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第七十二話 忍び寄る魔の手

ブックマークや感想をありがとうございます。


いやぁ、そろそろまた、雲行きが怪しくなってきますよ。


それでは、どうぞ!

 ライナードと手紙のやり取りをしながら、ひたすら待ち続けること三日。ライナードによると、まだアメリアさんは目覚めていないらしい。捜査の進展もなく、ただただ無為に時が流れていた。



「魅了って、結構厄介なんだなぁ」



 そして、今の俺は、ライナードがどんなことをしているのかを知りたいということで、ライナードが捜しているという魅了使いがどんな存在かを調べていた。



『最初に魅了使いが発見されたのは、ヴァイラン魔国であったとされる。

 当時の魔王は、次々に片翼を失い、狂う魔族が現れる現状を憂慮し、大々的な捜査に乗り出した。そして、多くの犠牲を払い、原因が後に『魅了』と名付けられる魔法を使った一人の魔族だということが判明する。

 彼は、片翼を得られず、その魔法を無意識に行使していた。後に、その魅了使いは処刑され、魅了の魔法は禁術に指定されることとなる。

 なお、この魔法への抵抗の手段としては、闇魔法への耐性が関係していると思われる』



 何とも後味の悪い展開によって、魅了使いが処刑されたことまでを読んだ俺は、パタンと本を閉じる。

 思うところは、色々とある。ライナードは無事なのだろうかとか、これからまだ、被害が出るんじゃないだろうかとか、アメリアさんが狂ってしまうのは嫌だとか……。

 あんまりにも色々な思いが浮かんできたため、俺は近くに居たノーラに、それらのことをぶつけてみる。



「ライナード様は強い闇魔法への耐性をお持ちですので、万が一もあり得ないでしょう。光の魔法で魅了使いを拘束することも、ライナード様なら可能です。そして、被害の方は、今は何とも……アメリア様の件に関しても、まだ分からない状態と言えるでしょう」



 そんな返答に、唯一、ライナードは大丈夫だという事実に安心する。他はまだまだ不安だし、何とかしたいという気持ちはあるのだが、きっと、俺が出てもどうにもならないだろう。



「失礼します。ノーラ、リュシリーを見ませんでしたか?」



 そろそろライナードの手紙が来る頃だろうかと、転移ポストを眺めていると、ふいに、ドム爺がどこか焦った様子で入ってくる。



(いつもなら、俺に許可を取ってノーラ達と話すのに、珍しい)



 リュシリーに何かあったのだろうかとぼんやり考えて、俺は二人のやり取りを見る。



「リュシリーならば、買い出しに出掛けたはずですが……そういえば、まだ戻っていませんね」


「そうなんです。それと、どうも追跡用の魔法具が壊れたらしく、今は場所も分からない状態でして……」



 弱りきった様子のドム爺。そして、追跡用の魔法具とやらの存在に、少し引き気味になりながら、俺は口を開く。



「そんなにリュシリーが帰ってくるのが遅くなってるのか?」


「リュシリーが買い出しに出掛けたのは三時間ほど前ですので、さすがに遅いかと。いつもなら一時間以内に帰ってくるはずですので」



 そう答えたノーラに、俺は、確かにそれは心配だとうなずく。



(何かトラブルに巻き込まれた、とか?)


「私はとりあえずここで大人しくしてるからさ、ドム爺、捜してきたら?」


「それは……しかし……」



 本心では捜しに行きたいであろうドム爺は、それでも職務に忠実な側面が強いのか、俺の提案に渋い顔をする。



「私にはノーラが居るし、もしかしたら、リュシリーはどこかで怪我とかして、動けなくなってるかもしれないだろ? 片翼なんだから、早く捜してやりなよ。ライナードには私から伝えとくからさ」



 まだ、片翼がどんな存在なのか、完全に理解したわけではないと思うが、それでも、片翼という存在が、魔族にとってはかけがえのない存在で、失えば狂うほど大切なのだということは理解している。

 俺の言葉に、ドム爺はどんな想像をしたのか、顔を真っ青にさせる。



「申し訳ありませんっ。しばらく、外しますっ」



 そう言って、ドム爺は素早く身を翻して去っていく。



(今日は、もう一通手紙を書くことになるな)



 リュシリーを捜しにドム爺を向かわせたというだけの内容だが、書かないわけにはいかないだろう。きっと、ドム爺はすぐにリュシリーを見つけて帰ってくるはずだから、そんなに大した報告にはならなさそうだったが……。








 しかし、ドム爺とリュシリーは、その日の夜になっても帰ってくることはなかった。

帰らないドム爺とリュシリー。


二人の身に、いったい何が!?


さぁ、そろそろ海斗ちゃんも出動になりそうです。


それでは、また!

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