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第七十六話 行方不明(前半ノーラ、後半ライナード視点)

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、カイトが居なくなって、ノーラ達は……?というお話です。


それでは、どうぞ!

 カイトお嬢様が居ないことに気づいたのは、護衛と新しい侍女を引き連れて、カイトお嬢様の部屋へ向かった時のことだった。



「カイトお嬢様?」



 部屋に気配がない段階で、嫌な予感はしていた。しかし、もしかしたら他の部屋に居るのかもしれないと、私は一緒に着いてきた護衛や侍女達に命じて、一斉にカイトお嬢様を探し出す。



「こちらにはいらっしゃいませんっ」


「こちらもですっ」


「っ、そう、ですか……」



 結果、カイトお嬢様はこのお屋敷のどこにも居ないということが分かった。



(早く、ライナード様に連絡しなければっ)



 カイトお嬢様が何者かに拐われたという線は薄い。しかし、書き置きもなく消えたカイトお嬢様のことを考えれば、その可能性もゼロではないと思えて焦る。



「私はライナード様からの指示を仰ぎます。あなた達は、カイトお嬢様が拐われた可能性を視野に入れて、周囲の調査をしてください」


「「「はいっ」」」



 私は、すぐさまライナード様に連絡を取るべく、伝声魔法を使用しようとして……直後、玄関の方に馬車が止まるのを窓から目撃して、そちらへと急ぐ。



「今戻った。カイトはどこだ?」



 そこに居たのは、今、まさに連絡しようとしていた相手。ライナード様だった。あまり眠れていないのか、その目の下は真っ黒になっている。



「ライナード様、緊急事態です」



 お屋敷に入ってきたライナード様にそう告げれば、ライナード様は眉間にシワを寄せる。



「何があった?」


「っ、カイトお嬢様が、行方知れずです」



 その気迫にたじろぎながらも、現状を告げれば、ライナード様は目を大きく見開き、こちらへと詰め寄る。



「なぜだっ! いや、その前に、カイトを最後に見た場所はどこだっ!」



 混乱しながら、怒鳴るライナード様。しかし、それも当然のことだ。私は、カイトお嬢様のことを任されていたにもかかわらず、お守りできなかったのだから。



「カイトお嬢様のお部屋です」


「っ」



 お叱りは、カイトお嬢様が戻ってきたら、しっかりと受ける所存だったが、今はとにかく、ライナード様に必要な情報を受け渡す。次の瞬間には走り出したライナード様。私も、それに続いて走る。



「……これかっ!」



 てっきり、カイトお嬢様の部屋に向かうのかと思っていたら、入った部屋は、その隣のライナード様の部屋だった。そして、そこで、カーペットの一部がめくれていることに気がつく。



「これは、隠し通路、ですか?」



 カーペットのめくれたところには、小さな扉がついている。さすがに、私もこんなところに隠し通路があることは知らなかったため、驚きながら見ていると、ライナード様は躊躇うことなくそれを開けて、地下へと続く階段を下りようとして……動きを止める。



「……カイト?」


「ん? あれ? ライナード?」



 そこには、心配して必死に捜していた人が、カイトお嬢様が、きょとんとした顔で私達を見上げていた。








 屋敷に帰ることなく、ずっと捜索のために動き回り、適度に仮眠を取るために宿に入ったりを繰り返していたが、そろそろ、カイト不足が深刻で限界だった。



(次の休憩で会いに行こう)



 そうして、馬車に乗って、ウキウキした気分で屋敷に戻ってみれば、カイトが行方知れずだと聞かされ、鈍器で殴られたかのような衝撃に襲われる。



(カイト……カイトが、居ない……?)



 思わずノーラを怒鳴りつけてしまったものの、すぐに、カイトが最後に居た場所を聞き出す。



(屋敷の警備に気づかれず、誰かが侵入するなど、普通はあり得ないが……あそこなら……)



 本来、その場所に関してはドム爺が目を光らせていたのだが、今はそのドム爺が居ない。つまりは、その場所が無防備になっていたのだ。

 己の失態を思って自己嫌悪に襲われそうになるものの、とにかくカイトの手がかりを得るために、俺の部屋へと向かう。



(どうか、無事で居てくれっ!)



 もし、たまたまあの隠し通路を見つけて中を覗いているだけだというのであれば、それは問題ない。問題なのは、何者かが侵入し、カイトを拐った場合だ。

 案の定、隠し通路に繋がる扉は開けられた形跡があった。そして、大急ぎでその扉を開ければ……嗅ぎ慣れた匂いがする。



「……カイト?」


「ん? あれ? ライナード?」



 きょとんとした様子のカイトに、俺は、どうやらカイトがこの隠し通路を見つけて探検していただけらしいと安心する。しかし……。



「ひぅっ!」



 後ろに、女が居ることに気づいた瞬間、俺の目は恐ろしく鋭いものとなる。



「あっ、えっと、その……勝手に外に出て、ごめんなさい」


「……とにかく、上がれ」



 俺のその視線に、カイトは自分が責められていると思ったのか、謝罪してくる。もちろん、そのことに関してもみっちり説教するつもりだが、今は、後ろに隠れている女とどういう関係なのかを問いただしたくて仕方がない。



「えっと……その、この子、ニナっていうんだけど、この子も一緒に上がって、良いか?」


「……む」



 随分と親しそうなその様子に苛立ちは募るものの、今は冷静にならなければならないと、許可をする。すると、カイトはホッとした様子で、その女の手を引いて、部屋へと引き上げる。



(俺のカイトに手を出すなら、容赦はしない)



 そう思って女をにらめば、ビクゥと体を震わせてカイトの後ろに隠れてしまう。



「ラ、ライナード? その、怒ってる……よな? と、とにかく、ごめんっ!」


「……まずは、何があったのかを聞きましょう」



 勘違いしていることにも、そして、女の様子を許容していることにも腹は立ったが、ノーラの機転によって、何とか話し合いの体勢が整うのだった。

さてさて、次の次辺りで事の真相に辿り着け……るかな?


それでは、また!

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