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第八十六話 実験にはトラブルがつきもの

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、実験の回。


それでは、どうぞ!

 メジャーの端に立たされ、側にはニナと、前方の少し離れた場所に、何やらプルプル震えている細身の騎士らしき人物が一人。その後ろには屈強な男達が十人ほどと、カラクが居た。



「ひょーっ! それでは、実験を開始するぅ!」



 実験内容は至って単純。ニナをその場に残して、俺が指示された距離まで離れていくのだ。そして、向こうでプルプルと震えている男が魅了にかかったら、屈強な男達の出番。激辛君昇天錠というとんでもないネーミングの気付け薬を男に飲ませて、俺はニナの元に戻って終わりだ。



「ではではぁっ、まずは三メートル離れてみるのだっ!」


「カイトおねえちゃん……」



 ニナは不安そうに俺を見つめてくるが、これもニナのためだ。どれだけ離れたら危険なのかを把握しておくことは、重要だった。



「大丈夫。異変があったら、すぐに駆けつけるから」


「……うん」



 未だに不安そうなニナを置いて、俺はとりあえず三メートル離れてみる。



「ひょっひょっひょっ。まだまだイケるようだっ! ひょっひょっ、イケる、イケる……さぁっ、五メートル!」



 そう指示されて、俺は五メートル離れてみる。



(うん、まだ大丈夫なんだな)



 そこからは、一メートルずつ距離を伸ばして指示をされて、俺はどんどん従っていく。



「十五メートル!」



 案外大丈夫なものだと、俺はその時、少しばかり呑気に考えていた。だから……。



「あ、あぁ……」


「う、あ」


「おぉぉ……」



 そんな呻き声が聞こえた時に、俺は何が起こったのか、一瞬理解できなかった。



「ふぇっ、カイトおねえちゃぁぁぁぁんっ!!」



 呻き声が聞こえた直後、ニナがこちらに向けて走ってくる。



「ニナっ!」



 魅了が発動してしまったことに気づいた俺は、慌てて、ニナに駆け寄り、ニナの体を抱き締める。



「ひょーっ!!」



 そして、カラクの声が聞こえたかと思えば……そこには、実験に協力してくれていたはずの男を含め、彼を止めるはずだった屈強な男達が合わせて五人、倒れていた。



「これは、いったい……」


「カイト嬢! ニナ嬢! 大丈夫かねっ!?」



 呆然と倒れた男達を見ていると、カラクがシュババッととんでもない勢いで俺達の前に立つ。



「ひっ!」


「怪我は!? あぁ、ニナ嬢には怖い思いをさせたか。実験は中止っ! 中止ぃっ! 実験体を慮れないなど、実験課所長にあるまじき行為っ! 実験方法は見直さなければっ。さぁ、とりあえず休憩室へと向かうのだっ!」



 ニナがぎゅうぎゅうと抱きついてきて、逃れられない状態で聞いたマシンガントークに、俺ははて、と首をかしげる。



(あれ? 案外まとも?)


「ひょーひょっひょっひょっ、さぁ、木偶の坊どもっ! その倒れた者どもは医務室に運ぶのだぁっ! 私は、二人のエスコートを「やっ」ぶひょっ!?」



 出会った時と同じく、ニナに鼻を攻撃されたカラクは、大袈裟なくらいにその場にうずくまって悶絶する。



(……うん、ライナードが害はないって言った意味が分かる気がする……)



 恐らく、カラクは基本的に善人ではあるのだろう。その言動から、性格まで破綻しているように見えるが、実際のところは、そこまで酷い性格というわけではなさそうだった。



「なぜっ、なぜっ、鼻ばかりぃぃいっ!」


「やっ!」


「ぐはぁっ」



 今度はニナの言葉に胸を押さえ始めたカラクに、俺はちょこっとだけ同情する。



(まぁ、でも、ニナの気持ちの方が良く分かるけどな?)



 結局、俺達は屈強な男達の中の一人に案内されて、休憩室へと入ることとなったのだった。

カラク、書いててとっても楽しかったですっ!


次回辺りは、夕夏ちゃんとの対面を書きたいなぁと思っております。


それでは、また!

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