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番外編その40『ニーソックスはお好き?』 

「やっぱ、時代はニーソだろぉおおおおお!」

副会長や渡辺さんの監視下、コスプレ大会の猛性文を書いている最中、いきなりサルは席から立ちあがり、絶叫を上げた。どうでもいいが、毎回決まって此奴の常識のタガが外れたセリフから入るパターンが多いよな。

「ニーソだかルーソだかギーソだか何だか知りませんが、うるせいです。今は静かに死んで下さい」

俺の真向かいの席で、反省文の書き方講習の講師を務めてくれている渡辺さんは、サルを指差し、ジッと睨む。今は静かに死んで下さいって新しい暴言だな。

「ふむ……ニーソ、か。あれは使用済みが一番おいしいねサル君」

メガネはうんうんと頷きながら、サルのセリフに同意している。

うっ、うーん……一体何を言っているんだろう、この厨二メガネくんは。

「おう、メガネ。あと匂いも最高だよな……ああ、ドキドキが止まらない」

サルは恍惚の表情でメガネの異世界言語を聞き入る。

うーん、俺の右隣からもとい銀髪少女からビンビンと殺気を感じる……ああ、ドキドキが止まらない。

「ウェイトウェイト、まちたまい、諸君。ニーソの艶めかしい味や匂いがスバらしいのは当然のことであるが……装着している女子が美人であることもポイントの一つであると言えるのではないかね?」

バスコ●ンを水に溶かし、一心不乱にシャバシャバかき混ぜていた副会長はちらちらと渡辺さんを見ながら、真面目な顔して呟く。おーい、副会長、あんたの顔に台詞が全然釣り合ってないぞ。

「副会長、顔と言動が気持ち悪いので空気を吐いたり出したり戻したりしないで下さい」

渡辺さんは、目を細め、副会長をジッと見ながらそう呟く。渡辺さん、それ全部同じや。

「ふむ……ということは、美亜ちゃんは普段からニーソを蒸着しているのかい?」

「……赤神慎也、何故貴方は初対面の私に対してそれほどまで馴れ馴れしいのですか、殺しますよ」

サルがどこぞのホステスなまりが入った口説いているかのような口調で渡辺さんに話しかける。サルのフルネームなんて久しぶりに聞いたな。あと、蒸着って……。

「んっ、知りたいかい?」

「知りたくありません」

「そうかい、知りたいかい。それはMEがYOUをLOVEしているからだよ……もう、MEのハートがドキドキだよぉ」

何だその決まってない英語力。

「はあ……村上さん。この人、貴方のお友達でしょう? どうにかしてください」

渡辺さんはうんざりとした表情で、ため息を吐く。

渡辺さんは淡々と暴言を吐く鋼のような心を持ったお堅い女子だと思ったが、こういう突然のガイキチ展開にはついていけないようだな。

「しばらく塩漬けにしとけば元に戻るよ」

「塩漬けするにも桶と塩がありませんが」

どうでもいいが、何故先刻からアリスさんは獲物を狙うような目つきで俺を見つめてくるのだろう。あー、心がドキドキする。

「ふむ。つまり渡辺氏はニーソックス愛着家であり、レズビアンあぁんである、と」

メガネはまたうんうん頷きながらそう言う。……ん?何か今変な単語が誕生したぞ?

「……誰がレズなのですか、殺しますよ三上英男」

「いや、我々の統計学的にニーソックスを装備している女子の九割はレズニストであるとデータから割り出されているんだ」

メガネはドヤ顔でそう仰る。我々の統計学って、どこ星の情報を基にしているんだよ。お前の生まれ故郷は本当に地球か?

「な、何ッ、そうだったのか美亜君……道理で毎日、遠い目で生徒会長を視姦していると思ったよ……君には是非、清純な女子であってほしかったが……残念だよ……」

我らが副会長様は不自然なくらい静かにお菓子をポリポリやってる麻里さんを見つめて、がっかりしている……様に見えたが、その割には何故か嬉しそうな笑みを浮かべている。おいおい、だから副会長、あんたの顔に台詞が全然合って不自然なことになってるからな。

「…………」

対して、渡辺さんは無言で少し笑みを浮かべ佇んでいる。

これで怒らないなんて大らかで優しい人だな……うん、やべえ。あれ、ちょっとどころか大分怒っているぞ。こいつらバカ共が余計なこと言う前に止め……。

「うおぉおおお、マジかよ! じゃっじゃあ、美亜ちゃんと麻里さんは普段使っている教卓で生まれたままの姿で乳繰り合うぐんずほぐれつな夢のような関係だったのかよ!!」

マジかよ、このエテ公。

「いやん、ばれちゃったにぃ……美亜ちゃんはお尻の黒子が可愛らしいんだよね……って校長がツイートしてた」

マジかよ、このホラ吹き生徒会長。永遠に黙っておけばいいものを……終わってんなこの学園。

「う、うむ……じゃあ、ニーソ愛着家の僕たちもそのスケベ教卓にマーキングしておかなければならないね」

「メガネッ! それは精神的せっくるって奴だな!! ぶっかけマーキング!!」

メガネとサルは少し頬を染め、そうおっしゃる。

妄想もそこまでいくと、痛々しいのを通り越してこえぇよ。

「ふむ、では皆の意見が纏まったところで、美亜君……君も協、かぺっ」

副会長が改めて何か言う前に拳が顔面を射抜いた。

見ると、そこには鬼が仁王立ちしていた。『血塗りの生徒会室』と化したのである……。






「裸ニーソって、大正義だよな耕司?」

翌日。

教室で宮古と他愛のない世間話をしていると、サルは真面目な顔してそう俺に同意を求めてきた。あん?何、その変態談話まだ続いてたの?

「お前、昨日、あれだけアリスさんと渡辺さんにフルボッコされたにも関わらず、まだ懲りないのかよ」

「何言ってんだ、あれはご褒美だろーがよ、おいおい、大丈夫かよ耕司」

お前の頭が大丈夫か?

「ふーん? 耕司君って裸ニーソが大好物だったんだ」

宮古は興味津々な顔して、そんなことを言う。ほらあ、変なタイミングで変なこと言うから頭がゆるゆるな娘がいらん興味を持っちまったじゃねえか。

「違う。そんな変態性癖が好きなのはこのエテ公とメガネだけだ」

「何言ってんだよ耕司、お前、クラスの女子を見かけると頭の中で自然と裸ニーソにして心の中で前立的におなってるって鼻の穴を大きくしながら熱心に語ってたじゃないか」

お前は俺を社会的に殺したいのか?

「そうなんだ……裸ニーソ……うん、イイネ!!」

宮古は嬉々とした表情でそう声を上げる。

……ああ、やっぱ、こいつも常人の思考じゃねぇな……。天然で、変人って最強だし。何が最強だかわからんが。

「うんうん、じゃあさっそく、夏っちを呼ぶよ。おーい、夏っち~~!! こっちおいで~~!!」

何がさっそくなのか知らんが、宮古は何を思ったのか夏美をこちらに呼びつけた。

……おいおい。比較的、常人で純情な夏美をこちらの世界に巻き込むなよ。

「あれ、宮っちとお兄ちゃんとサル君。どうしたの?」

ああ、何も知らない穢れなき赤ちゃんみたいな顔しちゃって……やめろ、そんな顔して俺を見るな……後ろめたすぎる……。

「あのね、夏っちって、裸ニーソ知ってる?」

「裸……二ーソ? 宮っち、何かなそれ?」

「うんうん、じゃあさっそく脱ごうか夏っち」

「えぇっ、何でっ!?」

夏美は訳が分からないといった様子でおろおろと俺とサルを交互に見つめてくる。

俺もこの展開にびっくりだよ。何でもかんでも吸収する子供かこいつは。

「おお……幼女にニーソ……おお、俺の股間もくららもびっくり勃ちまクリスティだぜ……」

メガネは鼻の穴を大きくして、興奮しながらそんな事を呟く。クスリでも決めてんのかな、こいつ。

「さー、上から脱ぎ脱ぎしましょうねー」

宮古は本当に夏美の制服のブレザーを脱がしにかかる。

「えっ、えっ、えっ、お、お兄ちゃん……」

夏美は頬を紅潮させ、俺に助けを求めるような瞳で見つめる。

……しゃあねぇな、ったく。

「おい、宮古、そういうのは誰もいない……そうだな、例えば女子便所とかそういうところでやるもんだぞ」

「おおー、成程、裸ニーソの夏っちは私の独り占めってことだね! 目の保養にもなるし! 私以外の誰にも見られたくないから丁度いいよ~~……じゃあ、夏っち! 行こうか!」

「……いっ、いやだよおおおお~~~~!! お、お兄ちゃんっ、た、タスケテぇええええ~~!!」

夏美はどなどなよろしく、縞々ニーソを持った宮古に抵抗むなしく連れていかれる。

すまんな、夏美。ハイになった宮古は手をつけられないんだ、恨むな……。

「俺は裸ニーソ俺は裸ニーソ俺は裸ニーソ俺は裸ニーソ俺は裸ニーソ俺は裸ニーソ……」

サルは俯いてそんなことを呟いている。

……こいつはこのまま放置しておこう。






「というわけで、耕司キュン。僕もニーソを愛着してみようと思うんだ」

同日、体育の着替え中。

更衣室で着替えている最中、メガネが何やらキメ顔で俺に向かってそう宣言する。

「あれ。君、ニーソ愛着なんたらかんたらとかじゃなかったっけ? 今迄、一度も履いたことないのか?」

「まあね、しかし耕司キュン。ニーソックスはご利用方法に『履く・食べる・使う・出す』の四通りの方法があって、僕は『履いた』ことが無いんだよ」

「うーん、俺には君が宣っている今一つ言葉の意味がよく分からない。この星の言語を喋ってくれないか」

俺にはニーソが『履く』以外の利用方法があることに驚きだよ。

「今日は体育でちょうどいいと、このニーソを装備しようかなと思ってね」

「何がちょうどいいのか知らんが、いいんじゃねえか……勝手に履けば」

「よし、じゃあさっそく履いてみるよ……『あっ、お、おとっ、おとぅ、お父さぁん……らっらめぇ……こっこんなこと……頭のおかしな人がすることだよぅ……』」

「……なんか変な臨場感出しているつもりなんだろうが、頭のおかしな人はお前だけだからな」

体育は何事もなくつつがなく、自然と淡々と進んでいった。

……本当にこの学園、割と末期なのかもな。

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