63
一人画面越しに薊 マイはそれを見る。
「へぇ……面白いな」
ソレは数時間前、この星の外からやって来た。
送られてきた画像には空から伸びた光の筋がはっきりと写っていた。
「一昔前ならありえない光景だけど……今はもう珍しくもないか……」
闇夜に宇宙の果てからやってきたそれは、人工衛星に捕捉され、偵察カメラに引っかかった。
未知の飛行物体と雑に言ってしまうのは簡単だが、しかしやって来たソレには同質のエネルギーを発する前例が存在した。
薊 マイは興味深くそれを眺めながらため息を吐いた。
「彼にも謎は多い……一体何が起こるのかな?」
おそらく外宇宙からやってきたソレは、宇宙の闇を自由に飛び回り、この地球へとやってきた。
昔の人間は、鳥のように空を飛べたらと願ったそうだが、今となっては宇宙人のように宇宙を飛べたらと願う時代になったということか。
実際それはうらやましい話だと薊マイは独りごちる。
あの空の向こうまで想像できていたとしても、私達はあまりにも不自由にこの星にしがみついているしかないんだから。
「なんでこんなつまらないところに君たちはやってくるんだろね……」
そのあたりは宇宙人には宇宙人の理屈が存在するのだろう。
それはうちのクラスのクラスメイトもまた同じに違いない。
「彼らはいったいここに何をしに来たのかな? まぁ、何も起こらないなんてことはあり得ない。面白くなることを期待しよう」
薊 マイは呟いて、ディスプレイをなでる。
今度は画像と共に添付されていた映像データが再生されて、ディスプレイに山中に落ちた光が映し出された。
ソレの落下地点はおおきくえぐれ、周囲の木々は放射状になぎ倒されている。
『……@:亜lz@亜ld』
そしてソレはクレーターの中心で意味の無い音を発し、周囲を探るように見回していた。




