第52話『迷走』
(※鈴奈視点)
私は暗闇の中を夢中で駆けていた。
何も考えずにとにかく必死で走っていた。
とにかく、迫り来る『ナニカ』から逃げたかった。
「はぁ・・・!はぁ!」
目から涙が溢れてもう、私の視界は歪んで見えた。
あぁ・・・失明している人ってこんな感じなんだ・・・・・
目の前が真っ暗でどこへ逃げても・・・・・闇、闇、闇・・・・・
まるで目隠ししながら綱渡りしているようで・・・・・
怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・
ドテッ!
「・・・!あ・・・いたっ・・・・・・!」
アスファルトの道でこけてしまった。
「ッ!」
涙を洋服の袖で拭って、膝を見てみると・・・・・傷口から血があふれ出ていた・・・・・
「・・・・・・あ・・・・・れ?」
じっとその傷口から出ている血を見つめていると・・・・・
・・・・・私は・・・こんな光景を・・・・・ずっと昔に見たことがある・・・・・
「・・・・ッ!思い出せない・・・・・」
とりあえず・・・・・逃げなきゃ・・・!
・・・・・
あ・・・・れ・・・・・?
そういえば・・・・・・・・・・
・・・・・私はなんで・・・なんで逃げているんだろう・・・・・?
逃げる理由なんて・・・・・無いはずなのに・・・・・
どうして・・・?どうして・・・?どうして・・・?
・・・あんな、顔・・・・・見たくなかった・・・・・・
・・・・・どうして・・・・・どうして、あんなこと言っちゃったんだろう・・・・・?
「−−−くっ!」
ドクン!
ーーーーーどうしてこんなに胸が苦しいんだろう・・・?ーーーーー
(※勇輝視点)
俺は外に飛び出した鈴奈の後を追うために必死で走っていた。
外はすっかり日が落ちて真っ暗闇だった。
くっそ!まだ、そんなに遠くに行っていないはずだっ!
とりあえず、近所の公園に行ってみるか・・・!
「すずな!すずなーーーーー!!!!!」
公園に来て見たがどうやらここにはいないようだ・・・!
くそっ!ここに居ないとしたら・・・・・商店街の方か!?
「ちくしょう!!!!!」
すずな・・・!すずな・・・!
とにかく、俺は必死で走るしかなかった。
幸い、6月だったので夜の街中は寒くは無かったが・・・・・
ポツ・・・・・ポツ・・・・・
いきなり頬に冷たい何かが落ちてきた・・・・・
これは・・・・・・雨・・・・・・・?
しかし、そんな事を気にしている場合ではなかった・・・・・
俺が今、優先すべき事は・・・・・!
「すずな!!!!!すずなぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!」
鈴奈を探し出して・・・・・俺達、『家族』の家に連れ戻す事だ!!!!!
(※鈴奈視点)
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」
走り疲れた私は足を止めてふと前を見ると・・・・・
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・お・・・・・・寺・・・・・?」
今まで来た事も無い、お寺が目の前にあったのでとりあえず屋根の下に座り休む事にした。
ポツ・・・・・ポツ・・・・・・
・・・・・あれ?・・・・・・何の音だろう・・・・・?
・・・・・雨?
ザー・・・・・・ザー・・・・・・
するとすぐに本降りになった。
・・・・・
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」
すぐやんでほしいな・・・・・
雨は大嫌い・・・・・だって・・・・・・・・・
お外でお兄ちゃんと一緒に遊べないんだもん・・・・・・・
雨は・・・・・私の楽しいものを奪っていく・・・・・
・・・・・そういえば・・・・・
あれは・・・・・なんだったっけ・・・・・?
・・・・・
思い出した・・・・・『てるてる坊主』だ・・・・・
雨の日にお兄ちゃんがよく作っていたっけ・・・・・
全然効果なかったけど・・・・・
・・・・・
「・・・・・・・・・・お兄ちゃん」
・・・・・なんでだろう・・・・・?
急に不安になってきた・・・・・
・・・・・お兄ちゃん・・・・・
・・・・・お母さん・・・・・
・・・・・お父さん・・・・・
「・・・・・すずな・・・・・寂しいよ・・・・・・」
雨も止まず・・・・涙も止まらなかった・・・・・
ーーーーー雨は大嫌いーーーーー
ーーーーー私の大切なものを全て奪っていくーーーーー
ーーーーー雨は大嫌いーーーーー
ーーーーー私の大切な『おかーさん』も奪っていったのだからーーーーー