第30話『俺と暴力女とか弱い女と馬鹿男と・・・』
主人公の過去編スタートです。だんだん、シリアスになる・・・はず・・・
・・・夢を見ている・・・
・・・淀んだ空気・・・
・・・息苦しい・・・
・・・薄暗い・・・
・・・冷え切った・・・
・・・廊下に・・・
・・・2人の少女と・・・
・・・俺、村上耕司・・・
・・・ただ、呆然と腰掛イスに座っていたーーー・・・
夢?いや、違うな・・・夢だけど・・・・・夢じゃあない。
俺は・・・この夢の状況を知っている・・・・・これは・・・・俺の・・・過去だ・・・・・
「「「・・・・・・・・・・」」」
沈黙ーーー・・・
いや・・・そんな重苦しい空気の中、2人の少女のうちの1人が俺に向けて言葉を発した・・・
「耕司・・・お前のせいではない。・・・・・あれは・・・・・事故だったんだ・・・・・
いや・・・・・避けれない運命だったんだ・・・・・」
・・・?『避けれない運命』・・・だと?
・・・・・違う・・・違うんだ・・・・・そんなんじゃあない・・・・・
俺の・・・・・俺の・・・・・俺のせいだったんだ・・・・・全部・・・なにもかも・・・・・
そして・・・・・もう1人の少女がその重い口を開いた・・・・・
「コージ君・・・・・お願いだから・・・1人でなんでも抱えこまないで・・・・・私達は・・・
コージ君の幼馴染・・・・・昔から4人で・・・・・頑張ってきたよね?・・・その苦しみ・・・・・
私達にも分けてよ・・・・・じゃないと・・・じゃないと・・・私・・・コージ君が1人で苦しんでいる
ところを見るなんて・・・・・そんなの耐え切れないよ・・・・・ひっく・・・」
・・・・・その少女は泣き始めた・・・・・
・・・止めてくれ・・・お願いだから、俺のためになんか泣くのを止めてくれ・・・・・
・・・俺はそんな人間じゃない・・・・・俺は・・・ひどい人間なんだ・・・・・
・・・全部!全部!!全部!!!俺のせいなんだ!!!!・・・・・
・・・『昔から4人』?・・・・・
・・・もう、その1人はこの世にいないじゃないか・・・・・
・・・俺の・・・俺の・・・せいでーーーーー・・・・・
・・・・・少し昔の話をしよう・・・・・
といっても、俺が上京する前の話・・・・・俺の故郷の小さな街での話だ・・・・・
昔の俺は荒れていた・・・・・つまり噛み砕いた言い方をすれば『不良』というやつだ・・・・・
日々の生活が喧嘩三昧でいつもボロボロになって夜の街をさまよっていた。
このころの俺はとにかく誰か強い奴と喧嘩したくてたまらなかった。そこいらの不良だけでなく
いくらかの暴走族の総長ともやり合ったなあ・・・。とにかく、すんげえ楽しかった。
学校なんぞたま〜に気が向いたら来ているぐらいで授業なんぞもちろんこれっぽっちも聞いてなかったし
聞く気もなかったし(つーか、今もそうだが)、ましてや授業なんぞほとんど出ずにサボりまくっていた。
そんな俺が唯一、学校でお気に入りだった場所は『屋上』だった。
この場所は本当に大好きだった。なぜかというと、人の目を気にせず堂々と寝ることもできるし、
ここからの景色はすんげえ良かった。あと、ひなたぼっこもできるしね。
「ふああああ・・・・・今日もここでひと眠りするか・・・・・あー気持ちいい・・・・・」
今は3限目、もちサボった。つーか、あのハゲづら野郎の話なんざ聞いてられっかっつーの!
「おやすー」
「何がっ・・・『おやすー』だっ!!!起きろっ!!!馬鹿っ!!!」
ばきっ!
「ぐおっ!」
な・・・なんだ!?この頭の衝撃は!?ふと顔をあげるとそこには仁王立ちした鬼・・・もとい
俺の幼馴染の1人、市本鈴奈がいた・・・・・。茶髪ポニー野郎・・・じゃなかった
少女。あとコイツは見た目は女だが心は漢だ。
「やっと目を覚ましたか・・・・・ところで今、貴様失礼なことを考えていただろう?」
「ソンナコトナイアルネ」
「なぜ、棒読みなんだ・・・」
「つーか・・・どうでもいいが『家庭の医学』の本で殴るのは人としてどうかと思うぞ?」
「うむ、お前だから別にいいじゃないか」
「よかねえよっ!!!どういう理屈だっ!!!それっ!!!」
「・・・・貴様は男のくせにねちねちねちねちとうるさいな・・・・か弱い乙女のちょっとした悪戯ではないか・・・・・それぐらい許せ。甲斐性なし」
「(お前がか弱い乙女だったらお前以外の地球上の女は全員女神様だよな・・・・・)」
「何か言ったか?耕司」
にっこり
「ナニモイッテナイアルヨ」
・・・・・この女が来たっつーことは・・・・・
たったったったった・・・・・
「はあはあ・・・やっぱりここにいたんだね、コージ君!!!」
「よう♪マイフレンドあーんどマイガールフレンド!!!」
「誰が『ガールフレンド』だっ!!!」
どがすっ!!!
「ぶげぇ!!!」
・・・・・今、鈴奈に殴られた男は市本勇輝。つまり、鈴奈の兄貴。ちなみに、この男
俺より1歳年上である。にもかかわらず、俺らと同じ学年。つまり・・・留年している。・・・・・・・・
やーい、ばーか、ばあああああか。
そして、もう1人の女の子は水本雪美。この子も俺の幼馴染である。彼女の両親と俺の両親とも古い付き合いで家はお隣さんである・・・。ちなみに容姿は身長はごく平均的で青色ツインテール。
「さあ・・・教室に戻るぞ、耕司」
「やだねったら♪やだね♪」
「しばくぞ?」
「ご・・・ごめんなちゃい・・・・・」
あいかわらず、恐ろしい女だ・・・・・鈴奈・・・・・(汗)
「ふふふふふ・・・・・耕司、我がシスターから誘われているんだぞ?心の準備はできたか?俺はもうできている」
「へんな言い回しをするなっ!!!馬鹿兄貴!!!!!」
どげすっ!
「ぶぎっ!!!」
うむ、兄弟仲良しこよし♪
「もぅ、コージ君!授業さぼっちゃだめって言ったでしょ?人の話全然聞かないんだから・・・もう・・・」
「悪い、今なんて言った?ワンモアプリーズ?O.K.?」
「・・・コージ君って人の神経逆撫でするのほんと得意だよね・・・」
・・・・・怖い(汗)目が。
ちょっとしたアメリカンジョークなのに・・・
「お前が毎回授業サボるもんだから、クラス委員長の私まで怒られる羽目になるんだぞ?分かっているのか?
少しは感謝しろ」
「ワタシ、ニホンゴワカラナイ」
どぎゃすっ!!!
「いでえええええ!!!!!」
「しばくぞ?」
「いや!いや!もう今、君しばいたからね!?そういうのはもっと早く言おうね!?(泣)」
「ふふふふ・・・・シスターよ・・・自分の気持ちには素直にならなきゃだ・め・だ・ぞ(はあと)」
「っ!余計なことを言うなっ!!!ナルシスト共和国!!!」
げしゅっ!!!
「ふおおおおお!!!!!」
・・・・・?
「やだあ・・・また不良の村上が来たわよ・・・」(女子A)
「久々に来たと思ったら・・・・・ほら〜・・・見て・・・あの怪我。また誰かと喧嘩したのかしら?
モンモスこわ〜い・・・」(女子B)
「そういえば、最近ここいらを占めている暴走族『夜露死苦』の総長を素手でぶん殴って病院送りにしたって
聞いたぜ。その総長、歯が10本折れて、骨も10本くらい折れていたそうだぜ?」(男子A)
「あんま、関わらないほうが身のためだな・・・」(男子B)
・・・・・同じクラスの誰かが俺の噂話をしている・・・・・
まあ、こんなのは日常だから、そんなのは全然俺は気にしない。むしろ、それが普通の反応だ。
なんせ、俺は今までそれだけのことをやってきたんだからな。そりゃ、当然だ。
「・・・・・耕司・・・・・あまり、気にするなよ・・・」
「コージ君・・・」
・・・?なんで二人ともそんな悲しそうな顔してんだ?よく分からん・・・
「それにその村上といつもよくつるんでるあの3人も絶対おかしいよな〜・・・イカレタ集団だよ、はははははははははは・・・・・は?ぐえ!!!」(男子C)
ぐいっ
「ああん?てめえ、いまなんつった?コラ?もう1回言ってみろよ?コラ?ああ!?」
「ひっ・・・!」
「もう1回言えって言ってんだろうがよおおおおお!!!!!」
「耕司!!!止めろ!!!」
「コージ君!!!!!」
「・・・・・ちっ・・・」
「ひいいいいい・・・・・」
ぱさっ・・・
てくてくてくてくてく・・・・・
「待て・・・耕司、どこへ行く?もうすぐ授業が始まるぞ?」
「帰る」
・・・・・俺が1番許せねえことは・・・・・
俺といつもからんでいるこいつらまでけなされることだ・・・・・
自分のことは別にいい・・・・・けど、俺に関わった奴までけなされるのは本当に虫唾が走る!!!!!
「ま・・・待てっ!耕司!」
「コージ君!?」
・・・あ〜あ・・・気分わりぃ・・・
校外でその辺うろうろしとくか・・・・・別にやることねえけどな・・・
「あ〜ああ、本当に暇だねえ・・・」
俺は一体何をしているんだろう?
「な〜んか、面白いもんとかねーのかねえ・・・」
「へへへ・・・じゃあ、見せてやるよ・・・」
・・・前から明らかに柄の悪そうな不良3人組がやってきた。
「・・・・・お前ら、ズッコ○3人組か・・・」
「「「て・・・てめえ!!!」」」
おうおうおう・・・興奮しとるわ・・・
「ところで面白いもん見せてくれるンだろう?何だ?」
「はっ!てめえが俺ら3人にぼっこぼ「え?お前らがぼっこぼこになる?そりゃあ、おもしれーw」」
「「「て・・・てめえええええ!!!!!ぶっ殺す!!!!!」」」
いちいちハモルな。きもい。
「はっ・・・やるの?君達?」
はあ、今日も楽しい1日になりそうだなっと・・・
カーカーカーカーカー・・・・・
夕方。
はあ・・・またやっちまった・・・・・また、鈴奈にどやされるわな・・・こりゃ・・・
はあああ・・・明日は学校サボるかな?いや、サボろう・・・
俺は別に用があったというわけではないが、なぜか俺の足は教室に向いていた・・・
「・・・・・あっ!コージ君!お帰り!!!」
・・・・・なぜ、こいつがここにいるんだ?帰ったんじゃないのか?
「・・・・・鈴奈とあの馬鹿はどうした?」
「鈴ちゃんは風紀委員の仕事に行ってるから先に帰っておいてって言ってたよ。あと、勇ちゃんは
『らぶらぶはっぴーわーるど』を作るために俺は帰るとかいって帰っちゃったよ」
・・・・・あいかわらず、あの馬鹿は訳わかんねーな・・・
「そうか・・・」
「あのぅ・・・コージ君?」
「ん?なんだ?」
「一緒に・・・・・その・・・」
もじもじもじもじもじ
「?」
「あの・・・その・・・」
なんでこいつ顔赤くなってんだ?
「・・・・・あのぅ・・・・・」
「ん・・・もぅ、こんな時間か・・・雪美、そろそろ俺達も帰らないか?」
「あ・・・・・うん!!!!!」
「むぅ、コージ君!!!また喧嘩したでしょ!!!」
「な・・・なぜ?わかった・・・?え・・えすぱー?」
「何言ってるの・・・?その怪我みればひと目でわかるよ・・・」
・・・・・結局、鈴奈のかわりに雪美にどやされてしまいました・・・・・
「もう・・・心配してるのに・・・」
「ん?今何か言ったか?」
「何も言ってないです!!!」
・・・(汗)不機嫌になった・・・ああ、女ってのは本当にわからねーな・・・
そして、俺達は帰路に着くのであった・・・
また〜りしています(^^)