王国滅亡(五百字)(童話)
1
昔、ある所に絶対君主王国がありました。ある日、王様はこんなお触れを出しました。
「自分にして欲しいことは必ず他人にもしなくてはならない」
我ながら素晴らしい掟だと自画自賛していた王様でしたが、家臣からの報告に肝を潰しました。なんと、国民が殺し合いを始めたというのです。家臣はこのように言いました。
「我が国民の中には、殺して欲しいと考えている者が多数居たのでしょう。自分を殺して欲しいと思っているので、掟に従って、他人を殺し始めた模様です」
直ちにお触れを撤回させましたが、既に国民は半数になっていました。
2
昔、ある所に絶対君主王国がありました。ある日、王様は前回の失敗を反省して、こんなお触れを出しました。
「自分にして欲しくないことは決して他人にしてはならない」
これなら大丈夫だろうと自画自賛していた王様でしたが、家臣からの報告に肝を潰しました。なんと、国民が殺し合いを始めたというのです。家臣はこのように言いました。
「我が国民の中には、殺さないで生きたままにしておくような行為を自分にして欲しくないと考えている者が多数居たようです。殺さないで生きたままにはして欲しくないと思っているので、掟に従って、他人を殺さないで生きたままにはしない、つまり殺してあげるという行為を始めた模様です」
直ちにお触れを撤回させましたが、残っていた半分の国民は、ほとんど死に絶えてしまっていました。
その後、王国は滅亡したそうです。




