第八十三話 城へ
ブックマークや感想をありがとうございます。
さぁ、海斗ちゃんは魔王討伐の旅以来の魔王城です。
それでは、どうぞ!
占いの結果は、城に滞在となった。期間は一週間。そして、滞在許可に関しては、どうやったのかは知らないが、ライナードがすぐに取ってきてくれた。
「まさか、あんな方法があるなんて……」
「占い、でしたわよ?」
リリスさんに言われた占い方法は、俺にとって良い結果を意識しながら、様々な選択肢が書かれたカードをめくってみるという方法だった。自分の強運に関しては自覚があるし、確かに、その方法ならば外れはないということになる。そこで出た結果が、城に一週間滞在するというものだったのだ。
俺は、リリスさんとローレルさんが転移魔法で帰るのを見送って、ライナードとまだ眠りの中に居るニナの二人と一緒に馬車に乗り込む。
「お城って、あれだよな?」
「む、そうだ」
馬車に乗り込んで……俺はすぐに、窓の外でその巨大な城の姿を目にする。どうも、思っていた以上に、屋敷から城までの距離は近かったらしい。
(そういえば、俺、ライナードと出会った時にはあの城に居たんだよな……)
ほとんど警備の居ない城に侵入して、魔王討伐とやらに付き合い、あげくの果てに置き去りにされたことを思い出して、俺は顔をしかめる。
(……でも、ライナードに会えた)
置き去りにされた後、俺は初めてライナードと出会ったのだ。いきなり医務室に連れていかれたかと思えば、そのまま抱き上げられて馬車に押し込まれて、屋敷まで運ばれた時のことを思い出した俺は、ふっと笑う。
「カイト?」
「いや、ライナードと初めて会った時のことを思い出してた」
思えば、あの時は随分と警戒していたが、ライナードには警戒の『け』の字もなかったのだろう。呑気に俺の食事の好みを聞いていたことを考えると、もうその時から、ライナードは俺を片翼と認識していたのだろう。
「そうか……俺はあの日、カイトに出会えて、本当に良かったと思っている」
ふんわりと微笑みながら告げられて、俺はじわりと心が温かくなるのを感じる。
「俺も、ライナードに会えて良かった」
嘘偽りのない言葉を告げれば、珍しく、ライナードの顔が赤く染まっている。
「? ライナード?」
「む、いや、何でもない……」
そうして穏やかに話をしていると、馬車が止まる。
「ようこそ、カイト。ここが、ヴァイラン魔国が誇る、マリノア城だ」
自信満々に紹介するライナードにおかしくなりながらも、俺はニナを背負ったライナードの導きに従って、城の中を歩く。
「まずは、謁見をする。そして、ニナと一緒に、一週間滞在させてもらう」
「謁見……」
ライナードのその言葉で、俺は青ざめる。
(ちょっと待て! 俺って、魔王を害そうとした奴らの一味っていう認識だよなっ!?)
もしかして、俺はその謁見の時に牢屋に入れられるという可能性もあるのではないか? いや、だが、ライナードに預けると魔王は言っていたし……。いやいや、それは本来、俺に罰を与えるためであって、その様子が全くない俺は、何らかの罰を改めて受けさせられる可能性が高いんじゃないのかっ!?
グルグルと巡る思考の中、俺は懸命に、どうすべきかを考える。
(ま、まずは、謝罪、だよな?)
そう、謝罪が一番だ。何せ、一国の王に対して刃を向けたも同然のことをしたのだ。せめて、誠心誠意、謝罪しなければならないだろう。実際、今は魔王には全く、何の非もないことは知っているし、むしろ、ライナードの上司だから仲良く……というのとは違っても、ギスギスとした関係は良くないはずだし……。
黙り込んだまま、スタスタと進み続けていると、ふいに、目の前のライナードが立ち止まる。
「カイト、礼儀作法は気にしなくて良い。だから、そう緊張するな」
「う、うん」
(いや、緊張してる理由はそれじゃないからな!?)
そう思いはするものの、ライナードが本当に俺を気遣ってくれているのことは分かるため、反論することなく受け入れる。
(落ち着け、俺。大丈夫。最初にやることは決まってるんだ。そう、土下座、ジャンピング土下座、五体投地のどれかだ。……ん? あれ? 決まってない?)
「魔王陛下がお会いするとのことです。どうぞ、お入りください」
(えっ!?)
そうして、俺は考えが纏まる前に、いわゆる謁見の間へと招かれてしまうのだった。
気まずい海斗ちゃん。
混乱している海斗ちゃん。
書いててとっても楽しい(笑)
さて、それはともかくお知らせです。
ようやく、海斗ちゃん達のホワイトデーのお話が書き上がりましたので、『片翼シリーズ番外編』で更新しておきますね。
それでは、また!




