10話『メガネ君と陰陽五行説』
「メガネ君、大変大変!」
「何だ?来た早々喧しい」
「マミに彼氏ができたの!」
「・・・だから?」
「カテキョの大学生だって!くぅ、羨ましい!こうなったら私とメガネ君も付き合うしかないね!」
「何故そうなる?」
「だって私達高二だよ?青春真っ盛りよ?ブルースプリングよ?恋しなきゃ!!」
「ブルー・・・って何だよ。くだらん」
「しくしく、つれないなぁ。・・・そーいえばメガネ君」
「ん?」
「青春って青い春って書くじゃん?他の季節も色に当て嵌めればいいのにね。例えば・・・夏は暑いから赤夏とか!」
「惜しい」
「へ??」
「夏は『朱夏』秋は『白秋』冬は『玄冬』だ。玄は黒の事」
「え!?本当にそんな言葉があるの!?」
「君が思い付くとっくの昔からな。そもそも『青春』の語源は陰陽五行説だ」
「いんよー?」
「中国の古い思想だ。ざっくり説明すると、万物万象・・・全ての物と事柄には、陰と陽があり、お互いに反発しながらも調和しているという考えが『陰陽思想』だ」
「反発しながらも調和・・・まるで私達みたいね!」
「その場合、君が陰だな」
「がーん!!私、暗い!?LED電球より明るいってご近所でも評判なのに!」
「どんなご近所だよ・・・。つーか、陰陽思想では女は陰の括りなんだ。男は陽。太陽が陽で月が陰、とかな」
「あ、もう決まってる項目なのね」
「『五行思想』は、万物万象は木・火・土・金・水の五つの要素、即ち『五行』で出来ているという考え方だ。この二つの思想が結び付いたものが『陰陽五行説』だ」
「ふむふむ」
「で、この五行にはそれぞれ“方位”“色”“時(季節)”“神”が当て嵌まる」
「ふむむ」
「更にここに十干十二支を配置するが、その説明は有馬の頭が追いつかないので割愛」
「う~、もう脳ミソ破裂しそうっ!」
「五行の『木』の方位は東、色は青、季節は春、神は青龍だ」
「へぇ。だから他の何色でもなく“春”は“青”なのね!」
「そうだ。因みに、『火』は南で夏、色は赤、神は朱雀。『金』は西で秋、色は白、神は白虎。『水』は北で冬、色は黒、神は玄武だ」
「あ!それ、漫画やアニメでよく見かける設定だ!」
「ああ。古くからある理に適った思想だし、ファンタジー要素が強いから使い易いのだろう」
「うんうん。・・・って、あれ?『土』の季節がないよ?これじゃ四行になっちゃうじゃん!」
「ほぅ、君にしては良く気が付いたな」
「えへへ」
「誉めてないから照れるな」
「めそめそ」
「『土』の方位は中央、色は黄、神は麒麟、又は黄龍。季節は立春・立夏・立秋・立冬の前の十八日間・・・つまり、季節の分かれ目『土用』を指す」
「えぇ!?土用ってそういう意味だったの!?鰻食べるだけの日じゃないの??」
「それは夏の土用の丑の日だろ。そもそも鰻は平賀源内が・・・っと、これは蛇足だな。因みに、土用の最終日を節分と言う」
「えぇ!?節分って豆まく日の事じゃないの!?」
「現在は特に立春の前日を指す言葉だが、元々節分は季“節”を“分”けると言う意味なのだから、当然四回ある」
「ああ!そっか。美花ちゃん納得!」
「自分の名前をちゃん付けすんな。イラっとくる」
「しくしく。ゴメンナサイ」
「君の言っていた豆まきも、五行説に関係する行事だ」
「へぇ。全然知らなかったけど、五行説って現在の暮らしにも浸透してるんだね」
「そういえば、君の好きな桃太郎も五行説に深い関わりがあるな」
「好きなって・・・メガネ君がお奨めしたんじゃん。でも、どんな関係があるの?」
「それは・・・」
「あー!やばっ、バイトの時間だ!また明日続き教えてね!!バイバーイ!」
「コラ、校内は走るなー!」
・・・・・・
「なんだこの強制的な逆シェヘラザードは・・・?」




