番外編その26『同好会はお好き?』
桜が咲き始め、少し過ごしやすい気温になってきた頃。
高宮学園の中庭で新入生歓迎会(を装ってはいるが実はただの同好会歓迎会)が行われていた。
俺は帰宅部なので別に中途で入るつもりは無いのだが………夏美が面白そうだから行こうよ、と無理矢理連れて行かれた………うちの学園の部活は文武両道にたけているようで、どの部もそれなりの成果を上げているらしい……その分、変な同好会もあるとかないとか、麗奈さんから聞いた話だが。夏美と見学しているとどこかで聞いた事がある……というか、聞きたくない声が聞こえてきた。
「ねっ?ねっ?いいだろう?ちょっとオッパイの先っちょ、チョーンってつつくだけだからさ?大丈夫!最初はちょっち恥ずかしいかもしれないけど段々、僕も君も癖になるからさ、だから止められない止まらない」
「ばっかじゃない、何が大丈夫なのよ。警察呼ぶわよ」
新入生らしき女子高生にセクハラを働くメガネがいた。
「ちょっ………ポリスメンは勘弁。じゃあ、こちらからも妥協案を出そう。僕がオッパイをつつくだけなら君しか気持ちよくなれない………僕は気持ちよくなれない、と。つまりこれは言わばつゆのない牛丼と同意っ!!!君はこれがご不満なんだね?うんうん、僕も分かるなその気持ち、エヘへ」
「は、はぁ?意味わかんないんですけど、てゆーか何かキモいんですけどこのメガネ」
「ならば!!!こんなプレイはご存知かな?その名もパイ●リ!!!僕のお●ん●んを君のオッパイの谷間に挟み込み僕はハァハァ、君もハァハァ。最後はズッコンバッコン、あぁ!らめぇ!いっちゃうのですぅ〜〜〜いえす!うぃ〜きゃ〜ん!!!」
「な、何なのこのメガネ!?き、キモイっ!!!死ねっ!!!」
バキッ
「おばまっ!!!」
「お前は相変わらず懲りないな……」
「む……おぉ、これはこれは耕司キュンと夏美タンではないか、入るかい?僕のナカに」
「それは笑えない冗談だな」
「あ、あはは………三上君、こんにちは」
「……で?お前こんなところで何やってんの?」
「もちろん同好会の勧誘さ、良かったら2人とも見学していくかい?」
「悪いから帰る、行くぞ夏美」
「う、うん……」
ガチッ
「見学してくださいよぉ、グスッ」
「………」
メガネは腕を掴み、ポンコツ娘っぽい声で俺を制する………
「ま、まぁまぁお兄ちゃん………ちょっと見ていくぐらいならいいんじゃない………かな?あはは………」
「おぉ!夏美タン!聞いてくれるかい!?やっぱりロリたんは良い子だね………英男ちんうれちぃ!そんな良い子にはペロペロキャンディをあげよう………存分に舐め舐めするがいい」
「い、いらないよ………え、えっと?三上君はどんな同好会しているのかな?」
「ふむ……よく聞いてくれた、夏美タン………我々の同好会はずばりっ!!!『清純同好会』だっ!!!」
「せ、清純………?」
「そう、清純とは………世の中の汚れに染まっていないの意………」
「お前は染まりに染まっているがな」
「そんな清純的な活動を行うことが我々の目的なのですぅ!!!」
「我々って……お前1人じゃねぇか。まさか、俺達を頭数に入れてないよな?」
「そんな……寂しいこというなよ、耕ちん」
「帰るぞ夏美」
「ま、まぁまぁお兄ちゃん………(汗)三上君?でもそれじゃあ、同好会成立しないよね……?確か同好会は3人以上必要じゃあ……」
「だって、今僕が作ったんだもーん」
鼻を弄くりながら明日の方向に向くひでおくん………えっと、殺していいかな?
「そ、それはまずいんじゃあないかな………?」
「ちょっとそこの君達ぃ……」
「……あ、アバ茶の人」
「お、お前は……あのサル顔の男と一緒にいたっ………!って、アバ茶の人とか言うなぁ!?(汗)」
俺達に声を掛けてきたのは……確か生徒会の副会長……えっと、何だっけ?アバ・アビル(45)だっけな?
「覚えとけよっ!?(汗)新城流留だっ!!!流留ちゃんだっ!!!」
「落ち着いてください、アバ茶。キモイです」
「君も乗っかってんじゃあないよっ!?(汗)」
副会長の後ろには紫色のロングヘアーの女生徒が澄ました顔で立っていた。副会長の御付きか?
「ご冗談を。気持ち悪い事考えないでください」
「そっか、そうだよな」
「……何か今馬鹿にされたような気がするのだが(汗)」
「気のせいですよ、クズ」
「気のせいか………って、今のは気のせいじゃないよねっ!?美亜君!?(汗)」
「お、お兄ちゃん……この人達と知り合いなの?」
「んあ?まぁ、そこの……えっと……アビルさんは知ってるけど………」
「新城流留だよっ!!!30秒前の出来事を忘れてんじゃあないよっ!?(汗)」
すると、御付き……じゃなかった、後ろにいた女子は何故か俺の方へ近寄ってき……
「失礼しました、私は生徒会会計を務めている渡辺美亜と申します。えぇ、自己紹介は無用です。貴方は村上耕司、そちらの隣のロリは上野夏美、さらにそこにいるただの変態は三上英男ですね、以後、アビル共々よろしくお願いします」
「美亜君!?君、それ絶対わざとやっているよね!?ねぇ!?」
俺と夏美は目の前で繰り広げられる夫婦漫才(?)にただただ呆然と立ちつくしていた………
「ところで………生徒会のチミ達、はっ、いや、生徒会の飼い犬と言った方がいいかね?その犬共が何用かね?」
ひでおくんはソファーで足を組み、何故か偉そうな態度で生徒会の連中に問う。………その高そうなソファーはどこから持ってきたんだ。
「ふん、美亜君、あれを」
我ら副会長殿は後ろにいる渡辺さんに手で何か合図を送る。
「はい」
プスッ
副会長の親指の肉と爪の間にマチ針が突き刺さった、というより渡辺さんが突き刺した。
「いったーーーーー!?ちょっ……なっ、何してんのぉ!?み、美亜君!?」
「あ、すいません。書類を渡そうと思ってつい………マチ針を、ププッ」
「つい………マチ針を………何っ!?ねぇ、マチ針が何なの!?そして何故笑うの!?(汗)」
ピュピュルピュル〜〜〜
「ちょっ………血っ!血っ!血ぃ〜〜〜!!!めっさ血ぃ出とるんですけどっ!?ば、絆創膏!美亜君!血を止めるものなら何でもいい!持っていないかね!?プリィィィーーーーーズ!!!!!」
「紙ヤスリならココにありますが」
「おぉ!美亜君!ありがとう!………って、このちょっとザラザラっとした摩擦が傷口に染みて、僕ちょっと痛気持ちEーーーーー!!!!!(泣)」
副会長はビックビクしながらその場で倒れた………その姿は傍から見ればエレクトしているみたいで何か気持ち悪かった。
「………皆様、うちの変態が大変お見苦しい姿を晒してしまい真に申し訳ありませんでした。では、これで失礼いたします」
渡辺さんは俺達に頭を下げこの場から去っていった………って、おい、1人で去るのかよ。ついでにこの気持ち悪い肢体も回収していけ。
「………耕司キュン、僕………完全に喰われちゃってたよね?」
「何の話だ」
「メ〜イ〜ド〜服を♪ぬ〜が〜さ〜ないで♪」
「………………」
「メ〜イ〜ド〜服を♪ぬ〜が〜さ〜ないで♪」
「………………」
スタスタ………ガチッ
「おいおい僕らの耕司くん?マブダチを無視して通り過ぎようとするとはどんな鬼畜だお前は?」
「俺のマブダチに女装趣味でスネ毛の生えたちょっとヤバめな人はいません」
目の前をサッと通り過ぎようとしたが、変態に捕まった。
まぁ、あれだ。遠くから『メイド同好会』という看板が見えた時点で引き返しておけば良かった。今となってはもう遅いのだが。
「女装?違うな、メイドだ………メイドなるメイド、メイドインチャイナという奴だな」
「最後の意味違うぞ」
「そんなことはどうでもいい………どうだ?耕司?メイドなるメイドを極めたくなっただろう?」
「極めたくありません」
「じゃあ、まずお手本を見せるとしよう、おい藤P!ご奉仕スタンバイ!」
「うふっ」
サルは後ろにいる………何、あのキモイ生き物。じゃなくて、メイド仕様の藤P君に声を掛ける。
みんな、よかったね、これ小説で。漫画にしてたらこれ、発禁モノだよ、発禁。もうね、キモ過ぎて目の前にいる奴らをファッキン!したくなってきたよ。
「『ごちゅじんタマ!おじょうタマ!こちらのお席に着いてくださいニャンにゃん♪』」
しばらく待っていると、俺と夏美はメイド野郎Aにテーブル席に案内された。狙ってんのかどうか分からんがダミ声の野郎が無理して出す1オクターブ高い声を聞かされるこっちの身にもなってほしい………嫌過ぎる………
「『みゅ、みゅんミュんみゅるるる〜〜〜ん………こちらがメニューですにゃん』」
何、今の鳴き声。どうでもいいが、無理して語尾に『にゃん』とかつけなくてもいいから。全っ然かわいらしくないから。
「『おまたせニャン♪ミルクちゃん2杯でぇ〜〜〜すっ♪』」
メイド野郎Aが立ち去った後、今度は別のメイド野郎Bもといメイドサルがやってきた。
「ミルクなんて注文した覚えないんだが……」
「『当店自慢のミルクちゃんは特製の絞りたてなのですニャン♪……はっ!嫌ですぅ!ごちゅじんたまぁ!ど、どこみてるんですかっ!えっちぃのはめーっですぅ!めっ!ごちゅじんたまはえっちぃのですぅ!プンプンですぅ!(///)』
頬を染め、胸元を隠すメイドサル……すごく……すごく殺したいデス………
「『では♪ごゆっくりどう……キャン♪』」
カラーン、バッシャー……
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
メイドサルは去り際に牛乳の入ったグラスを肘に当て、丁度目の前にいる俺と夏美に牛乳がぶっかかった。
「何のつもりだテメェ!」
「ううっ〜〜〜………服にかかっちゃったよぉ」
夏美は上着に牛乳がかかっていたが………って、俺、1番いけないプレイス(※下腹部)にかかっとる!!!なんでこんなピンポイントな位置に!?
「『ご、ごめんなさい!ごちゅじんたま!おじょうたま!い、いけないですぅ、しかられるのですぅ………そうなのですぅ!ごちゅじんたま!おじょうたま!今から私、サるルがフッキフキしてさしあげますのですぅ!』
サるル……?キモイなってそんな事言っている場合じゃないっ!フッキフキだぁ!?フッキフキだと!?
「『はぁ…はぁ……ごちゅじんたまの………ごちゅじんたまの………はぁ……はぁ……(///)』
ごちゅじんたまの………?なんだぁ!?気になるっ!!!って、違う!!!
「いい加減にしやがれ!この野郎!」
同好会歓迎会終了後、帰宅中………
「お兄ちゃん………どうだった?」
「萎えたな」
「お兄ちゃんは何を言ってるの……?(汗)」