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番外編その34『スカート捲りはお好き?(後編)』

「それでは行動開始といこうではないかね、耕司キュン、サル君」

「おっしゃー、ヤるぜ!」

「…………」

何だろうな、こいつらのエロに対するビックバンのような爆発的な原動力は。

分かり切っているだろうに、どんな結末を迎えるか……

「耕司キュン、当然我々はどのような結末を迎えるかは分かっている。……しかし、バッドエンドに直行するのが心苦しくも彼女のCG回収のためにやむを得ず選択肢を選ぶ……そんな気持ちと同じようなものだよ」

「……いや、そんなエロゲーと比較されてもな。全然同情できねぇし」

「うるへー、耕司!ここまできて、お前は逃げるのかえぇおい!?やるったらやるのー!!皆でヤらないと寂しいのー!」

「はいはい……わかったよ」

今更、俺が何を言ってもこいつ等が止まるとは思えないしな……。

…………。

おい、言っておくが別に俺はアリスさんのパンツが見たいからこいつらと絡んでいるわけではないからな。

そりゃあ、人並みにエロは好きだが同級生のパンツを何が何でも拝みたいとか、そこまでのエロ願望はないぞ。

…………。

ほんとだよ?

「さて、耕司キュンも納得したことだし、どうやってアリスさんのパンツを見るか作戦会議といこうじゃあないか」

「おいコラ、納得はしていないぞ」

「そうだな……とてもじゃないが、真っ向から堂々とアリスさんのスカートを捲る勇気はねぇよな。おそらく、性少年の俺らが近づいてきた瞬間、ぬっ殺されるのは見えていることだし。うーん……」

「と、なるとやはりここは何か策を練らないとならないね。それも、できれば自然にスカートが捲れるような流れになるような……そんな策があるとベストだね」

……自然にスカートが捲れるような流れってなんだよ。

ていうか、よくこいつらはそんなしょうもないことを真剣に語れるな。アイタタタ……だめだ、何か頭痛がしてきた。

「……おい、耕司ぃ。何、自分だけ我関せずみたな立ち振る舞いしてんだよ。お前も考えろよな……俺の考えではもしかするとお前がキーパーソンになるかもしれないからな」

「……はぁ?何だ、俺がキーパーソンってどういう意味……」

「あれ?お兄ちゃんたちこんなところで何やってるの?」

「「「ギョギョ!?」」」

背後から見知った声が聞こえてきたので、ものっそい勢いで振り向くとジュースの紙パックを持ち、ストローを咥えた夏美がいた。

し、しまった……怪しい会話をしている所にいきなり女子が声をかけてくるものだから、三人して素っ頓狂な声を上げてしまった……。って、くそぅ、これじゃあ俺もこいつらと同じようなもんじゃあねぇか。

「ヤ、ヤァ……ナツミサン、ド、ドウシタノデスカ?コ、コンナトコロデ」

「何でそんなボーカロイドみたいな声になっているのお兄ちゃん?」

く、くぅ……。

何で俺が夏美に対してこんなに慌てなきゃいけないんだよ……!

う、後ろめたさなんか…………いや、あるな。クソッ、タイミングが悪いぞ!

「(お、おい!メガネ!もしかして俺らの今の会話、上野に聞かれていたか!?)」

「(サル君……。いやあの夏美ちゃんのアへ顔からして我々のイケナイ会話は聞かれてはいないようだ……)」

「(いやアへ顔じゃねぇだろ。本人聞いたら本気で泣くぞ)」

「……?三人とも、何かよそよそしいよ……。ボク、何かタイミング悪かったかな?」

夏美はどこか気まずいような表情で俺らに言う。

気まずいのは俺だよ!し、しかし……メガネの言うとおり、俺ら……正確にはメガネとサルのエロ会話は聞かれていないようだ。もし、こいつが聞き耳立てていたら、真っ赤な顔して「お、お兄ちゃんのばか!(///)」とかいって喰いかかってくるだろうからな……。

…………。

やれやれ……俺も逞しいアフォな妄想スキルを身に着けたもんだ。

「……お兄ちゃん?」

「は、ハイ」プイッ

「……三上君?」

「へ、へぁっ」プイッ

「……赤神君?」

「う、うっす」プイッ

「…………何でみんなボクと目を合わせようとしないの……?」

俺らが夏美に対して沈黙しているからか、夏美は俺ら一人一人の顔を真剣な顔してジッと見つめてくる。

や、やばい……。こいつはタマに妙なところで勘が鋭い時があるからな……。何か、探られとるぞ……。

「…………おかしい」

「な、何がだよ夏美……おかしくなんてないぞ」

「……おかしいよ、お兄ちゃん達。だって何かボクに対して妙によそよそしいというか、他人行儀というか……」

「ふ、普通の男子は女子に声をかけられたらよそよそしくなるだろ……」

「お兄ちゃんたちは普通の男子じゃないでしょ」

普通の男子じゃないって、どんな男子だと認識されているんだよ俺は……。

「だいたい、何かお兄ちゃんたちから妙な妖気が漂ってくるんだよね……。何かこれから悪さしようとしているみたいな……」

……どうしてこいつはアフォっぽい顔してこんなに勘が鋭いんだよ。

「(ど、どうするよ……。上野は何か俺らを疑心に満ちた瞳で見ているぞ……)」

「(アッ、何か幼女に疑心の目で見られるのもゾクゾクするね……///)」ゾクゾク

「(ばっかやろう!何、感じてやがんだよド変態!ど、どうする……おい、耕司!どうするよ!)」

「(どうするもなにも……とぼけた顔してろ。どーせ、こいつは疑っているだけで分かってないんだ。変な反応すると余計に疑われるぞ)」

……そうだ、こいつはメガネとサルの会話を聞いていない。

俺らがとぼけた顔して、しらを切ればそれ以上突っ込んでこない。というより、できないだろ。

そうと決まれば、早めに退散した方がいいな。

「おい、夏美。俺らはもう行くから……」

「あっ、ま、待って!お兄ちゃん!ボクに何か隠しているでしょ!?」

「(……待ちたまへ、耕司キュン)」

メガネが俺の制服の袖を軽く引っ張る。






【トリオの脳内作戦会議】

「(……はぁ?何だよ……アイツは何も分かってないぞ。早く逃げた方がいいと思うんだが)」

「(……違うね。これは、チャンスだと思わないかね)」

「(はぁ?何のだよ……)」

「(……チャンス。そう、か……耕司、予行演習だよ!予行演習!)」

「(……予行演習?お前らは何が言いたいんだよ……)」

「(予行演習……そうっ、夏美ちゃんのスカートを捲る……これが、我々の課せられた宿命だっ)」

「(は、はぁ!?お、お前……な、何を言って)」

「(耕司キュン、何事もメインディッシュの前には前菜やスイーツがセオリーだろう?)」

「(スイーツは後だ。ていうか、回りくどいこと言ってないで、さっさとはっきり言え!つまんねぇツッコミいれてしまったじゃねぇか!)」

「(……ふむ、つまりアリスさんのスカートを捲る前にここいらで夏美ちゃんのスカートを捲って自信をつけるのはどうかね、と言いたいのだ。ホップ!ステップ!!ジャンプ!!!みたいな)」

「(はぁ……あ、あのな。だいたい、お前らさっきロリがどーたらこーたらで対象外とか言ってただろうが)」

「(はぁ……ったく、お前はいつからそんな臆病な女々しい野郎になっちまったんだよ耕司ぃ……思い出せよ、あの頃のふんどし一丁で校内を徘徊していた頃をよ!あの頃のお前はハミ毛がイカシテいたよ!ココイラデアツクナレヨォ!コーズィー!)」

「(記憶を改ざんするな。あのなぁ……お前ら単に見たいだけだろ、下着)」

「(……見たくないのかね耕司キュン?)」

「(……見たいだろ耕司?)」

「(……あ、あのな)」

「「((みーたーいーでーしょー!?))」」

「(何だよその連携は……あぁ、見たくないと言えば嘘になるが……)」

「(ダッタラ、ヤッチャエ)」

「(ふっふざけんなっ!俺はもうやらんと言った……)」

「(ヤルンダ)」

「(お、お前らがや……)」

「「((ヤッレェ!!!))」」

「(あぁ!もぅチクショウ!分かったよ!やりゃあ、いいんだろ!?やりゃあ!!!男らしくやってやるよ!)」

「「((耕司キュン、素敵!))」

【お わ り】






「…………」

「お、お兄ちゃん!?だ、黙ってないで何とか言ってよ!!ぼ、ボクに隠し事は……!」

……あぁ、分かっていたよ。何となくこんな展開になることは。

あぁもう……さっきの宮子で懲りろよお前ら……。何で、俺がこんなこと……。

…………。

だいたい、あれだよな。今どきのガングロ女子高生って羞恥心ってもんが欠けているよな。

平気で駅の階段の前でスカートをおおぴらに広げて中を見せるわ、コンビニの前でヤンキー座りして見せてくるわ。

…………。

別に意識して見せてるってわけじゃあないよな。

「…………はぁ」

……何か落ち着いた。

もう脳内でぐだぐだ愚痴っていてもしゃあねぇ。男がやるといったんだ。今更、やめるわけにはいかない……。

あれだ、宮子は下からブルマを装着していた。女子高生の大半はあのスタイルが普通だろ。

だったら、夏美も例外じゃあないよな……?

「…………」

「な、何?お兄ちゃん……その何かを決心したような顔……」

……うん、大丈夫だ。俺はやれる……やれます十七歳の男子高校生。

「……なぁ、夏美」

「な、何?ようやくボクに隠し事を話してくれる……」

「あっ、後ろに加藤鷹がいる」

「えっ」

うん、我ながらすっげぇ単純なありふれた方法だと思う。

でも、いいだろ?捲れれば……そんな方法でも。そんな単純な罠に引っかかった夏美も夏美だ。

って、何責任転嫁してんだ俺は。まぁ、とにかくこの隙をついて俺は素早くスカートの裾を持ち、捲った。

「「おぉおおおお…………おお?」」

…………。

…………。

「お兄ちゃん、誰もいな……っ!?」

うん、ごめんな夏美。

でも許してくれよ、これは奴らの身体をはったギャグみたいなもんだよ。

うん、本当にこれは……うん、色々予想外だった。うん、予想ガイ過ぎるよ。

まぁ、あれだ……うん、色々アレすぎるよお前。予想斜め上をゆくあれだよあれ、ほんとお前あれだよあれ。

まぁ、その……なんだ。あーげふんげふん。






何で、お前ノーパンなの……?






「……あー、その……えっと、だな」

「「…………」」

さすがに、普段散々下ネタをかましていた野郎共はこの展開は予想外だったのか、はたまた気まずさのせいかその場でじっと押し黙っていた。……ていうか、やっちゃった俺が一番気まずいのだが。

「…………転んだの」

「えっ……?」

夏美は俯き、小さな声でつぶやく。

俯いているせいか、表情は伺えない……。うっ、お、重苦しい空気だ……。

「…………下着、濡れて…………」

「…………」

……色々と分からないが。

どっかで転んで下着が濡れて……つまり、その、なんだ。替えがなかったからそのまま……ってことか。

この重苦しい空気の中、俺から色々聞くことはできない……。ていうか、聞けない……。

と、とりあえず、俺は色々とまともに見てしまった……あ、謝らねぇと……。

「そ、その……な、夏美……ご、ごめん、な……っ!?」

「どうしてこんなことするの……?」

……じっと俯いていた夏美が顔を上げた。俺はその表情にギョッとした。

……泣いていた。夏美は子供の様に、両の瞳からポロポロと涙を零していた。

「嫌……だよ。こんなの……どうして、こんな……恥ずかしくて、いじわる…………」

…………。

正直、この反応も予想外だった。

……いや、それだけではない。これでは、まるで……。

『耕司君のいじわる………やだ、こんなの…………どうしてこんないじわるするの……?』

…………っ。

馬鹿野郎……こんな時に何を思い出しているんだ俺は。あいつは……もういないんだ。

いつまで引きずってんだよ……馬鹿野郎。

「ひっく……ひっく……」

…………まずい、な。色々な意味で。

しかも何か注目を集めているぞ俺ら……って、あいつらいないじゃねぇか……逃げやがった。

「な、夏美……」

……くそ、俺はとんでもないことをしちまったな。

どうすれば……どうすれば……。

「……ひっく……お兄ちゃん……」

「あ、な、なんだ……?」

「…………罰として、ボクの言うこと聞いてくれる……?」

「……あ、あぁ。いいぞ、何でも……聞いてやる」

そりゃそうだ……。

何せ俺は一つ間違えればとんでもないことをしでかしたし……大事な女の子の部分も見……あーあー思い出すな俺。

今はそんなエロエロな想像してる場合じゃねぇだろ?泣いているんだぞ……今は反省しよう。

「…………クレープ」

「は?」

「クレープ……今日の放課後……」

「…………」

……はは。

何だそんなことか。

「いいよ、そのくらい。いつものとこでいいか?」

「……っ、うん!えへへ」

…………。

ったく、俺はアホだな。やっぱこいつの笑顔は……。

「…………」

「……どうしたの?お兄ちゃん?」

……よそう。

俺は過去に囚われすぎだ……。それは、自分でも分かっている。

「いや、何でもない」

「……?変なお兄ちゃん、それよりキャビア乗せね♪」

「……おいおい、珍味は勘弁しくれよ。今月は金欠寸前なんだよ」

それでも俺は……こいつと、いや皆と今を生きる。

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