表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/137

第53話『母の胸中』

(※夏子視点)

私は・・・・・なんて・・・事をしてしまったのだろう・・・・・・?


なんで・・・・・あんなに感情的に・・・・・・


・・・あの子の言うとおりだ・・・・・確かにそうだ・・・・・たとえ私とあの子は血が繋がっている親戚であったとしても私はあの子の『実の母親』でないのよ・・・・・


そして・・・・・


私は・・・・・確かにあの子に大切な『嘘』までついてる・・・・・・


・・・・・・でも


鈴奈ちゃん・・・・・・私はね・・・・・・ただ・・・・・・


気休めでもなんでもいいから、あなたの『お母さん』になりたかった・・・・・・


ただ・・・・・ただ、それだけなの・・・・・・


「・・・・・・・・・・」


今・・・・・・私に出来る事は・・・・・・このクリームシチューを完成させること・・・・・


そして・・・・・・泣きながら帰ってくるあの子にこの・・・・・・クリームシチューを出してあげること。


「・・・・・・・・・・」


・・・・・ふと、あの子の笑顔を思い出す。


「・・・・・・・・・・陽子」


だけど・・・・・あの子の笑顔を見ているとつい昔の事を思い出してしまう・・・・・・・・・・






『夏子姉さん・・・・・・あの子・・・・・鈴奈の事・・・・・・よろしくね・・・・・』






「・・・・・・っ!」


目元を拭うと・・・・・・いつの間にか私の目から涙が溢れていた


・・・・・胸が苦しくなる・・・・・・


・・・・・・なんて似ているんだろう・・・・・・


・・・・・・なんてつらいんだろう・・・・・・・


・・・・・・なんてかわいそうなんだろう・・・・・・


・・・・・・こんなの・・・・・・こんなのないわよっ・・・・・・!


「・・・・・・あっ!つ!」


・・・・・・軽い火傷をしてしまった・・・・・・


「・・・・・・こんな痛み・・・・・・あの子の心の痛みに比べたら・・・・・これくらい・・・・・」


・・・・・・多分・・・・・・・


多分あの子はなんとなく気付いているのかもしれない・・・・・・


でも、その事を私は絶対にあの子に伝えられない・・・・・・


・・・・・・伝えたら・・・・・・あの子はきっと・・・・・きっと壊れてしまう・・・・・・


・・・・・・心も体も・・・・・






「・・・・・・・・・・ん」


・・・・・うん、完璧っ・・・・・!


私が今まで作ったクリームシチューの中で最高の出来!


「・・・・・・・・・・ふぅ、これであの子は喜んでくれるかしら・・・・・・」


こんなもの気休めでしかないのかもしれない・・・・・・


けど・・・・・・


私はただ、あの子の『お母さん』になりたかった・・・・・・!それだけなの・・・・・・


それが・・・・・・あの子の母親、陽子の最後に私に伝えた『意思』なんだから・・・・・・


「・・・・・・・・・・」


・・・・・まだ、あの子のためにできる事が今の私にあるのかしら・・・・・・


・・・・・・・勇輝・・・・・・・


私の大切な『家族』という名の『かけら』を今、探しに行ってくれているのよね・・・・・・


・・・・・あの子にも私は何もしてやれなかったのかもしれない・・・・・・


勇輝は・・・・・あの子のために必死で『家族』になろうとしてくれた・・・・・・






『何言ってんだよ!!!お袋!!!俺は鈴奈と『家族』になろうとしたんじゃあないぜ!!!もう、すでにあの時から『家族』なんだよ!!!』






「・・・・・・・・・・うん・・・・・うん」


言わなくても・・・・・言わなくてもわかっているわよ・・・・・・・勇輝・・・・・・


私とあなたとあの子は・・・・・・・『家族』・・・・・・・・


形だけでもいいじゃない・・・・・・・


他人からなんと言われようとも・・・・・・私達は・・・・・・・『家族』・・・・・それだけは事実よ。


「・・・・・・・・・・私にもできる事・・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・それは・・・・・・・・・・


家族という名の『かけら』を繋ぎ合わせる事・・・・・・・・・・


家でじっとなんかしていられない・・・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・勇輝!鈴奈!・・・・・今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行くからね」


そして、私は鍵もかけずに家から外へ飛び出した・・・・・!






「・・・・・・陽子、きっと私達、『家族』は大丈夫だから・・・・・・ね」






私は雨の中、あの子を探しに・・・・・迎えに行く・・・・・・









(※???視点)

だが・・・・・・彼女達はまだ気付いていなかった・・・・・・


その心優しい、『母』の行動が・・・・・・


さらなるその先に待ち構える『悲劇』を招く事を・・・・・・






そして、『絶望』という名の『悲劇』をーーーーーーーーーー






・・・?僕の名前・・・・・・?


ふふっ・・・・・まだ、知る必要はないですよ。まだ、僕の正体を知るにはいささか早すぎます。


ただ・・・・・読者の皆様に伝えたい事・・・・・・それは、











所詮、この世は『ギブ・アンド・テイク』ーーーーーー










『代償』なしでは『幸せ』なんぞ掴めないーーーーー












そんな狂った世界なんですよ。この物語は・・・・・ね。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ぎぶ!あんど!!ていく!!!」に投票 ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ