番外編その39『痴女はお好き?』
皆様、こんにちは。
高宮学園"裏"生徒会会計の渡辺美亜です。
……。
別に表とか存在しません。裏生徒会とか響きが何となく恰好良かったのでちょっと言ってみたかっただけです。
「美亜っち! お願いっ、このとーり……!! あたしのデッサンのモデルになって!!」
前置きはそれくらいにして放課後の事です。
今日も今日とて無味乾燥な授業を受け、何時もの様に生徒会の雑務に取り掛かろうと、鞄を持って、生徒会室に向かう途中、いきなり両手を合わせた八尾先生に出くわしました。スライディング土下座でご登場する方なんて初めてお目にかかりました。
「……いきなり、何がこの通りなのかさっぱりまるっきり分からないのですが、いいでしょう……とりあえずは話を聞くだけは聞きましょう」
「えっ!? 美亜っち、モデルになってくれるの!? やったあ!! 美亜っち! ありがとうっ!! 愛してるぅ~~!! ん~~ちゅぱっ♡」
「会話を色々とすっ飛ばさないでください……ていっ」
私は八尾先生の瑞々しく濃いてかてかとした唇から放出されたハート型のオーラ(人はそれはを属に投げキッスとでもいいますか…)を右手の甲で弾きます。何故か、そのオーラはちょっと生暖かったような気が……します。
「ああっ、あたしの艶めかしいハートがっ!?」
大げさに狼狽える八尾先生を尻目に、私はハートの行方を見守ります。
「でさー……ぐぁっ……!!」(清純男子生徒A)
「と、としお!? ど、どうした! おいとし……」(清純男子生徒B)
「……じゅっ、じゅくじょぉおお……甘くてとってもおいしいじゅくじょぉおおお……!!」(としおという成熟男子生徒A)
「と、とし……うっうわぁあああああや、やめろぉおおおおおおん!!」(おホモ勃ち男子生徒B)
私が弾いたハート型のオーラは跳弾して教室で談笑していた善良なる男子生徒Aの胸に激突しそのまま、似非熟女の虜になってしまいました。何故か、軽くホラー展開になっていますが、まあ、良しとしましょう。
「うっうぅ~~あ、あたしの投擲キッスを受け取りなさいよう!!」
八尾先生は口先を蛸の吸盤の様に突き出して、子供の様に駄々を捏ねます。
この人は恥という言葉も概念も遠い何処かの故国に置き忘れてしまったのでしょうか。
「そんないじけた顔してもダメですよ……絶対嫌です。それより、デッサンとやらのことですが……」
「あっ、うん、わかった! とりあえず、脱いで? ぺろ~~ん、と」
「……貴方はほんっとうに人の話を聞かないですね。私はまず経緯を説明して下さいと言っているんです。あと、先生、セクシャルハラスメントとして校長先生に訴えますよ」
「あっ、あの真性リアルハゲだけには……! ご、ごめんっ! う、うそっ! 冗談だからそれだけは許して? お願いっ! お、お願いしますぅううう……うぇえええ……」
私がセクハラを注意すると八尾先生は泣きながらその場で土下座し許しを請います。
……何がこの人をこういう行動にかき立てるのでしょう。一体、どんな弱みを握られているのやら……。
「とりあえず、先生、私は熟女の土下座なんて、見たくもありませんので元の鞘に戻ってください」
「あっ、そう? でへへ……」
八尾先生は気味の悪い笑みを浮かべながら、パンパンと服の汚れを払います。
「話が一向に進みませんので……さっさとデッサンとやらについて説明を求めます。私も暇じゃありませんので」
「わかったわよう……私と美亜っちの仲なのに、美亜っちは冷たいにゃー……あっ、美亜っちのナカはあったかいけどね!」
「…………」
「御免、無言、恐怖、拙者、真面目、謝謝」
始めからそういう殊勲な態度を取って欲しいものです。
「……同人誌、ですか」
「そうそう、美亜っちが何時も舐めるように嬲る様にむしゃぶるくらい大好物なうらぶれたおやぢの如くうっすい頭皮のような絵本のモデルデッサンになってほしいのだー」
八尾先生はぺろりと舌を出し、わんぱく坊主みたいな口調で私にそう言います。
「勝手に私に事実無根な性癖を擦り付けようとしないで下さい……あと、素直に『薄い本』って言ってください」
「またまたまたにてぃ~~そんなこと言っちゃって~~美亜っち、知ってるでしょ? 腐女子の楽園、同人誌?」
「扶助子の楽園……共依存って奴ですか……そんな世の中ではこの先、この国はもうお先真っ暗ですね」
「うんまあ、ある意味、この国、いや……この世界の裏側を支えている縁の下の力持ちでありーの、あるいは闇の部分でもあるんだけどねー……んー、でもお姉さん、とっても大好きだぞ! ビジュアル系ガチムチ脳筋野郎のくんずほぐれつおちん●んパラダイス!!」
「その二つの系統は一生分かり合えない組み合わせだと思うのですが……」
「ふんふん、まあ、ちん☆彡ちん談話は美亜っちの下の口に挿しといて、と。ほんじゃ、さっそくだけど、美亜っちも自分がどんな本のモデルになるか知りたいだろうから教えとくねー」
「色々と突っ込みたいことがありますが、まあ、それは話が長くなるので今は八尾先生の鼻の穴に置いておきます。八尾先生のこれまでの話からすると、先生はいわゆる、男 色 家 ……ですね」
「シッツレイな子ね! あたしは男色家じゃなくてバイ! バイバイキンの方じゃないわよ!! そこんとこ、シクヨロシコシコ!」
「何故、自信をもってドヤ顔でそんなことをさぞ誇らしげに言えるのか私には到底理解できないのですが……まあ、いいです。男色家の先生は、男色家らしく、男性の絡み合いが大好物なのですよね。何故、私にモデルを……?」
「男色家じゃなくて、バイ! うん、確かにあたしは幼気なショタが複数の薄汚れたホームレスワンコ(♂)に入れ食いされるビデオが大好物だけどね。今回の同人誌はちょっと捻りを入れたいんだよね」
「あなたの性癖が既に捻りに捻くれているような気がしますが……何か世間に不満でもあるのですか」
「不満といえば、月一のゼニだけどね! 美亜っちぃ……私のゼニのために身体をはって、ハゲの火照った乳首に指を添わせながら、『いいことしてあげるから八尾先生のお給金を上げてあげて下さい……』とか言っちゃってよ!」
「何故、私が、貴方のお給料の為に身体をはらなければならないのですか……ご自分でその身を犠牲にして下さい」
「いやよ~~、だって、あたし、ショタや男の娘に汚されるのはバッチコーイ、ってかんじだけど、家畜に汚されるのはノーセンキューなのよ」
「八尾先生の主張……わが校の長はハゲで家畜である、と」
「やだ! メッメメメメモラナイデェ!! 美亜っちちちちぃいいい」
八尾先生は涙目で私に縋りつき、許しを乞います。
……いったい何時になったら本題の話に入るのでしょう。
「……で、美亜君? 何故、そのような痴女を僕の下へ連れてくるのだ?」
変人には、変人を。変態には、変態を。
それを地で実践しようと、私はとりあえず、副会長を巻き込む作戦に出ました。別に、先生の相手を一人でするのが面倒くさくなったとかそんなんじゃありません。
「人のことをいきなり痴女だなんて失礼なメガネね! ぷんぷんっ! そんな悪いこと言うメガネにはマン●スをだし汁にあんたのカルーアミルクでぶっかけ一杯やっちゃうわよ!!」
「おっおおぅ……何なんだ美亜君……この痴女は……お、恐ろしあぁん!」
痴女の瘴気にでも充てられたのでしょうか。副会長は頭を抱えながら、その場で蹲りますす。私は蹲った副会長の背中に軽く蹴りを入れます。
「あっああぅ……み、美亜君? な、何故、僕に蹴りを……?」
何故?そこに山があるからに決まっているでしょう。
「まぁ、いっか。さて、さっそくメガネ……だとアフォ毛の方と被っちゃうから、2号君! さっそくだけど……し こ れ ?」
「ブフォッ」
副会長は口に含んでいたコーヒーを吹き出します。
「八尾先生。先刻から言っていますが、貴方は話をすっ飛ばしすぎです。まず、概要からこの2号に説明してあげてください」
「み、みみみみ美亜君? そ、そそそそそういう問題じゃあ、ないと思うんだがガガガがががが……」
副会長はイカレタロボットのような口調で私に向かって言います。
……何故、このクソ副会長は真っ赤な顔しているんでしょう。……気持悪ッ。
「ありゃりゃ、あたしとしたことが。めんごめんご、2号君、ちゃんと説明するね……とりあえず、美亜ちゃんを犯して?」
「ぶぶふぅ!!」
「……八尾先生、あなたはひょっとしてキチ●イですか?」
「やぁだなぁーもう、美亜っちたらー、ちょっとしたブラジリアンジョークじゃん。ブラジリアンジョーク」
「冗談だとしても入れるタイミングと言動そのものが最低じゃないですか。あと、ブラジリアン柔術みたく言わないでください」
「みみみみっみゃーくん……? お、おおおおかしをかかかかかってあげよう……」
クソ副会長は壊れたオウムのような声を出して、私にき●こ棒を震えた手つきで差し出します。目は座っており、顔は茹蛸のように赤く、手だけでなく身体全体が打ちひしがれたハムスターのように震えています。一言で言えば、誰がどこからどう見ても紛うことなき只の変質者です。本当にどうもありがとうございました。
「そんなもの要りませんので、死んでください」
私はきな●棒をペシッと手で弾き、副会長から背を向けます。
バグった変態に用はありません。
私と八尾先生は次なる獲物を狙いに、生徒会室を後にします。
……あれ?当初の目的とだいぶ違っているような……きっと気のせいでしょう。
「ええー、つまんないの」
うるせいです。
「副会長ー、頼まれていた過去の議事録なんですけ…」(幼気でイケメン童貞な書記A君)
『みゃぁあああああああああああああああああああああ』(レアモンスター流留)
「うっ……うわぁああああああああああああああああああ」(幼気でイケメン元童貞な書記A君)
……遠い何処かから黄色い悲鳴のようなものが聞こえたような気がしましたが、きっと私の気のせいでしょう。