第8話『ベリーベリーワンダフルキングダム』
ロングナイト・・・
「あ・・・あのね!!あのね!!ボクはコーちゃんのこと・・・!!コーちゃんのことが・・・!!
・・・コーちゃんのこと!!コーちゃんのことこれから『お兄ちゃん』って呼んでいいかなっ!?」
・・・・・ハイ?なにを言っているのかな?コノ子は・・・・・
「やだ」
「即答っ!?」
「ノリで言ってみただけだ」
「・・・・・本気で怒るよ?コーちゃん・・・」
「・・・あいむそーりー・・・ひげそーりー・・・」
・・・今までは本気で怒ってなかったのか・・・マジですか・・・
「・・・なんでいきなりそんなことを?」
「・・・だって・・・ボク・・さっきのコーちゃんの家族のお話聞いてうらやましいな・・って思って・・」
「?お前さん、さっき親父いるとか言ってなかったっけ?」
「・・・ボク一人っ子なの・・・それにパパはいるけど・・・ママは・・・・・・・・・・いないの・・・」
「・・・・・」
・・・そう・・・だったのか・・・
・・・とてもじゃないがいない理由なんか聞けなかった・・・
・・・・・
「・・・それに・・・パパはボクを親戚のおばあちゃんに預けていつもお仕事で海外に出かけてたし・・・・
・・・おばあちゃんしかお話相手いなかったし・・・・・ボクね・・・この寮に来るまで違う学校に通ってたんだけどね・・・えへへ・・・ボク、バカだからみんなに相手にされなかったんだよね・・・えへへ・・・・
ほんとバカだよね・・・ボク・・・・・」
・・・夏美の顔をふと見ると・・・・泣いていた・・・
「・・・?あれ?あれ?な・・・なんで・・・?なんで涙なんて流しているのかな・・・?今すっごく楽しいのに・・・今すっごく嬉しいのに・・・ちーちゃん、百合ちゃん、アリスちゃん、ミンちゃん、麗ちゃん、条君、見栄春・・・・・・・・・・」
原田のおっさんだけ呼び捨て!?・・・いやいや、今はそんなツッコミをしている場合じゃない・・・・・
「・・・・・それにコーちゃんが来て・・・すっごいすっごいわたし幸せ・・・・・なのに・・・・それなのに・・・あはは・・・おかしいよね・・・?・・・涙が・・・涙が・・・とまら・・・」
「・・・・・バカもの・・・」
こつん・・・
俺は軽く夏美の頭に拳骨を入れた。
「・・・?コー・・ちゃん・・・?」
「ナニがまんしてんダヨ。泣きたいときはおもいっきり心から泣きゃーいいんだ。ほら、泣き叫べ。
安心しろ。俺がおめーの泣き声を耳クソかっぽじってよぅく聞いてやるよ。ははははは!今から楽しみだなあ!!そうだ!!記念に録音しといてやろうか!?ビデオでおめーの泣きじゃくった顔も撮っといてやるよ」
「あはは・・・ぐす・・コーちゃん・・・悪趣味・・・」
・・・えらい言われようだな・・・もちろん、冗談だが・・・
「・・・あは・・・もう・・・いいよね・・・?・・・コーちゃん」
「・・・ああ・・・おもいっきり・・・・・泣けよ・・・」
「・・・・・う・・・・う・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」
夏美は俺の胸の中で声が枯れるまで泣き続けた・・・まるで赤ん坊のように・・・
おかげで俺のTシャツはしわになり涙や鼻水やらなんやらでぐしゃぐしゃに汚れてしまった・・・・・
・・・このライオンTシャツけっこう高かったんだけどな〜・・・・・ぐすん・・・ま、いっか・・・・・
「なぜ!?なじぇ!?僕の名前だけ入ってないんだああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「英男!!うるさいよ!!ご近所に迷惑だよ!!静かにしなっ!!」
・・・その頃、あほ毛のメガネマンはギャルゲーをしながら奇声をあげていた・・・
「きひょぇええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!里美た〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!(ギャルゲーの攻略キャラ)
かわいいよ!!!萌えちゃうよ!!!ぬふうううううううううう〜〜〜〜〜んんんんん!!はあはは!!!」
しゅ○しゅ○しゅ○しゅ○〜〜〜〜〜ど○ど○ど○ど○〜〜〜〜〜
「うっせーーーーーつってんだろうがよおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜!!!!!メガネぇえええ!!!」
以上、三上家内の中継でした〜
・・・・・あ〜、きもきも・・・・・
「・・・ぷっはーーーーー!!!!!・・・今ので体液出し切ったよ!!ありがとね!!コーちゃん!!」
「・・・おい・・・誤解を招く言い方はよせ・・・・・」
・・・あれから夏美は一時間以上泣き続けた・・・まあ、これでコイツもちょっとは気が楽になったかな?
「・・・ほんとうにありがとね・・・コーちゃん・・・」
「まったく・・・ありがたく思いたまえよ?マドモアゼル?」
「・・・コーちゃんにお礼を言ったボクがバカだったよ・・・」
・・・ばかやろう・・・めっちゃ嬉しいに決まってんだろーがよおおお・・・でもそれをここで口にすると
なんかコイツに負けたを認めたみてーでなんかやだだからあえて言わないことにする・・・・・
「・・・・・ねぇ・・・・・コーちゃん・・・」
「・・・んん?どーした?どら焼きならもーねーゾ・・・」
「違うよっ!!ほんとっ!!デリカシーの『デ』の字もないね!!コーちゃんはっ!!」
「だったら・・・何なんだヨ・・・ふあああ・・・そろそろ眠たくなってきたゾ・・・俺・・・・・」
部屋の時計を見ると、時計の針は夜中の1時前を指していた・・・
「あのね・・・・・その・・・・・」
もじもじもじもじもじもじもじもじもじもじ
・・・めっちゃもじもじしてる・・・あいつ腰の振り、すげーはええな・・・はあはあ・・・
いや別に変な意味でイッタワケジャアナイヨ(汗)。そこんとこ、よろしゅうお願いします・・・(汗)
「・・・夏美・・・1回尻文字やってみてくれ・・・」
「・・・・・」
「ごみんなちゃい・・・冗談です・・・」
すごい目で見られた・・・おそろしやおそろしや〜・・・
「コーちゃん・・・・・さっきのこと・・・・・覚えてる?」
「さっきのことって・・・・・ああ、お前が泣いたことか・・・・・ああ!!心配すんなヨ!!
撮っておいたヨ!!お前の泣き顔スナップ写真!!もち!!ビデオもなっ!!やったね!!」
「ウソ!!やだっ!!やめてっ!!恥ずかしいヨ!!いやあ!!」
かあああああ〜〜〜〜〜!!!!!
おーおー慌ててる慌ててる・・・
・・・こうしてコノバカを見ているのも・・・ああ・・・快感・・・はあはあ・・・
って!!これじゃあ俺ただの変態じゃねえかっ!!!いかんいかん!!!
「・・・いちいち俺の冗談を真に受けるな・・・バカ・・・」
「・・・え?・・・そーなの?・・・よかった〜・・・」
俺もそこまでやるほど悪魔じゃあない・・・・・
「もし、それが本当だったらボク警察署に飛び込んでたヨ・・・・・」
・・・やらなくてよかった・・・
「それで?聞きたいことってなんだ?」
「えっとね・・・・・えーっと・・・」
「・・・長くなりそうなら明日でもいいか?おじさん今日は疲れて眠くて眠くてヨ・・・」
「だ・・・だめっ!!すぐ終わるから今日言わせて!!」
「・・・だったらさっさと言えよ・・・」
は〜なんなんだ?一体?頼むから早くしてくれよ・・・・・
「その・・さっき言ってたんだけど・・コーちゃんのことを『お兄ちゃん』って呼んでもいいかな?・・・」
「う・・・」
あ・・・そういえば・・・しかしなんというか・・・その・・・
「コーちゃん?」
「うう・・・」
夏美が俺の顔に近づいてくる・・・ぐ・・・近い・・・なんかいいにおいがするぞ・・・
トリートメントのにおいか・・・?あ・・・このにおい・・・今朝かいだにおいだ・・・
くんくん・・・・・女の子のかおり・・・って!!いかんいかん!!ナニ考えとんだ!!ミーは!!
「コーちゃん・・・」
「〜〜〜〜〜!!!!!」
あああああ〜〜〜〜〜!!!!!もうどうにでもなれっ!!ちちんぷ○ぷ○〜〜〜〜〜!!!!!
「・・・わかったよ・・・もう好きなように呼んでくれ」
あああああ〜〜〜〜〜!!!!!言っちゃったよ!!俺!!チョーはずかちぃ〜〜〜〜〜!!
「!!!・・こ・・・コーちゃん!!!ありがとっ!!!」
「・・・おい・・・変わってねーゾ・・・呼び方・・・」
「あっ!!えっと・・・その・・・!!
夏美は赤くなりながら上目づかいで俺に・・・
「お・・・お兄ちゃん・・・」
「・・・・・」
「お・・・お兄ちゃん?・・・」
「・・・・・ぶっ!!」
ばた〜んきゅ〜
「お・・・お兄ちゃん!?どうしたのっ!?お兄ちゃん!?しっかりして!!お兄ちゃん!!
・・・・・
サイコーデス・・・・・
・・・もういっぱいいっぱいだぎゃ〜・・・・・
俺はそのまま夢の世界に旅立つのであった・・・・・
後日、寮のみんなに変な目で見られたのは言うまでもない・・・
・・・夏美には笑顔がよく似合う・・・
夏美の笑顔がもっと見たい・・・そう・・・これからも『お兄ちゃん』として・・・
夏美にはずっと笑顔でいてほしい・・・そう・・・ずっと・・・な・・・
・・・
次回も頑張ります(^^)