番外編その28『佐々木雅彦(21)の一存』
「はぁ……」
……はっ、初っ端から辛気臭い溜息ついてすいません。皆さんお久しぶりです。
一家に一台、佐々木雅彦です、飼って………下さい、って何言ってんだ僕は(汗)
「どうしたの〜?佐々木君、溜息なんかついちゃって」
隣で心配そうな様子で僕の顔を覗き込む彼女は高梨恵梨、現在独身まっしぐらで僕の1つ年上の22歳。容姿は長めの黒髪にメガネをかけているスタイル抜群なお方です。年がら年中、年頃の男性スタッフの目の前で『あぁ、吸いたい、あんたの甘ぁいの吸いたいわぁ……』とか言いながら誘惑しているちょっとヤバめな方だが、基本はいい人…なのかな?(汗)現在、僕と同じ、新米声優のマネージャーを勤めています。ちなみに彼女、元ヤンらしいです……に、逃げたい!今すぐこの場から逃げ出したいですっ!(泣)
「まっ、元気出しなさいよっ!包茎っ!」
「それ、慰めてるのか貶しているのかどっちですか……」
「あっ、それとも……コ・コ♪出してあげようか?ぬふふふ………」
「ちょっ、ちょっと!?高梨さん!?どこ触っているんですか!?冗談は止めて下さい!!!」
僕は高梨さんの行動に寒気を覚え、後ずさった。
「ちっ……」
舌打ちされた………
シュボッ……
「フゥー……で?何?何であんたはそんなに落ち込んでいるわけ?」
「あの……高梨さん、ここ禁煙なんですけど………」
「うるさいわね、あんたのチン○もぎ取るわよ!」
「ひぃ!?」
「ったく……あんたねぇ、ただでさえ普段からナヨナヨした顔してんのに、さらに落ち込んだ顔を見せられるこっちの身にもなってみなさいっての………ちっ、今日こそあの男声優喰えるチャンスだったのに………あのハゲP、今度会ったら陰毛全部引っこ抜いてやるわ……」
お、怒られた………それに何か不穏なこと口走ってますよコノヒト!?………(汗)こ、怖いからとりあえず逃げよう………そ〜っと……そ〜っと、ね。
「お待ち!!!」
ガシッ
「きゃあ!?」
「あの小生意気な娘はね、ツンデレだと思うの」
「あの……」
「あぁんっ!?」
「ひっ!」
「何だ、言ってみな」
「いや、その………何で僕は裸になっているんですか……?(汗)」
何故か僕は服を剥かれてトランクス1枚の姿でさらに手には手錠、首輪をつけられ………足を組んで座る彼女の足元で正座をさせられていた………そして彼女の姿はなぜかボンテージだった………
「あたしゃあね、こうやってアンタみたいな無防備なオス犬を上から眺めているだけでゾクゾクすんの、そして立場は私が上。あんたは下。そんな奴に服なんかいらないだろ?トランクス履かせてやってるだけでもありがたく思いな、このチン○スがっ!」
「あ、悪魔っ!ひとでなしっ!(泣)」
「何だとこのチワワッ!」
ピシッ!
「あふうっ!?」
鞭で背中を打たれた!痛すぎるっ、ていうかこれ完全にSM〜!
「そうだよ……そうやってあんたみたいなチワワは大人しくピーピー泣いているのがお似合いよぉ………くっくくく………ハァハァ(///)」
な、何かこの人悦んでる!?や、やばいっ!!!危険だっ!関わっちゃあいけない人だよっ!この人!!!
「クックク……そして、これをくわえな」
彼女は僕の目の前にピンク色の………アレな形の玩具を突き出した。ま、まさか………
「シャブシャブくわえな、あたしが動画にしてやる。クックク……んでもって、あんたの恥辱にまみれたその動画をYouT○beにうpしてやっからよぉ!タイトルは何がいい?『佐々木雅彦、フ○ラに目覚めた夏』とかどうだ!!!ギャハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」
「ひ、ひどいっ!鬼っ!悪魔っ!ひとでなし〜〜〜!(泣)」
「やかましいっ!さっさとくわえなっ!チワ公!!!」
ブ〜ン、ブ〜〜〜ン……
ワギャアアアアアーーーーーーーーー!!!!!!キノコがっ!動くキノコが近づいてくるっ!!!
玩具だけどっ!本物じゃないけどっ!でも、男として!人間としてそれだけはっ!
それだけは嫌ぁあああああああああーーーーーーーーー!!!!!!
「コラァアアアアアーーーーーー!!!!!!ベンピーぃいいいいいーーーーーー!!!!!!どこだぁあああああーーーーーーー!!!!!!」
うっ、この聞き覚えのある少し高めの声は………遠くから聞こえるこの声はっ!!!そして、この不名誉なあだ名!!!間違いない、ウコンちゃんだっ!!!ウコンちゃん!!!ウコンちゃん!!!僕はここにいるよっ!!!
「ウコンちゅぁあああああーーーーーん!!!!!!おーーーーーい!!!!!!ここっ!!!僕はココにいますぅ!!!た、助けてくださぁあああああーーーーーいぃいいいいい!!!!!!」
21歳の大の男がこんな泣きそうな声で中学生の少女に助けを求めるなんて僕は情けない男だ………でも、でもですねっ、今はそんなこと言ってられないのですっ!この……このキチ○イサディストから逃げなければっ!!!く、喰われちゃうっ!!!(泣)
「…っ、このチワ公っ!余計な真似をっ!」
ピシッ!パシッ!ピシッ!パシッ!
「あひぃいいいーーーーー!」
背中に鞭を打たれたっ!痛いっ!地肌に鞭打ちはすごく痛いっ!これのどこが気持ちいいんだっ!Mの人の気持ちが分からないっ!あぁ、でもその内、変な気分に………嫌だっ!そんなのは絶対、嫌だっ!あぁ……早くっ!早く助けてくださいっ、ウコンちゃん!
「そぉこかぁあああああーーーーーー!!!!!!」
あぁ、ウコンちゃん………やっと、来て、くれたんだ………
バギィイイイイイイイイイイーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
「あぷぉあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
えっ、何?今、何が起きたの………?!
えっ、えっ、えっ、どうして?どうしてこんな事態に?!
えっ、えっ、えっ?理解できないっ?!なんで?なんで?なんで?
なんで、僕はコンクリの壁にめり込んでいるんだっ!?意味わかんないっ!?
………はっ?!殺気っ!?
「ベーンーピー………」
こ、この……1オクターブ低めの声、んでもっていかにも機嫌が悪そうな………少女の声っ!!!ウコンちゃんだっ!間違いないっ………!え、なのに何で?何で、ものすごい目で睨まれてるの?僕?この場の状況が理解できないっ!
「おっとぉ、ちょっと待ちなさいよ、そこの幼女。その犬はあたしのモノよ。手を出したら容赦しないよっ!」
ピシッ
……この声は、キ○ガイサディスト!警告のつもりなのか床に鞭を打っているっ!色んな意味で怖えぇー……
「うるさい、黙れ年増。コイツは私のジャーマネだ、連れて帰る」
ギロッ
ひぃ!ま、またっ……睨まれたっ!僕、何か悪い事しました?!
「ほらっ、行くぞ!ベンピー!」
「あ、あぁぁ……ウコンちゃん」
ウコンちゃんに腕を引っ張られて、立ち上がる僕………あぁ、何て情けない。
「待ちなっ!逃がしゃあしないよっ!」
目の前にキチ○イサディストが立ちふさがった!ひぃ!怖いっ!恐るべしっ、年増っ!
「そこをどけ、ババァ」
「どかないねぇ………その犬をあたしのトロピカルワールドへ導くまでねぇ!!!クェ!クェ!クェ!」
不気味な笑顔で僕を見つめるサディスト………この人怖いっ!ねぇ、笑っているんですか?!それっ!?魔女かよっ!そしてトロピカルワールドってなんだぁ!甘美な響きがかえって怖いっ!早くココから逃げたいっ!
「どけって言ってんだろうがよぉ!年増ぁ!!!」
バキッ
イライラしているのかウコンちゃんは近くにあったゴミ箱を思いっきり蹴りました………怖いっ!この子も怖いっ!そして、その台詞はもう女の子の台詞じゃないっ!!!
「クッ、クッ、クッ……やだねぇ、いくらあんたがその犬の事が大大だだだだぁ〜〜〜い好きでもあたしゃあどかないねぇ〜〜〜〜クヒッ!クェ!クェ!クェ!じゅるりっ!」
「なっ………?!(///)」
ひぃいいいーーーーー!!!!!僕を見ながら舌なめずりしているっ!ほ、掘られるっ!汚されるっ!もうコノヒト人間じゃないよっ!!!誰か助けてぇーーーーー!!!
「ギャハハハハハハ!!!!!!!そう!それっ!メス犬っ!あんたのその顔が見たかったっ!!!!!!その恥辱にまみれた困惑の表情、火照るフェイス………あぁ、最高だねぇ………クヒヒヒ、じゅるりっ!」
ウコンちゃんの頭の上に手をのせ、奇妙な表情で笑うサディスト………あぁ、ウコンちゃん………めっさプルプルしてる………めっさプルプルしてますよぉーーーーー!!!!!!(泣)
「………コロス殺すコロス殺すコロス殺す殺す、プチ殺す」
ギリギリギリギリ………メキッメキメキメキッ………
ギャアアアアアアーーーーーー!!!!!!痛いイタイ痛いイタイ!!!!!!腕折れる折れる折れる折れちゃうーーーーー!!!!!!僕が殺されちゃうーーーーーー!!!!!!
「はんっ?あたしを殺す?やってみなよっ!メス犬!!!」
「上等だっ……!死んでも後悔すんなよっ?!年増ぁ!!!」
く、くぴぃーーーーー!!!!!!さ、殺気でこの場の空間が歪んでるぅーーーーー!!!!!!
お、落ち着け僕。ここは、ここは大人の僕が何とかしないとっ………!ふぁいとっ!雅彦っ!
「あ、あの……お、お二人さん………ここは穏便に話し合いで………ですね?えへ、えへへっ………その話し合いで解決できれば、と………」
「「うるさいっ!!!てめぇは黙ってろっ!!!ウンコ野郎!!!」」
バキッ
「あひぃいいいいーーーーー!!!!!!」
壊したり、消えたり、増えたり、減ったり、飛んだり、潜ったり………
「あはは………二人ともすんごいレベルの高い戦いをしているなぁ………」
僕はというとウコンちゃんとサディストから少し離れたベンチに座り、二人の戦いを傍観していた。何だろう、もう二人とも人としての領域を軽く超えているような気がするのは僕だけだろうか?
「へっくしっ!……ずるる………そろそろ服……返して欲しいなぁ………ヘックション!!!」
僕は未だにトランクス1枚の姿だった………ベンチの前を通り過ぎる女の子達のあの白い目………勘弁して欲しいなぁ………フフ、あぁ、何かもうどうでもよくなってきたなぁ………
「……冷たっ!な、なんだっ?!」
突然、右の頬にヒヤッとした感触が走った………振り返るとそこにいた人物は。
「……君も大変だなぁ。まぁこの缶コーヒー飲めよ。それは俺からのおごりだ」
ハゲP(おそらく高梨さんが言っていたであろう)さんが立っていた。そして彼は、僕の隣に座った。
「俺も君ぐらいの頃には君みたいに二人の女に悩まされたさ………」
哀愁を帯びた目で何やら語り始めるハゲPさん。
「それで何度挫折したことか………三次元の女には苦労したよ。そこであの頃の俺は二次元に走ったさ………あぁ、そりゃあ最初は楽しかったさ。三次元の女のように文句も言わない、甘えてくれる、かぁいい………でもさ、ある時気付いたんだ………自分の過ちを。例えそれが自分好みの女であったとしても、画面に映し出されている女の子は近くにいて、決して近くなかったんだってことを。絶望したさ、そりゃあもう絶望したさ。あぁ、結局、女なんて………そんなもんなんだとな」
「あの、ハゲPさん………僕には貴方が何を言っているのか全然分からないんですが」
「つまりだ、佐々木君。女なんて信用しちゃいけないよ、甘い言葉で誘惑、あぁそれもあるさ。でもな、それは罠なんだよ。ところで佐々木君、ハゲPって何?それ俺の事?」
「ハゲPさん………だから、何を言っているか」
「今、いいこと言ったろ?俺。だから、俺、君みたいなすごく一生懸命頑張っている子、あの女共に立ち向かう君の姿、うん大好きだよ。ところでハゲPって何?」
「は、ハゲPさん?(汗)」
何だろう………何か、何かものすごく雲行きが怪しくなってきたような………
「それに君、近くでみたら結構可愛い顔しているし………それに、何?その格好。もしかして……僕を………誘っているのかい?あと、ハゲPって何?」
さ、誘う……?な、何を言っているんだこの人………それに、何で……?何で頬染めてんの?この人?……何だろう………何か、サディストやウコンちゃんと別の意味で怖いっ!に、逃げようっ!手遅れになる前にっ!
「あ、あのっ!僕、そろそろっ………!」
「ま、まぁまぁ、待ちなよ。だいじょぉーぶ。最初は痛くしないから」
「い、痛く……!?な、何を……?!」
「さて、そろそろ………」
「やらないか?」
「ぎゃぁあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」