番外編その4『メイドさんはお好き?(後編)』
「ご氏名は?」
「村上耕司です」
「年齢は?」
「17歳です」
「家族構成は?」
「父、母、兄、姉、義妹、自分を入れて6人家族です。ですが、今は姉と俺は実家から離れてこの街に住んでます」
「では、この仕事をやりたい理由は?」
「耕司君、新たなる道に目覚めちゃったんだよね〜?」
「んなわけねえだろ!!!」
・・・・・
あれから俺は原田のおっさんに奥の面接室に案内され今こうして面接している。
おっさんのことだからどうせまともな面接じゃないんだろうな・・・と思っていたら結構まともだった・・・
・・・・・
ただ、おっさんのフリフリのメイドさんの格好を見ていたら正直吐きそうになった。おえ〜。
あと、なにかと横からいらんこという宮子さんには正直ムカついた。
「おおまかなことは大体聞いたね・・・・んじゃあ、最後にもうひとつ・・・正座から足を崩した状態で上目遣いで赤くなりながら泣きそうな状態で舌を出しながら・・・『はあはあ・・・大好きです・・・あなたの二の腕・・・たぷたぷしてて気持いいですよね♪えへへ♪』って言ってみてください」
じぇんじぇん、まともじゃなかった!
「んな気持悪い台詞言えるかっ!!!ふざけんな!!!」
「あれれれ〜?いいのぉ〜?耕司く〜ん?確かお金ないんだよね〜?バイトできなくていいのぉ〜?」
「くっ・・・それは・・・!」
く・・・くそっ!悪魔めっ!!今更落とされても困るっ!!!
「あ・・・でもね、耕司君。今、テンチョーが言った台詞って結構大事なんだヨ?ここに来るお客さんは結構変わった人が多いんだヨ?今のうちに恥ずかしいことになれといた方がいいよ?どうせ、メイドの格好するんだしね♪」
・・・・・(汗)
完全に忘れてた・・・・・メイドの格好するんだったな・・・・・想像してみる・・・・・
・・・・・
・・・・・あいたたたたた〜〜〜〜〜♪
「・・・・・わかったよ・・・・・言えばいいんだろ・・・・・言えば・・・・・」
・・・・・もう、覚悟を決めるしかなかった。
「・・・・・はあはあ・・・大好きです・・・あなたの二の腕・・・たぷたぷしてて気持いいですよね♪えへへ♪」
か・・・・・完璧だ・・・・・これでどうだっ!!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありゃりゃりゃ〜・・・・・ホントに言っちゃったか〜」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい。
「ほんとに言っちゃったよ〜コノヒト〜!!!どん引きっ!!!キモッ!!!これからは私に近寄らないでね♪変態さん♪」
「って・・・てめっ!!!お前が言えって言ったんだろうが!!!」
「ぎゃーーーーー♪私に近寄らないで!!!変態ーーーーー♪」
「き・・・きさまああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・・・
結局、合格になりました・・・・・
嬉しいけど嬉しくねえ・・・・・どういうこっちゃ。
「じゃあ、まずお兄さんは練習として、あのお客さんのご注文聞いてきてここで伝えてくださいね♪あと、必ずその場でメモとっといて下さいね。慣れたら多分覚えると思いますから♪」(メイドさんA)
「お・・・・おうよ(汗)」
・・・・・そして、最初の仕事が俺に回ってきた・・・・・
正直、緊張している・・・・・この格好(女装メイドさん)についてはもう何も言うまい・・・・・
もう、吹っ切れた。金貰うんだから少々は我慢することにした。
さあーーーーー!!!!!頑張るぜ!!!!!
「お客様、注文お決まりでしょうか?」
「まだだよっ!!!あっち行ってろ!!!どブス!!!」
ど・・・どブっ・・・?・・・・・こいつ・・・・・なめやがって・・・・・っていかん、いかん。平常心、平常心。ひとやすみ、ひとやすみ。ここで切れたらこの店の印象が悪くなる。最悪、クビなんてことも・・・
いかん!!!それだけはいかあああああん!!!!!
「う〜ん・・・・どうすっかなあ〜・・・昨日はアメリカンにとことん突っ走ったかんな〜・・・・・今日はアフリカン気分だな〜・・・空模様もエジプト並だしな〜・・・」
・・・・・ナニ言ってんだ?このモヒカン?ちゃんと左脳は機能しているのか?ニホンゴ喋りやがれ。アホ。
「あの?お客様?ご注文お決まりしだいこちらのボタンを押してください」
「ああん!?んなこたあ、言われなくてもわーってんだよ!!!このすっとこどっこい!!!肥溜めに突っ込まれてえのか!?ああん!?さっさと帰れ!!!」
・・・・・平常心、平常心・・・・・カルシウム、カルシウム・・・・・お客様は神様、お客様は神様・・・
スタスタ・・・・
「おいっ!!!何処行くんだよ!!!どブス!!!さっさと注文とれ!!!注文!!!んなこともわかんねえのか!!!おい!!!どブス!!!聞いてんのか!?どブス!!!」
・・・・・平常心、平常心・・・・・カルシウム、カルシウム・・・・・お客様は神様、お客様は神様・・・
「はい、ご注文をお伺いします♪」
「あー・・・えー・・・どれにすっかな〜〜〜〜〜・・・・・」
・・・・・決まったんじゃねえのかよ!!!・・・・いかん・・・・・
・・・・・平常心、平常心・・・・・カルシウム、カルシウム・・・・・お客様は神様、お客様は神様・・・
「あ〜・・・・よし決めた!!!」
「はい、ではご注文をどうぞ」
「かっぱ巻きとコーヒー」
・・・・・平常心、平常心・・・・・カルシウム、カル・・・ぶちっ!!!!!
がしっ(襟元を掴む音)
「てめえ?ああん!?俺を舐めてるのか?コラ?ああん!?完全に舐めてるよなあ!!!???ごらあ!!」
「は・・・?へ・・・?ひいいいい!!!!」
だめだ・・・・・もう、押さえ切れない・・・・・
「お・・・お兄さん!?お客様にナニやってるんですか!?だめですよ!!!暴力はいけません!!!」(メイドさんA)
俺を止めにかかるメイドA。
「何処の世界に喫茶店でかっぱ巻き頼む奴がいるんだよ!!!しかも『かっぱ巻きとコーヒー』ってその組み合わせなんだよ!?相性悪すぎだろ!!!」
「お兄さん!!!取り合わせが悪いのはわかりますが抑えてください!!!」
「そういう問題じゃあねえ!!!かっぱ巻きなんて頼むこと事態おかしいだろ!?」
「・・・・・?なぜです?かっぱ巻きならうちの喫茶のメニューにありますよ?」
「・・・・・・・・・・へ?嘘・・・・・・・・・・」
・・・・・
気がつけば、俺が手で持っていたモヒカンはすでに泡を吹いて気絶していた・・・・・
「すみませんでしたあ!!!!!」
俺は何度も何度もテンチョーのおっさんやメイドさん達に謝り続けた。
「いや、もういいよ。済んだことだしね。でも、次からは気をつけてくれよ?
「あ・・・ありがとうございます!!!!!」
おっさんは結構優しかった。
「お兄さん、アノくらい気にしなくてもいいからね?」(メイドさんA)
「そうそう、あんなこと日常茶飯事だし♪」(メイドさんB)
「そうそう、まゆげがあるから大丈夫!!!」(メイドさんC)
まゆげは余計だ。
「しかし、耕司君は短気だねえ・・・そんなに早く怒ってたら、本番もはやくイッチャウぞ♪」
「お前の頭はすでにイッチャってるけどな」
・・・・・
なんとなくこれからもうまくやれそうな気がした。
とりあえず、次回は本編ということで。
あと、何か要望、質問等ありましたらどうぞ遠慮なく聞いてください。できる範囲でお答えします。