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第五十六話 予想外な魔法

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は……ようやく、海斗ちゃんがあの事実を知ることに!?


それでは、また!

 謎の謝罪から一夜明け、ただいま、俺はライナードに膝抱っこされながら、食事をしている。いや、もちろん、俺が望んだことじゃない。俺は、必死に拒否したんだ。それでも、俺よりも遥かにデカイ強面の男が、俺の手を取り、顔色を伺って、『ダメか? ダメなのか?』と必死に見つめてくる様子に……負けた。あぁ、負けたとも。それを可愛いと思ってしまった時点で、俺の敗北は確定だ。



(しばらく仕事らしきものがあるんじゃなかったのか?)



 しばらくは会えないと聞いていたのに、今は、ライナードは俺にベッタリだ。それとなく聞いてみると、今日一日だけは、ベッタリしたいみたいな返事が返ってきて、『まぁ、一日だけなら』と思ってしまった。



「そういえば、ノーラ達にも片翼が居るんだな」



 食事を終えて、それでもまだ離してくれないライナードに、俺は最近知ったばかりの話題を出す。



「む。基本的に、貴族の屋敷には片翼の居る魔族か、他種族しか仕えることはできない」



 そう言うライナードから詳しく聞いてみると、片翼という存在が、どれほど魔族にとって重要なものなのかが明らかになる。



「片翼を得るということは幸せなことではあるが、片翼が他種族であった場合、魔族はその片翼に振り回されることがある」



 もし、片翼が悪人だった場合、魔族は片翼のために、犯罪の片棒を担ぐくらいのことは平気でしてしまうらしい。



「どんなに善良な魔族でも、片翼次第で悪人になることはある」



 もちろん、魔族全てが善良というわけでもないのだが、最初からそうと分かっている魔族は、そもそも屋敷に招き入れることはないのだと言う。



「それって、片翼を得た魔族じゃないと、信用ができないってことか?」


「基本的にはそうだ」



 考えてみれば当たり前だが、片翼に出会ったせいで悪人になってしまうことがあるなんていうのは、確かに不安だ。片翼に出会う前から貴族の屋敷に仕えていて、片翼に出会った途端、牙を剥かれるかもしれないなんて、悪夢でしかない。



「まぁ、代々仕える一族が居ないわけではないから、そういった一族は、厳しい監視と誓約の元、片翼を得る前から働いていたりはする」



 そう言って、『ドム爺がそれだ』と教えてもらい、何となく納得してしまう。



(確かに、ドム爺は古株っぽいもんなぁ)



 リュシリーが片翼であるらしいドム爺。どんな出会いだったのかは知らないが、障害はあまりなさそうだ。



「ドム爺の片翼がリュシリーだと判明した時は……大変だった」


「えっ? そうなのか?」



 どちらも真面目な使用人というイメージが強いため、俺は何が大変だったのかとライナードを振り返る。



「問題があったのはリュシリーの方だが……これは、本人に聞いた方が良いだろう」


「えー」



 何となく面白そうな話なのに、答えてくれないライナードに文句を言えば、ライナードは苦笑で応える。



「本人が知られたくないことを、俺がしゃべるわけにはいかないからな」


「それは、確かに……」


(俺も、男だってこと隠してるし……)



 最近では、隠していることがつらくなってきたものの、こればっかりは仕方ない。ただ、これだけは聞いておきたかった。



「そういえば、ノーラの片翼は同性みたいだけど、同性であることに抵抗があったりとかはないのか?」



 俺としては、少しドキドキする質問。



(いや、これで抵抗がないとか言われても、俺がライナードとそうなるとかはない、はず)



 今は女の体であるため、普通に考えればライナードとの恋愛に問題はない。問題なのは、俺の心が男だということだけなのだから。



「抵抗はないな。俺は、たとえカイトが男だったとしても、愛する自信がある」



 そんな直球な言葉に、俺はバレたのだろうかと思って、思わずライナードを凝視するものの、ライナードはそんな俺にキョトンとするだけだった。



(うん、バレたわけじゃなさそうだ)



 そのことにホッとしながら、俺はその安心感のまま、余計なことまで言ってしまう。



「でも、私は同性同士は抵抗があるから、もし、私が男だったら、ライナードとはあり得ないよ」



 そう言うと、ライナードはショックを受けたような顔になった後、ポッと顔を赤くする。



(今、ライナードの中で何があった?)



 我ながら失言だったとは思うものの、ライナードが赤くなる理由が分からない。



「それ、は……俺とのことを…………いや、待て……………」



 ボソボソと何事かを呟くライナード。こんなにも近くに居るのに、その内容はほとんど聞き取れない。



「……もし、カイトが男で、同性が嫌だというならば、性転換の秘術でも使って女性になるのもやぶさかではない」


「えっ? 性転換の秘術?」


「む」



 ライナードはうなずくものの、俺の頭の中は混乱中だ。



「それって、魔法?」


「む、魔法以外に方法があるのか?」


「いや、うん、まぁ、そうだよな」



 どうやら、性別を変える魔法があるらしい。



(それを使えば、俺、男に戻れるんじゃ……)



 その瞬間、俺は、その性転換の秘術に関する知識を深めようと決意するのだった。

海斗ちゃんは、海斗君に戻れるのかっ!


そして、ライナードはライナードちゃんになるのかっ!


楽しい楽しい問題発生ですねっ。


それでは、また!

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