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第74話『出会い』

「あ、アリふたん、ま、待って遅れよぉ〜〜〜……ゼーハー……ゼーハー……」

「お、お姉ちゃん〜〜〜は、走るの早すぎだよぉ〜〜〜………」

現在、AM8:25。本鈴がAM8:30に鳴るのでもう時間的に余裕が無い私達は現在、学校の正門へと続く坂道を走っている。急な上がり坂でしかも距離的に長いのでその正門の事を地獄門ヘルス・ゲートと呼ぶ者が絶えない………別にどうでもいいけどね。

「あんた達、体力無さ過ぎよ!!!もっと運動しなさい!!!運動!!!」

私から少し離れた後方にエリス、そしてさらに離れた所で麻里先輩が息を切らしながら走ってくる。

「あ〜!お姉ちゃんひっど〜〜〜い!それじゃあまるで私達が太っちょだみたいな言い方だよ〜〜〜!!!」

「くっくく………相当気にしてんだろうにゃ〜〜〜……………体重」

……うん、あとであのクソガキはしばいておこう。






「げっ………あれはゴリ沢……」

遠くに見える正門の傍に立っていたのは岩のようにゴツイ身体をしており、やたらイカツイ顔つきのいかにも体育教師っぽい…ていうかまんまの体育教師の五里沢五里男ごりさわごりおだった。頑固者で融通が利かず、男女差別が激しい教師なので当然、生徒に嫌われている。あいつが正門の傍に立っているということは………今日はあいつが正門の番か………あ〜、最悪。うちの学校の朝の正門は毎日、必ず1人の教師が立っている。本鈴が鳴ると同時に正門を閉めるのでそれがタイムリミット。つまり、AM8:30までに学校に入れないと晴れ晴れ、遅刻者としてカウントされる。遅刻の回数が3回溜まったら、トイレ掃除という最悪な罰ゲーム(?)を強いられる。ちなみに、エリスと麻里先輩は既に2回遅刻しているのでトイレ掃除にリーチがかかっている。今回の正門の番があのゴリ沢だから……1秒でも遅れたらきっちり遅刻扱いになるわね………

そういう意味では今日は運が悪い。教師によっては少し多めに見てくれる心優しい人もいるのだからある意味あのゴリ沢は大ハズレね。

「おらおらおらおらぁああああ〜〜〜〜〜お前らあと1分だぞぉ!!!残り1分っ!!!59、58、57……」

あーやって、わざと焦らすために時間をカウントするところもある意味嫌らしい。

といっても、私はもうすぐ目の前が正門なので余裕で間に合うけどね。余裕じゃないけど。

問題は………私はふと、後ろ振り返る。

「ハァ…ハァ……」

「コーホー…コーホー……」

さっきより息を切らせながら、フラフラしながらゆっくりだが走っている我が妹と……コーホー?……アホチビ先輩の姿があった。やばいわね……

「あと20秒〜〜〜〜〜!!!!!!19、18……」

「エリス!!!あともう少しよっ!!!がんばんなさいっ!!!!!先輩は………どうでもいいわっ!!!」

「アリスちゃんひどいっ!?(泣)」

残り20秒で正門にゴールした私はエリスに大きな声で声を掛けた。

「う、うん〜〜〜!!!ハァ……ハァ……」

といってもエリスの正門までの距離はさほど遠くない。先輩はもう絶望的だけど。エリスの正門までの目分量で50mといったところ。でも時間が……

「残り15秒〜〜〜〜〜!!!!!ほらっ急げっ、急げっ、急げぇ〜〜〜い!!!14、13、12、……」

くっ……こいつ本当に嫌いだわ………

「ハァ…ハァ…ハァ……んっ!」

「あと10秒〜〜〜!!!!!9、8、7……」

あと20m………間に合えっ!

「ハァハァ……!」

「5、4、3……」

あと10m………いけるわっ!

「2…」

「んーーー!!!!!」

あと5m………もうあと2、3歩走れば校門に足がかかって………

「1……0!ハイ!終了!」

「えっ……?」

ガラガラガラガラーーーーー…………

エリスが校門に足をかけた瞬間………高速の鉄の門がエリスに迫ってき………

「エ…リ……ス………?」

そこで私の頭の中は真っ白になった。

重い鉄の門がエリスの身体を挟むシーンが頭の中で映像として流れていく………

「エリスーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」











「………」

私はゆっくり目を開けて目の前の光景を見る………どんな未来が待っていようとも……その目の前の出来事に目を背いたら私が私じゃいられなくなるような気がして………だから私は見た。






「………え?」






「ふう、危なかったね………大丈夫かい?」

閉まりそうになった鉄の門を足で抑えている男子がいた。その隙間でエリスは尻餅をついていた。

「あ………ハイ………ありがとう………ござい…ます………(///)」

エリスはその男子生徒をあきらかな『女の目』で見つめていた………






そのエリスと男子生徒との出会いが悲劇の始まりだった………






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