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第百十六話 俺の気持ち

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回からは新しい章……といっても、多分短いですけどね?


それでは、どうぞ!

 しっかりと報復ができてスッキリした俺は……今、ライナードの部屋でひたすらに悩んでいた。



(俺、ライナードのことが好きなんだよな……)



 もう、元男だということも関係なしに、ライナードに惹かれる気持ちが止まらない。自覚した瞬間には、手遅れだったのだ。今さら、告白しないというのはあり得ないところまで来てはいたのだが……問題が一つある。



(何て、告白すれば良いんだ?)



 普通、告白というと、『好きです。付き合ってください』という言葉だろう。多少のバリエーションはあれど、内容としては同じのはずだ。ただ、俺の現状を考えれば、その言葉は少しばかり違和感がある。



(もう、デートしてるし……)



 そう、俺はすでに、ライナードと楽しい楽しいデートをしていたのだ。ついでに、次のデートの約束も存在している。



(……次も、観劇に、続きを観に連れてってくれるって……)



 残念ながら、雪祭りのデートはできなかったが、観劇デートは残っている。そして、その日にまた次のデートの約束ができれば、俺は幸せだ。



(……あれ? これ、告白しなくても良いんじゃあ……)



 悩んだ結果、現状維持が良いのでは、という逃げの考えが浮かんできて、思わずそれに流されそうになる。



「ままぁ? いたいいたいなの?」


「あ、ニナ……いや、違うよ。ちょっと、弱い自分と葛藤をね」


「かっとー?」



 ニナには少しばかり難しい言葉を使って、俺はニナからの追及から逃れようとする。



「ニナ様。カイトお嬢様は、何かお悩みのご様子。そっとしておいて差し上げましょう」


「うゆ? いたいいたい、ない?」


「うん、大丈夫だから、な」


「なら、ぱぱ、よんでくるのー」


「へっ?」


「それはよろしいですね。ライナード様ならば、カイトお嬢様の悩みなど簡単に解決してくださるでしょう」


(ちょっと待って!? そのライナードのことで悩んでるんだけど!?)



 そう思って、ニナを唆したノーラへ視線を向ければ……珍しく、ニコリと笑ってみせる。



(か、確信犯だ……)


「それでは、ライナード様をお呼びしましょうね?」


「うんっ!」



 ニナが嬉しそうな様子に、俺は何も言えないまま、それを見送ることしかできない。

 そして、無情にも二人は出ていき、扉がパタリと閉まる。



(ど、どうするっ、俺!?)



 ライナードに何を悩んでいるのかと心配されるのも、問い詰められるのも、今の俺にはダメージが大きい。心配されるのは心苦しいし、問い詰められれば……黙っていられる自信はない。



(よし、整理しよう。何で、告白できないのか……うん、十八禁な展開にならないようにするためだよなっ)



 焦ってはいたものの、結論は早々に出る。そう、まだ、俺はそこまでの度胸がないのだ。



(なら、どうする? 『好きだ』なんて言ったら、そのまま『アーッ』な展開にならないとは言い切れない。あぁぁぁあっ、もうっ、本当にどうすればっ)



 ライナードがこの部屋にやってくるのは時間の問題だ。だから、俺は悩みに悩んで……。



「カイト? 何か悩みがあると聞いたが……」


「まだ、整理できてないから、ちゃんと、その時が来たら話すからっ!」



 訪れたライナードを相手に、先手を打つ。



(そう、まだ、心の準備ができてないからっ。だから、まだ、もうちょっと後!)



 これを人は、先延ばしと言う。

 必死に宣言をした俺を前に、ライナードはじーっと俺を見つめ続ける。そして、俺も目を逸らせば負けだとばかりに、必死に見返す。



「…………」


「…………」


「……分かった」


(よしっ)



 何とか、先延ばしに成功した俺は、ホッと安心するのだった。

海斗ちゃん、必死に先延ばし作戦を決行しましたが……そんなに先延ばしにはさせてもらえないかも?


それでは、また!

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