84話 チェックリスト
私は加賀美先輩が用意した50のチェックリストを確認し終わると、内4箇所だけ、気になる点があることに気が付いた。
1つ目は、当日振る舞われるお皿は紙やプラスティックではなく、陶器でしかも洗う予定があるとのこと。今からでも間に合うのであれば雰囲気は落ちるが学園祭という部分も加味し、紙皿に変更できないかという点。
2つ目に、これも同じことだが、全ての飲み物もガラスのコップや陶器のカップで出すということなので、これも紙カップに変更できないかという点。割れたりしたら危険だし、校内のレギュレーションはどうなっているのだろうか…?と疑問に思った部分だ。
3つ目に両日とも150皿ずつ出すケーキは終わり次第終了という点はプレミアム感があるので良いのだが、スイーツ目当ての客とふたば目当てのファンがごった返す中でメイドたちは混乱することなく業務をこなすことが果たしてできるのだろうか?という点。加賀美先輩はふたば達のマネージメントに集中するので、現場の責任の所在が見えない部分は特に気になった。
最後に、席は30席の完全入れ替え制だが、ふたばがライブをするのは、1日に11:00と15:00の2回だけなので、この間に13:00にもう一回だけ入れられないか?という点だが、これは熟考してのことだかがら、恐らく却下されるだろうなと思いながら、チェックリストに丸を付けた。
私はブツブツと独り言を言っていると、背後から声が聞こえた。
「…あの、お疲れ様です。お仕事順調でしょうか?」その声は晴香だった。
「あ、お疲れ様です。…はい、何とか満足のいく結果を出せそうです。ただ、いくつか気になる点もありますので、早々に加賀美さんにも相談しないといけません。…おっと」私は晴香にまるで同僚に話すかのような口調で話している自分に気が付き言葉を止めた。
「そうなんですね?…分かりました。来場する人が安全に楽しく過ごしてもらえたらそれが一番良いと思いますので、宜しくお願いします。…これうちのクラスで出す予定の特製ホットチョコレートです。美味しいですよ。あ、ただ熱いので気をつけて飲んで下さいね。」晴香は会釈をしてその場を離れた。私はそのホットチョコレートを一口飲んで案の定舌を火傷した。
私はその日何度か安住晴香と声を交わしていた。何か作業を終えたり、一息ついている時に決まって近くにいるのだった。そして、私はその瞬間閃いた。それはまるで轟く雷鳴のような力強い音と響きがあった。私は仮設キッチンから出てクラスを見渡したが晴香はそこには居なかったので、廊下に出たがやはりそこにも気配は感じられなかった。




