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 僕、山田 公平の宣言は下手をすると大切な縁を切りかねないのではないか?という疑念があった。


 いつもの様子を見ていたら、こんなことを言ってしまえばさぞかし怒るだろうと僕は思った。


 だが、そう思ったこと自体を僕は恥じた。


「ならばしかたがない。手を貸してやるとするか」


「そうだな……当たって砕けてこい」


「まずはボクらがいくよ! まかせといてよ!」


「みんな……いいの?」


 不安に駆られそう言った僕の頭は三人に同時にはたかれた。


「いいも悪いもあるか。本気でやるなら気合を入れろ」


「その通りだ。門出を祝えねー奴を友達なんて呼ばねーよ」


「そうそう、友達がハッピーならボクもハッピーさ! 嫉妬くらいはするけどね!」


「――ありがとう!」


 背中を押してくれさえするのだから、僕にもう迷いなどありはしない。


 三人の友達は僕の前に出て、指を鳴らし。拳を掌に打ち付け。ぺろりと舌を出す。


 彼らの背中には道を開いてくれようとする頼もしい意志が感じられた。


「じゃあ行くぞお前ら!」


「仕切るな時坂。貴様らも遅れるなよ?」


「当然でしょ! 速さでボクに勝てると思わないでよね!」


 同時に飛び出した時坂君、ホルスト君、べぇだ君の三人に薊さんはより警戒を強める。


『君らも参戦するのか……。お前達私を守れ』


 彼女の号令一つで、数百に及ぶ軍団が壁となって立ちはだかった。




 時坂は空間を踏み台にして空を跳ね、一番近い相手に飛び掛かる。


「くらいやがれ!」


 そのまま空間ごと敵の頭を削り落そうとしたが、護衛のロボットはその体を光の粒子に変換し攻撃を避けた。


 時坂は瞬時に理解する。


 なるほど、こいつはべぇだの奴の能力を写し取っているらしいと。


 攻撃が当たらず、相手の方が速い。これはかなり致命的な天敵と言えた。


「……ああ、そうだ。過去はそうだった」


 現れるポイントを予測し時坂は腕を振るう。


 まさにそのポイントに現れた不安定なロボットを、ピッタリと時坂の領域は捕らえて見せた。


「そうさ、いつまでも捕らえられないと思うなよ?」


 特訓の結果、時坂はべぇだの波長を感知することに成功していた。


 そして捕らえられたということは、当然―――。


「ダメージも通る―――終わりだ」


 完全に空間に固定し、収縮させるとロボットは逃げることもかなわず消え去った。


 だが―――消え去った敵とは別にあるものを時坂は視界に収めていた。




 ホルストはロボットをつまらなさそうに眺め、その表情のまま固定されていた。


 時坂の時空間を操る力は、どんなに派手なエネルギーを操ることが出来ようが防ぐこともかなわない。


 少なくとも最初にあった時点では、そうだった。


「そうだとも……バラバラにされればそれで終わりだった。――今まではな」


 ホルストの体はさいの目に寸断され、それで普通の人間なら終わりである。


「……安心するのはまだ早いぞ?」


 しかしホルストのバラバラになった体は炎となり、その端から再生していた。


「……まぁ着想は、不本意ながらあの宇宙人だ。なにこの偉大なる王の力ならば造作もない。私自身が太陽になることなどな」


 ホルストはトンと人差し指をロボットの額に押し当てる。


 そのとたんロボットの全身から火柱が噴き出す。


「そして自ら太陽となった私ならばピンポイントで力を顕現させることすらたやすい。どうやら自分の体の中まではどうにもできないとみえる……」


 語り終えるころには、相手は煙となって空に四散する。


 自分の力を誇示すべく、決めポーズの一つでも決めておこうと思ったホルストだったが―――そこである場面を目撃しホルストは動きを止めていた。




「へっへっへ……じゃあ行くよ!」


 べぇだは極限まで力をためる。


 十分距離のある状況から目標を睨みつけると、そこには自分よりも遥かに大きなエネルギーを持った火の玉が浮かんでいた。


 すでに白い光体にしか見えないエネルギーの塊は普通に触れれば一瞬でべぇだの体を吸収して溶かし込むだろう。


 べぇだはしかし相手の狙うべき中心を見定めて、ただただ感覚を研ぎ澄ます。


 そして次の瞬間、一点に凝縮された力を開放する。


 ただただ密度を、速さを、極限まで高めた一撃は太陽すら突き崩す。


 べぇだは一瞬すらも捕らえることができない極限のスピードで力の中心を正確にうち貫き、ロボットの体に大穴を開けた。


 溶けそうなら、溶ける前に仕留めてしまえばいいじゃない!


 霧散して消えてゆくエネルギーを満足げに眺め、べぇだはぐっと両拳を握って突き上げていた。


「はっは! できた! エネルギーの総量が勝負の結果に直結すると思うなよ! 名付けて超光速タックルだ!」


 光を超えた一撃は、あらゆるものをお置き去りにする。


 技の完成を喜ぶべぇだだったが―――その時、彼もあるものを目撃した。


 ホルストが。


 時坂が。


 べぇだが。


 自分の能力を打ち破るその瞬間をである。


 あの野郎! 密かに出し抜く特訓をしていやがった!


 まぁ状況証拠であるが、それはおおよそ間違っていなかったりした。


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