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異世界で歩むけものみち ~魔獣保護機構設立物語~  作者: Rom-t
けものみち 5本目 決意の道
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第五十一歩 【守る者たち】

メガロが復活し、ルイ達に希望が灯る!

 大きな口を吊り上げ、不敵に笑う巨影。

 メガロは水を操り、男とホムンクルスたちを翻弄する。


 ろくに体が動かない俺はその姿をリンに回復魔法を施しながら見つめていた。


「わ、私は大丈夫よ! それよりあなたの方が……」


「いいから。ハァ……ハァ。すぐに終わるから……」


 リンの傷は思ったよりも深くはなかったからすぐに出血は止まる。


「ルイさん! 出血が酷いっす!」


「な、何とかしなきゃ! でも回復魔法を使えるのはルイさんだけだし……」


 俺はリンの傷が癒えたことを確認すると、木の根元に寄り掛かる。

 自分に回復魔法を掛けようとするが、意識が薄れていく。


「あぁ、こりゃ……ヤバ、いかな――」


 俺が完全に意識を失いかけたその時、俺の身体に何かが降り注ぐ。

 その降り注いだものが何かの液体だと認識した頃には俺の苦痛はキレイに消えていた。


「どうやら間に合った様だな! 皆お待ちかねのフェニックス様だぜぇ!」


 俺が目を開けると空中でくるくると回りながら下りてくるバーンの姿があった。


「バーン! どこに行ってたんすかぁ!」


「そう目くじらを立てるなってモブボーイ! 俺が薬草を見つけて回復薬を調合したからサメ君もおしゃべりボーイも助かったんだぜぃ!」


 バーンは身体の中から青白い液体が入った瓶を取り出す。


「ただ待っているのも退屈だったんでねぇ。もしもの時のための上級回復薬くらい調合しとこうかと! でも、それが功を奏したみたいだな!」


 そう言えばバーンはイゼアさんと一緒に創薬協会を作ったんだっけ。

 その薬ともなれば効力があって然るべきというものだ。


「ありがとうバーン! おかげで助かったよ!」


「もっと褒めてもいいんだよぉ! 君たちはもっとこのフェニックス様のありがたみを感じるべきだぁ!」


 バーンが胸を張り、俺たちはバーンを褒めた事を少し後悔する。


「おい、鳥公! いつまでくっちゃべってやがる! 少しは加勢しやがれ!」


 メガロが業を煮やしたように叫ぶ。

 見れば、ホムンクルスは難なく撃破したようだが、男はそう一筋縄ではいかない様だ。


「チッ! まさかフェニックスまで現れるとは……こいつらは一体?」


 男はそう呟くと迫りくる水を一閃で弾くと一気に村の外へと退く。

 その鮮やかな引き際は俺たちはおろか、メガロやバーンのも追撃を許さないほどだった。


「一体何だってんだあいつはよぉ! 恐ろしく手練れだぜ!」


「グラトニルって組織らしいんだがな――」


 俺がそう言いかけるとバーンが異常な反応を見せる。


「はぁ? 〝グラトニル〟!? おいおい、おしゃべりボーイ、王国に引き続き厄介な相手を敵に回したもんだなぁ! グラトニルって言えば、裏社会を牛耳っているほどの強大な組織だぜ!」


「攻めて来られては仕方ないじゃないか! 俺だって好きでケンカ売ったわけじゃねぇよ!」


 俺たちが口論になりかけた時、シュウスケが守っていた子供が手を挙げる。


「あ、あの……」


「ん? そうだ、あなたたちどうしてここに来ていたの? 危ないじゃない!」


「そ、それが……僕たち、レヴィお姉さんの思念を受け取ったの! リンお姉ちゃんに伝えてって!」


「うん、リンお姉ちゃんがどこにいるか分からないから避難場所にいる誰かに届くように送ったみたいなんだけど……だからここに来たら誰かいるかと思って!」


 龍人族たちの意識共有能力にも欠点がある。

 思念を送りたい人物がどこいるかを把握していないと意識共有が図れない……何事も万能って訳にはいかないんだなとつくづく思う。


「レヴィ姉さんが? 聞かせて!」


「うん、レヴィお姉さんとニーズ君が変な奴らに襲われたんだって! そのままニーズ君とは別れちゃったらしくて、敵が一杯いるからマズイって!」


 俺たちに悪寒が走る。

 この伝言はホムンクルスが思っていた以上に広範囲に展開していて、この龍人の里の至る所で戦闘が起こっている事を示唆していた。


「状況は良くないどころか……むしろ最悪っすね」


「俺たちはレヴィさんとニーズの救援に向かおう! シュウスケとメガロは子供たちを避難所に送り届けて、そのまま避難所を守ってくれないか?」


 俺の提案にシュウスケとメガロは頷く。


「バーンはその他にも戦っている人たちがいないか見て回ってくれ! バーンならホムンクルスくらい余裕だろ?」


「おぉ、よくわかってらっしゃるねぇ! このフェニックス様に任せておきなさいって! 個人的にホムンクルスにも興味があるしね!」


 バーンを煽てて、難なく承諾を得た俺たちは子供たちが思念を受け取ったという先へ向かう。


 リンの不安そうな顔は俺の足をいつも以上に急がせるのだった。

レヴィたちの安否は?

次回も見逃せない‼

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