11話『メガネ君と桃太郎(前編)』
「めっが~ねく~ん!来たよー!!」
「来るな、居ね」
「がーん!!何で!?今日はアポ取って来たのに!」
「知らん。俺のスケジュール帳が君の予定で埋まる事などない」
「えー!?桃太郎のお話聞かせてくれる約束じゃん!」
「それは君が勝手に・・・」
「酷い!騙したの!?」
「人聞きの悪い・・・」
「どうせ私のことなんて遊びだったのね!わーん!!」
「おい・・・」
・・・ひそひそひそ・・・
「・・・取り敢えず座れ。周囲の視線が痛い」
「えへへ」
「ったく、厄介な奴だな。で、何を知りたいんだ?」
「桃太郎と五行説の関係性について!」
「それか。ではまず、桃太郎のあらすじを浚ってみろ」
「桃から生まれた桃太郎が犬猿雉をお供に鬼退治に行く話です!」
「そうだ。次に・・・有馬、君は十二支を知っているか?」
「へ?いきなり何よ?十二支って干支の事でしょ?勿論知ってるわよ」
「干支は本来、十干十二支を合わせて指す言葉だが、今回は十干の説明は省くとしよう。では、紙に円を書き、頂点を“子”にして時計回りに十二支を並べて書いてくれ」
「円を十二分割すれば良いのね?子・丑・寅・卯・辰・・・えーと」
「巳」
「それ!巳・午・未・申・酉・戌・亥っと。出来た!」
「円に配置された十二支は方角を表す。頂上の子が北、真下の午が南。南北に垂直な線の右側、卯が東。左側の酉が西」
「ふむふむ」
「これに五行説の方位と季節を当て嵌めると、亥子丑が北で冬、寅卯辰が東で春、巳午未が南で夏、申酉戌が西で秋の括りになる。丑・辰・未・戌は土用に当たるが、今回は四季としてそれぞれの季節に割り振っておく。これが予備知識だ」
「・・・予備の段階でいっぱいいっぱいですが、がんばります」
「では、鬼の解説から始める。有馬、鬼は何処に棲んでる?」
「はーい!鬼ヶ島です」
「そうだ。“鬼”は化け物の意味だけでなく災厄の象徴的文字だ。古来から、悪い方角を“鬼門”と呼ぶ。従って、鬼ヶ島は鬼門の方角にあると言って良い」
「ほほぅ」
「この鬼門は東北に位置する。図で言うと、丑と寅の間、つまり“艮”の方角だ」
「ふむふむ」
「因みに、艮の方角に棲んでいるから、鬼は牛の角を生やして虎の毛皮を着ている」
「おに~のぱんつは♪」
「歌うな」
「しくしく」
「さて次に、桃太郎のお供の選抜の件だ」
「へ!?お供の動物にも理由があるの?」
「図解までして理由がないわけがないだろう。君は気付かないか?」
「?」
「十二支の中にお供が揃ってるだろう」
「え?どこ!?・・・あ、居た!申・酉・戌!!これが、猿・雉・犬なの!?」
「そうだ。桃太郎は適当に吉備団子で釣って仲間を集めたわけじゃない。最初から計算して鬼を倒す為の最強パーティーを揃えたんだ。その選抜基準とは・・・」
「ドキドキ」
「後編に続く」
「えー!!?」




