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第58話『共有』

「私は最初はそいつ・・・・・つまりお前のことが嫌いだった」

「あの頃、何もかも失った私にとってお前から出てくる言葉全てうっとおしかった」

「それだけじゃない・・・・・・私はあの二度目の事故からこう思うようになった・・・・・・『私に関わった人は皆、不幸が訪れる・・・・・私はただの疫病神だ・・・・・』とな・・・・・・」

「だから、あの頃の私はお前と馴れ合いたくなかったんだ・・・・・・私に関わったせいでもう・・・・・・誰かが傷つくのを見たくなかったんだ・・・・・・・血が・・・・・あの色はもう、二度と・・・・・!」

「だから・・・・・・っ!」






すずちゃん・・・・・・ボクは・・・・・・・何も・・・・・何もしてあげられないの?

お兄ちゃん・・・・・・私、どうすればいいのかな?・・・・・・わからないよ・・・・・・わかんない・・

・・・鈴ちゃんの苦しみを分かち合う事ができるのは・・・・・・お兄ちゃんだけだよ・・・・・

部外者の・・・・・・私には何も・・・・・・何も出来ないよ・・・・・・っ!












『できるよ』











・・・・・・・・・・え?

・・・・・・・・・・だ、誰?







『だってあなたは今、コージ君と表裏一体なのだから』






・・・・・・・・・・ボクの頭の中から響いてくるこの声・・・・・・聞いた事の無い声・・・・・・

・・・・・・・・・・そして、目を開けると・・・・・・






ザ・・・・・ザザザ・・・・・ザザザ・・・・・・・

『・・・・・・』

透き通った『青』の海が一面に広がっていた・・・・・・

『・・・・・・気がついた?夏美ちゃん?』

・・・そして、その海をバックにボクの目の前には白いワンピース姿のボクと同じくらいの歳の女の子が立っていた。容姿はボクより身長が少し高く、目の前に広がる海のように透き通った青色のロングの髪形の子だ。

『・・・・・・誰?なんでボクの名前・・・・・・』

すると、その微笑み・・・・・・

『・・・へぇ〜♪あなたがコージ君の・・・・・・・・・♪』

・・・・・・?

『・・・・・・えっと?』

ボクが少し困ったような顔をするとその女の子は慌てて・・・・・・

『・・・・・あ、ごめんなさいね。・・・つい、昔の事を思い出してね・・・・・・』

・・・・・・?意味がわかんないんですけど・・・・・?

『・・・えっと、とりあえずここはどこなんですか?』

今、1番気になる事を聞いてみた。

『・・・・・・ここは』

そしてその女の子は雲ひとつ無い空を見上げ・・・・・・

『・・・・・・・・・・』

・・・?今度は砂浜から海の中へ移動し・・・・・・足首くらいのところまで浸かり・・・・・・

『・・・・・・・・・・ねぇ、夏美ちゃん。・・・この海ってなんだと思う?』

『・・・・・・え?それは・・・・・・』

・・・・・・・・・・なんだろう?

『・・・・・・・・・・この海はね、いわゆる・・・・・・『メモリー』のようなものなの』

・・・・・メモリー?・・・?え?え?え?

『・・・『メモリー』は『記憶』、『思い出』のこと・・・・・・その『入れ物』がこの海なの』

・・・・・今いち、この子の言っている意味がわからない・・・・・・けど、なにか・・・・・・

『・・・だから、この海に入るとね・・・・・・その人の『記憶』や『思い出』を共有できるの』

・・・・・その人って・・・・・・・・・・・

『・・・ここまで言えばなんとなく誰の『海』か想像つくよね?夏美ちゃん』

・・・・・・・・・・・お兄ちゃんの・・・・・・・・・・

『・・・・・そう、この『海』はコージ君のもの・・・・・・だから、今私はコージ君の『記憶』や『思い出』を共有する事ができるの。』

・・・・・・・・・・・む。

『・・・?・・・うふふ、あらあら♪嫉妬しちゃったかしら?』

・・・・・・・・・・・う〜・・・・・

『ごめんね・・・・・そんなに睨まないで。心配しなくても『あなた』のコージ君は取らないわよ。・・・だって私はもう二度とあの人の傍にいられないから・・・・・・』

・・・・・・?

『・・・話を戻すね。今も言ったようにこの『海』には耕司君の『全て』が詰まっているの・・・・・だから・・・・・・』

『・・・・・・・・・・ボクがその『海』に入ればいいんだね?』

『・・・・・・そう、そうすれば・・・・・・』

『・・・・・・・・・・お兄ちゃんとボクの心が元どうりになるんだね?』

『・・・・・・ご名答・・・・・・やっぱり、あなたはコージ君のことを・・・・・・』






ボクはとっくにその海に向かって走っていた。

けれど・・・・・・太陽光で熱くなった砂浜を裸足で走るのはちょっと辛い・・・・・・けど、今はそんな事を言ってられない・・・・・・・早く・・・・・早く・・・早く!

『・・・・・・はぁ、はぁ!・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・っ!』

・・・・・・けど、なんだろう?・・・なんでこんなに・・・・・・胸が苦しいんだろう?・・・どうして?

『・・・・・・・・お兄ちゃん!』

そして・・・・・

ザバァァァァァン!!!!!!!!!!

『はぁ・・・はぁ・・・?』

・・・・・・・・・・あれ?なんで?

『・・・夏美ちゃん、ひとつ言い忘れていた事があるんだけど・・・・・・』

『はぁ・・・はぁ・・・?・・・・・・・・え?』

『・・・この広い『海』はね・・・・・・『メモリー』なの・・・・・・』

・・・・・・それ、さっき言ってたよね?

『・・・・・・・・・・どういう・・・・・・・・・・・こと・・・・・?』

『・・・・・『メモリー』・・・・・・『記憶』、『思い出』・・・・・・』

・・・・・・まさか・・・・・

『・・・・・『メモリー』は全ての『記憶』、『思い出』の言うなれば・・・・・『器』・・・・・・これがどういう意味か分かる?』

『・・・・・・』

『・・・・・それは・・・・・この『海』のどこかにある記憶の断片ピース・・・・・・』

つまり・・・・・・探さなくちゃ・・・・・・!お兄ちゃんとすずちゃんの『思い出』を・・・・・・!

『・・・・・・つまり、夏美ちゃんもそのコージ君と鈴ちゃんの大切な『思い出』を『共有』しなくちゃいけないんだよ?・・・・・・夏美ちゃん、あなたにその覚悟が・・・・・・・ある?』

『無いわけないよ!!!!!!』

バシャ!バシャ!

そして、ボクはこの『海』から必ず探し出す・・・・・・『記憶の断片』を!!!











『・・・・・コージ君・・・・・』











そして、砂浜に1人残った白いワンピース姿の女の子はかつての思い人の『海』をいつまでも見つめていた・・・・・・













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