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 なれない会話をしていると時間というのは思ったよりも早く過ぎるようである。


 そして僕の記憶と方向感覚は、ちゃんとしていることも証明されて満足だった。


 三人の友達は、ぽかんとした顔でその周りから浮いているお店を丸い目で見ていた。


「ほんとにあった……」


「……なんだってこんなところに駄菓子屋が? ここ学園の敷地内だよな?」


「これは私も知らなかったぞ」


 動揺している。しかしすぐにそれは好奇心へと置き換わったようだった。


 朝とは違い、開店中らしい駄菓子屋は、所狭しと駄菓子屋らしいアイテムが並んでいた。


「へーいろんなものがあるなぁ。買えるのかな?」


 一人べぇだ君が中に入る。だがそこでべぇだ君は何かにぶつかって悲鳴を上げた。


「どぎゃあああ!!」


「いらっしゃい!」


 転がり出てきたべぇだ君の後から大きな影が姿を現す。


 筋肉ムキムキのスキンヘッドのひげ男が、ニッカリ笑っていると思ったら、その顔をどういうわけか僕らはみんな知っていた。


 僕は驚きを込めて彼を呼んだ。


「校長先生?」


 だが今現在、その呼び名は彼をさすには適切ではなかったようだ。


 校長先生は、眉をハの字にしてこう主張する。


「ん? いや今は店長と呼んでくれないか? おっちゃんでもいい! ここは駄菓子屋だからな!」


 そう言って自分の胸元を指し示すとそこには、駄菓子屋竜動寺と文字の入ったエプロンがあった。


「えっと。ここは校長先生のお店なんですか?」


 案内した手前僕が質問すると、校長は力強く頷いた。


「そうとも! やはり学食や、売店だけでは息が詰まると思ってね! この辺りは何もないから少しくらい遊び心があってもいいだろう?」


「そ、そうなんですか」


 どうやらこの駄菓子屋は校長先生なりの真心の様である。


 だがそのために敷地に駄菓子屋を一軒建てたのだとしたらとんでもない話だった。


「やはり学生にもこっそり交流する場の一つや二つ必要だろうとも!」


 うんうんうなずく校長に、今度は時坂君が尋ねた。


「でも駄菓子屋ってな……もっと色々あるんじゃないか? カフェとか、カラオケとか」


「いやいや。私は昔、駄菓子屋の店主になりたかったのだよ。この際だからと思ってね!」


「……あんたの趣味か?」


「いいだろう駄菓子! 安いしうまい! だが食べ過ぎには注意するんだぞ!」


 びしっと人差し指を立てる、校長先生は非常に生き生きとしていた。


 なるほど疑問は解決したが、予想していた以上に面白い事になってしまった。


 先生の経営している駄菓子屋なんてみんな楽しんでくれるだろうか?


 ふとそう思ったが、どうやらその心配はしなくてもよかったようである。


「おやじ、こいつを箱ごともらおう」


「おじさんおじさん! ガム当たった! もう一個頂戴!」


「ああわかった! 毎度あり!」


 ホルスト君は10円菓子をリッチに箱買いし、べぇだ君はガムのクジが当たったようだ。


 案外楽しそうな二人を横目に呆れ顔の時坂君は、気を張っているのが馬鹿らしくなったのか肩を落す。

 

「速攻なじむなよ……王様地球外生命体」


「続けて言うともうわけわかんないねそれ?」


 僕がそう言うと時坂君は肩をすくめた。


「本当にわけわかんねし、ちょうどいいだろ? ……おっさん。このメニュー張ってあんのはなんなの?」


「奥の座敷に鉄板が置いてあるからそこで頼める、もんじゃがお勧めだな!」


「なら……もんじゃ」


「うむ! 店内の駄菓子を入れると一層美味だ! 楽しんでいってくれ!」


「じゃあ、選んどく……」


 時坂君もなんだかんだなじんでいて、僕は胸をなでおろした。


「じゃあ君はどうするね?」


 僕もにっこりと歯を見せて笑う校長先生からそう尋ねられて。


「ソースせんべいください」


 僕もさっそく、なじみに行くことにした。


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