表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

6話『メガネ君とギリシャ神話(冠座編)』

「あ、メガネ君みっけ!」


「・・・また出た」


「いつもの読書スペースに居ないから本棚の方捜したら、やっぱり居た!」


「ったく、よく見つけたな」


「うふふ、運命の赤い糸を手繰って来たの!」


「阿呆らし。アリアドネの糸かよ」


「アリ・・・?」


「ギリシャ神話の登場人物だ。ギリシャ神話は知ってるか?」


「小学校の時、星占いが流行ったからいくつかは知ってるけど、詳しくはないよ」


「アリアドネは冠座の話に出てくる美しい姫君だ」


「面白そう!聞かせて?」


「神話の時代、クレテ島にミノタウロスという怪物が居た」


「知ってる!頭が牛で体が人の化け物ね」


「そうだ。クレテの王、ミノスは迷宮を作りミノタウロスを閉じ込め、毎年美しい少年と少女を七人ずつ生贄として捧げていた」


「ひぇ~」


「そのミノタウロスを倒すべくやってきたのが、アテナイの街の王子、テーセウス」


「お、勇者登場!?」


「テーセウスは生贄に混じって迷宮に入る時、彼に一目惚れしたミノス王の娘、アリアドネに麻の糸玉と剣を渡される」


「お姫様きたー!」


「剣でミノタウロスを討ち取ったテーセウスは、糸を手繰り迷わず迷宮を抜け出した」


「おぉ~」


「そして、アリアドネを妃として、アテナイに戻る為船でクレテ島を離れた」


「ラブファンタジーの王道ど真ん中ね!素敵!!・・・って、あれ?でもこれって冠座の話なの?冠出てないけど??」


「そうだな。この話にはまだ続きがある」


「何、何!?」


「アテナイに戻る途中に立ち寄ったナクソス島で、テーセウスとアリアドネは離別する」


「え!?別れちゃったの?どうして!?」


「これには諸説あるな。女神アテナに『アリアドネを連れて帰るとアテナイが不幸になるから置いていけ』と言われたとか、単に飽きて捨てていったとか」


「えぇ!?」


「何にせよ、テーセウス一行は夜の内にこっそり出航してしまって、朝アリアドネが目覚めた時には誰も居なかった」


「ちょ、ひどっ!置き去りじゃん!!」


「アリアドネは嘆き悲しんだ」


「あったりまえでしょ!!」


「絶望で海に見投げ寸前のアリアドネの元に現れたのが・・・酒神ディオニューソス」


「新キャラ登場だ!」


「ディオニューソスはアリアドネを慰め、妃にして美しい冠を与えた。アリアドネは幸せに暮らし、彼女の死後、ディオニューソスは冠を天に飾った」


「ハッピーエンドだ!アリアドネ、良かったね~!」


「・・・と、綺麗に纏めたが」


「まだ何かあるの!?」


「実は、ナクソス島でアリアドネを見初めたディオニューソスが、テーセウスに命令して彼女を置き去りにさせ、無理矢理妃にしたという説もある」


「げっ!横恋慕なの!?もぅ、夫婦を簡単に離婚させるなんて。アテナといい、ディオニューソスといい、一体何様のつもりよ!」


「・・・神様だろ」


「ってかさ、本当はどっちなの?ディオニューソスはアリアドネを慰めたのか、それともテーセウスとの仲を引き裂いたのかで、話が全然違ってくるじゃん!」


「・・・諸説あると言ったろ。答えはない。好きな方を選べばいい」


「えー?・・・じゃあ、ディオニューソスが良い人に一票!失恋の痛手が癒えたアリアドネは、ディオニューソスとラブラブで暮らしましたとさ。めでたしめでたし!」


「楽観主義め」


「いーの!ハッピーエンドが好きだもん。あ、もう行かなきゃ!メガネ君、またね~!」


「はいはい」


・・・・・・


「・・・俺もその説が一番好きだな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ