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閑話 酷い悪夢

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、読み飛ばしても問題のない閑話です。


コメディさん、大暴走?


それでは、どうぞ!

「分かった、カイト。俺が性転換しよう」



 そう言ったライナードに、俺はゴクリと唾を飲み込む。いよいよこの時が来た。そう思って、少し緊張気味だ。

 ライナードは、俺の目の前で仁王立ちして、ゆっくり息を調える。そして……。



「行くぞっ」



 そう言った瞬間、ライナードは眩い光に飲み込まれて……次に目を開けると、そこには、強面な顔に、真っ赤な唇、薄く染まった頬、バッチリおめめに紫のアイシャドウが施された瞼、体格はほとんど変化なく、ただ、胸だけはこれでもかと強調されている。いつの間にか、その服は格好いい騎士服から、ヒラッヒラのショッキングピンクのドレスに様変わりし、恐ろしく、目に毒だ。



「愛してるわ、カイト」



 そして、男にしては高過ぎるその声で愛を囁かれた瞬間……。







「うわぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!」



 思わず悲鳴を上げた。



「カイト!? どうした!?」



 そして、次の瞬間、部屋に飛び込んできたいつものライナードの姿に、俺は混乱する。



「あれ? ライナード? あれ? えっ?」



 汗だくの中、布団を握り締めた俺は、そこでまた、疑問を抱く。



(布団?)



 そして、ライナードが俺を抱き締める中、ようやく、先程の光景が夢なのだと思い至る。



「ゆ、め……」


「カイト、大丈夫か? 何か暖かい飲み物でも持ってこようか?」


「良かった、本当に、夢で、良かった……」



 ライナードの言葉は耳に入っていない。ただ、俺は、先程の悪夢が、悪夢であって良かったと、心底安心する。



「カイト……すぐ、飲み物を用意してくる」



 しかし、そう言って立ち去ろうとしたライナードを前に、俺は、慌ててその袖をギュッと掴む。



「待ってっ、行かないでっ」



 今は、今だけは、ダメだ。ちゃんと、ライナードの顔を見て、安心していたい。あれは、ただの悪夢だったのだと実感したい。



「顔、見せて」


「む……?」



 何が何だか分からないといった様子のライナードを、とりあえずそこに座らせて、じっくりとその顔を観察する。



(唇、真っ赤じゃない。頬も、赤くない。目も、普通通り。アイシャドウなんて、ない。胸も、ない。ドレスも、着てない。声も、いつも通り……良かった、ライナードだ)



 じっと顔を見つめていると、だんだんとライナードの顔が赤くなってきてはいたものの、これは、化粧で赤くなっているわけじゃないので大丈夫だ。



「カ、カイト?」


「うん、ありがとう。ライナードの顔を見たら、落ち着いた」


「そ、そうか」



 耳まで赤くなったライナードを不審に思いながらも、俺はようやく落ち着きを取り戻す。



(うん、あれは、悪い夢でしかなかったんだ。本当に性転換の魔法を使っても……使ったら……あれ? ああならない保証ってあるのか?)



 そう考えた瞬間、俺は一気に悪寒に襲われる。



「カイト?」


「なぁ、ライナード、性転換の魔法をライナードが使ったとしたら……どんな姿になるんだ?」



 そう尋ねながらも、聞きたいような聞きたくないようなといった感情が胸に渦巻く。



「む、使ったことがないから分からないが、使った者の著書では、もしその性別で生まれていたらとっていたであろう姿、となっていたな」


「じ、じゃあ、色々、怖いことにはならない?」


「怖いこと? 特に怖いことはないと思うが……」


「そうか、良かった……」


(正夢じゃなかった)



 先程の夢が、本当にただの悪夢だと確信して、俺は脱力する。



「……カイト、朝食は、ここに運んでもらうか?」


「いや、一緒に食べるよ」



 どこか心配そうなライナードに、俺は安心してもらえるように微笑みかけると、布団から出て……。



「あっ、着替え……」


「外で待ってる」



 ネグリジェ姿だったことを思い出した俺は、ライナードが廊下に出ている間、もう慣れ始めたワンピースを着て、身支度を整えて、出るのだった。

いやぁ、今日になって、ふと、このお話を入れたくなって……出来心だったんですっ。


明日からまた、しっかり本編が続きますよ。


あっ、それと、本当はバレンタインのお話を、と思っていたんですが、ローレルちゃんのお話が中途半端だったので、今日はそちらを先に更新しています。


明日は、バレンタインの方を更新する予定。


それでは、また!

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