく、地域の雪祭りが近いんだろう。雪祭りは地域ごとに時期が違うからな。ここは……明後日みたいだな」
「雪祭り……」
詳しく聞けば、雪祭りは雪が良く降った時期に行うものらしく、明確な日にちはあまり決まっていないという。
「でも、最近は晴れてたよな?」
「雪祭りを行う日は、一週間前に決まるんだ。一週間前は、雪がすごかっただろう?」
そう言われてみれば、確かに、一週間前は豪雪だったような気がする。その証拠に、三日くらいは晴れが続いているはずなのに、未だに大量の雪が道の端に残っていた。
「カイトが行きたいと思うのならば、明後日もデートだな」
「っ!?」
さらりとデートの約束を取り付けられて、俺は思い出したかのように顔が赤くなるのを感じる。
(うぅっ、なんか、ズルいっ)
俺ばかりが、ライナードに与えられているような気がして、俺ばかりが悶々とした想いを抱えている気がして、そんな感想を抱くものの、それで何かできるわけもない。
(……そうだっ。ライナードに内緒で、何か贈り物を買おうっ!)
せめてものお礼に、それくらいはしてみせよう。ライナードには店の外で待ってもらうなりなんなり……できるかどうか分からないが、やるだけやってみよう。
密かな決意を胸に、俺はライナードと一緒に、賑やかな街へと繰り出すのだった。
海斗ちゃん、もう手遅れ……げふんげふん。
ま、まぁ、まだしこりはあるんでしょうから、そこら辺をこう、ジワジワと解消できれば良いですよね。
次回は、ライナード視点でいってみましょう!
それでは、また!




