第72話『永遠の闇と奇跡の光、それは決して交わることの無い事象』
「じゃあ私は『ジャンボトロピカルフルーツさわやかマンゴープリンとベネチアの潮風にそそられて』(5000円)で」
………
「じゃあ、俺は『アイスコーヒー(300円)』で……」
「はい♪ではご注文繰り返させて頂きます♪『ジャンボトロピカルフルーツさわやかマンゴープリンとベネチアの潮風にそそられて(5000円)』と『アイスコーヒー(300円)』ですね♪かしこまりました♪少々お待ちください♪」
フリフリのスカートを纏ったお姉さんが去っていく。……パンチラ、サイコー。
「「………」」
そして、訪れる沈黙モード………さて、どうしてこんな状況になったんだろう?
30分前ーーー
「………ちょっと、待ちなさいよ………」
何かいたたまれない気持ちになったこの場から去ろうとする俺にアリスは小さな……いや何かに耐えるかのような弱々しい声で俺を制した。
「………」
俺は振り返り無言でアリスを見つめる。
「………」
「………」
「………」
「………」
バキッ!
「いてっ!!!すごく痛いですヨ!?」
「うるさい!!!何か喋りなさいよ!!!この変態っ!!!」
何で俺、今殴られたの!?あきらかに理不尽だろ!?これ!?(汗)
「ちょっ……アリ」
「うっさい!!!」
ボキッべキッ
「がぁ……!ちょっ、なん…」
「死ねっ!!!」
グキャッドスッフニャッ
「うぐぐっ!……あ、あ、も、もう!し、死ぬ!ちんじゃうっ!」
ズガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!
「うっがぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「うっはぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「はぁはぁ………はぁはぁ………」
………
俺をこれでもかっ!!!という程、殴ったアリスさんはなぜか仰向けになった俺の腹の上に馬乗りしている。
……というかこれ、傍から見たらアリスさんが俺を押し倒しているとしか見えな………
グググ……ググ↑(俺の素敵なテントが立った!!!)
「………」
「ハァハァ(///)」
「何、興奮してんのよ!!!このエロ助!!!」
バキッ!!!
「うぅ、ごめんなさい!!!」
うぅ〜!だって仕方ないんですぅ〜〜〜!!!僕のお腹の上に何か柔らかくて温くぁ〜〜〜いモノが乗ってるんですぅ〜〜〜ですですぅ〜〜〜!!!(泣)でも、僕幸せですぅ〜〜〜ですですぅ〜〜〜!!!(笑)
「にやけてんじゃないわよ!!!!!」
バキッ!!!
「あぷっ!!!」
渾身の一撃を俺の腹に決めたアリスさんはようやく俺の上から退き………
「……あ〜、声出しすぎて喉乾いたわ。おい、変態。罰としてそこの喫茶店で茶でも奢りなさい」
………
…え、罰って何かした?俺?(汗)
そして現在に至る……
「パクパクパクパクパクパクパクパクパクパク!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アリスさんは注文したパフェ(らしきもの)をがむしゃらに自分の口に放り込んでいた。お腹が空いていた……という感じではなく、まるで何かに八つ当たりしているような………そんな感じだった。
「パクパクパクパクパクパクパクパクパクパク!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
無造作にパフェ(らしきもの)を口に放り込むものだからテーブルの上にはパフェ(らしきもの)があちらこりらに散乱していた。口の周りにはクリームがつきまくっていた。こういう、子供っぽいアリスさんもかわいいな……って、また俺不純な事考えてんな………(汗)
「パクパクパクパクパクパクパクパクパクパク!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺に全く見向きもせずひたすらパフェ(らしきもの)にがっつくアリスさん………あ〜、やっぱあの口の周りについてるクリーム気になるな〜〜〜……恋人同士なら手で口の周りについているクリームを指先で取ってチュパチュパすんだろうな……
「そんなことされたら舌噛んで死んでやるわ」
イヤン!心読まれたっ!?
「ふぅ、ごちそうさま」
「……お粗末様でした」
一人で大量のパフェ(らしきもの)を平らげたアリスさんは幸せそう……じゃない不機嫌な顔でようやく俺の方に顔を向けた。
「……で?本当に聞く気?」
俺が今から聞こうとしている事を知っていたのか不機嫌ながらも真剣な瞳で俺に問うアリス。
「あぁ………俺に教えてくれ、アリス。お前の抱えている『闇』を……いや、まぁ今更だが嫌なら別に………いい……かな」
「ほんと、今更ね。こんな事されて断るわけにはいかないじゃない。ほんと、恩着せがましい奴ね」
いや、僕奢ったのって無理矢理ですよね?アリスさん?(汗)
「俺に……出来る事ならその『闇』から助け出したいんだ、アリス」
「『助ける』……ね……もうすでに『終わって』しまっているのにね………あんた人からおせっかいな奴とか言われた事無い?」
自分でも分かっている。人の抱える『闇』を簡単に消し去ることなんて出来ない。むしろ、『出来ない』と言った方がいいだろう。だからこそ『闇』。でも、放っておくことなんて出来ないじゃないか。その深い『闇』を『共有』して少しでも……少しでいいからその人の『闇』にひとすじの『光』を照らしたい………そう考えるのはやっぱりおせっかいなのだろうか?
「……やっぱり、ダメか……?」
「話をするのは別にいいわよ……でも」
「………でも?」
「……私の『過去』を聞き終えたら今後、二度と私の目の前に現れない事ね」
『もう、私は私でいられなくなるから』
……そんな心の声が聞こえたような気がした。
アリスの何か決意した………あの時の違和感を彷彿させるような瞳は俺に何か求めているような………俺はそんな気がしてならなかった………




