第48話『新しい家族』
鈴奈視点です。鈴奈の過去編です。これからシリアス調の話が続きます。
私はただ『強く』なりたかった。
そう、誰かを守り切れる『強さ』ーーーーー
けれど・・・・・
私は『弱かった』
私は幼少の頃、両親を亡くした。
ひどい交通事故だった・・・・・
けど、その頃の私はーーーーー
「ねえ、おばちゃん、ママとパパはどこにいるの?」
「うぅ・・・・・ごめんね、ごめんね・・・・・鈴奈ちゃん・・・・・」
おばちゃん?なんで泣いてるの?あの頃、なにも分からなかった私は夏子おばさん(私の母の姉)に尋ねた。
「鈴奈ちゃん・・・・・ママとパパはね・・・・・すっごく遠いところへ行ったの・・・・・」
とおいところ・・・?いつかえってくるの?
「ううん・・・しばらく戻れないの・・・・・だから、鈴奈ちゃん。これからはおばちゃんと一緒に暮らそう・・・ね?」
ママとパパどこに行ったの?おしごと?
「うん・・・・・大事な大事な・・・・・・・・・・『お仕事』・・・・・・・・うぅ・・・・・」
ふ〜ん・・・・・そっかぁ・・・・・
「・・・鈴奈ちゃんはいい子だから、待ってられるよね・・・・・?」
うん!すずな!いい子!ママとパパ帰ってくるのまってる!
「そう・・・・・・・・・・うぅ・・・・・陽子・・・・・・」
・・・・・?おばちゃん、泣いてるの?
今日からここが鈴奈ちゃんのおうちよーーーーー
玄関の戸を開けると・・・・・
「ひゃっほーう!!!やぁ!ぼく、『ゆうき』!きみのなまえは?」
いきなり、ウ○トラマンの仮面をつけた男の子が私に尋ねてきた。ちょっとこわかった。
だからとっさにおばちゃんの後ろに隠れた。
「鈴奈ちゃん?怖がらなくていいのよ?今日からあなたのお兄ちゃんになる子よ」
・・・・・おにい・・・ちゃん?・・・・・
「そうよ、ちょっと変な子だけど優しい子よ。よろしくね」
「へんっていうな〜〜〜〜!!!!!あばずればばぁ〜〜〜〜〜!!!!!」
「まぁ!!!この子ったら!!!どこでそんな汚い言葉を!」
「アディオス!さっ!にげるぞ!『すずな』!」
ぐいっ
「わっ・・・・・!」
「あっ!コラ!待ちなさい!!!勇輝!!!!!」
初対面でいきなり呼び捨て・・・・・あの頃から兄貴は変わっていなかったな・・・・・
「どうだぁ〜〜〜!!!みろっ!!!すずな!!!」
夏子おばちゃんとおにいちゃんと暮らし始めて半年ーーーーー
慣れ始めたわたしとおにいちゃんは公園で砂遊びをしていた。
「わぁ〜〜〜・・・・・・おにいちゃん、なに?これ?すごいね」
「『ぐれい』と『えいりあん』だっ!!!すごいだろっ!?」
「へぇ〜〜〜・・・・・すずな、よくわかんない・・・・・」
「ある〜ひ♪もりのなか♪くまさんに♪であ〜った♪」
「あ〜っ!おにいちゃん!すずな、そのうたしってる〜!『もりのくまさん』っていうおうたでしょ〜!」
「ほぅ・・・すずな!しってるか!このうた!よしっ!じゃあ、いっしょにうたおうぜ!」
「うん!」
「よ〜し、いくぞ〜すずな!さんはいっ!ある〜ひ♪」
「ある〜ひ♪」
「もりのなか♪」
「もりのなか♪」
「くまさんに♪」
「くまさんに♪」
「であ〜った♪」
「であ〜った♪」
「じゅるるるる・・・がるるる!!!うるがあああああ!!!きゃぴこぴきゃぴぃ〜ん!!!ぱくっ!!!」
「!?」
「ちばしぃ〜るも〜り〜のみ〜ちぃ〜♪くまさんに〜♪く〜われちゃった〜♪」
「お・・・おにいちゃん・・・・・うた・・・かわってる・・・・・」
「うん?あぁ、だってくまさんにであったらたべられちゃうんだぜ?すずな?こう・・・・ぱくっ!!!と」
「!!!・・・・・う、うわあああああ〜〜〜〜〜ん!!!!!!」
「すずな〜みろっ!このたくましいものを!」
「わぁ!すごい!おっきぃ!すごいね!おにいちゃん!」
「は〜はっははは〜!すんげぇでかいだろ〜?もっとちかくでみてみ?」
「わぁ・・・・・すごい・・・・・おっきくて・・・・・・くろい・・・・・さわってみてもいい・・・?」
「・・・・・ああ、いいぜ・・・・・」
「うわぁ〜・・・・・すごい・・・・・・たくましい・・・・・」
さわさわ
「・・・おいおいすずな・・・・・らんぼうにあつかうなよ・・・・・?でりけーとなんだから・・・・・」
「・・・わぁ〜・・・・・すっごい・・・・・・かたいよ・・・・・おにいちゃん・・・・・」
「・・・あぁ・・・・・すんげぇかたいだろ・・・・・?おにいちゃんのなんだぜ?それ」
「・・・わぁ〜・・・・・おにいちゃんすごい・・・・・なんていうの・・・・・?これ・・・・・?」
「あぁ・・・・・そいつはなすずな・・・・・・」
「・・・・・うん」
「(な・・・なんて・・・会話をしているの・・・・・?ま、まだ・・・よ・・・幼稚園児なのに・・・・・
・・・だ・・・・・だめよ・・・・・そんな・・・・・お・・・大人のわ・・・わたしが・・・と、とめなきゃ・・・・)」(夏子おばさん)
「オオクワガタっていうんだぜ!!!!!」
ずで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!!!
「?おにいちゃん?いま、ろうかですごいおとしなかった?」
「?きのせいだろ?」
わたしは毎日楽しい時間を過ごしていた・・・・・
けど・・・・・?パパは?ママは?・・・・・
・・・・・・・・・・どこ行ったの?・・・・・・・・・・